年金はいくらもらえる?年収別の目安と、引かれる税金・保険料を解説

「年金はいくらもらえるのか」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金それぞれの計算式が分かれば概算できます。この記事では日本年金機構・国税庁の公表値にもとづいて、年収別・加入期間別の受給額の目安、年金からいくら引かれるか、いくらから税金がかかるかを解説します。正確な金額は加入記録によって変わるため、あくまで目安としてご利用ください。

年金はいくらもらえる?受給額を決める2つの年金

会社員・公務員として働いた期間がある方が65歳から受け取る年金は、次の2つの合計です。

  • 老齢基礎年金(国民年金):20歳から60歳までの40年間の国民年金の納付期間に応じて決まる。会社員・公務員・自営業・専業主婦(夫)など、全員が対象。
  • 老齢厚生年金(報酬比例部分):会社員・公務員として厚生年金に加入していた期間の給与・ボーナスと加入期間に応じて決まる。自営業・専業主婦(夫)の期間は対象外。

つまり、老齢基礎年金は「納付月数」だけで決まり、老齢厚生年金は「年収(平均標準報酬額)×加入月数」で決まります。以降でそれぞれの計算式を確認し、年収別の目安表につなげます。

老齢基礎年金の計算式と満額

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべて国民年金を納付すると満額を受け取れます。計算式は次のとおりです。

老齢基礎年金(年額) = 満額 × 国民年金の納付月数 ÷ 480ヶ月

満額(令和8年度):847,300円(月額70,608円)※昭和31年4月2日以後生まれの方。昭和31年4月1日以前生まれの方は844,900円(月額70,408円)。

たとえば納付月数が360ヶ月(30年)なら、847,300円 × 360 ÷ 480 = 約63.5万円(月額約5.3万円)になります。納付期間が短いほど、その分だけ受給額も少なくなります。

満額は毎年見直される

老齢基礎年金の満額は、賃金や物価の変動にあわせて毎年度改定されます。この記事の847,300円は令和8年度(2026年4月分から)の金額です。将来受給する時点の金額はこれと異なります。

老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算式

老齢厚生年金の「報酬比例部分」は、厚生年金に加入していた期間の平均収入(平均標準報酬額)と加入月数から計算します。乗率は加入時期によって異なります。

平成15年4月以降の加入分 = 平均標準報酬額 × 5.481 ÷ 1000 × 加入月数

平均標準報酬額:月給とボーナスを含めた平均月収

平成15年3月以前の加入分 = 平均標準報酬月額 × 7.125 ÷ 1000 × 加入月数

平均標準報酬月額:ボーナスを含めない平均月収(2003年3月までは月収のみに保険料がかかっていたため)

2003年(平成15年)4月に給与とボーナスの両方から保険料を取る「総報酬制」が導入されたため、それ以前の加入期間とそれ以降の加入期間で計算式が分かれています。ほとんどの現役世代・退職直後の方は平成15年4月以降の加入期間が中心になるため、以降の年収別の目安表では、この5.481/1000の乗率のみを使った概算を示します。

2003年3月以前から働いていた方は目安表より少なくなる傾向

7.125/1000(平成15年3月以前)の乗率は5.481/1000より高く見えますが、ボーナスを含めない月収だけで計算するため、実際の受給額は年収ベースの目安表よりも少なくなる場合があります。1980〜90年代から会社員として働いてきた方ほど、正確な金額はねんきん定期便で確認する必要性が高くなります。

年収別・加入期間別の受給額の目安(表)

現役時代の平均年収(賞与込み)と、厚生年金の加入年数別に、65歳から受け取る年金の月額(老齢基礎年金+老齢厚生年金の合計)の目安をまとめました。

平均年収加入20年加入30年加入40年
300万円9.8万円11.2万円12.5万円
400万円10.7万円12.5万円14.4万円
500万円11.6万円13.9万円16.2万円
600万円12.5万円15.3万円18.0万円
700万円13.5万円16.7万円19.8万円
800万円14.4万円18.0万円21.7万円
900万円15.3万円19.4万円23.5万円
1,000万円16.2万円20.8万円25.3万円

※月額の目安(万円未満四捨五入)。老齢基礎年金は40年間(480ヶ月)満額納付、老齢厚生年金は平成15年4月以降の乗率(5.481/1000)のみを使い、記載の「加入」年数だけ厚生年金に加入したものと仮定した概算です。実際の受給額は生年月日・加入履歴・免除期間の有無などで変わります。

たとえば平均年収500万円で40年間会社員として働いた場合、老齢厚生年金(報酬比例部分)は「500万円÷12×5.481÷1000×480ヶ月」で年額約109.6万円(月額約9.1万円)。ここに老齢基礎年金(満額・月額70,608円)を加えると、合計は月額約16.2万円(年額約194.3万円)になります。

自分の条件で計算したい場合は専用ツールへ

上記の表は「40年間ずっと会社員」「厚生年金加入期間中は毎年同じ年収」という前提の概算です。会社員期間と自営業期間が混在している方、繰り上げ・繰り下げ受給を検討している方は、年金受給額シミュレーターで自分の加入年数・年収・受給開始年齢を入力して計算してみてください。

年金からいくら引かれる?(保険料・税金の天引き)

年金は額面どおりに受け取れるわけではありません。65歳以上で一定の受給額がある方は、次の保険料・税金が年金から天引き(特別徴収)されます。

  • 介護保険料:年間の年金受給額が18万円以上の65歳以上の方は、原則として年金から天引きされます。18万円未満の方は、市区町村に個別に納付します(普通徴収)。
  • 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料:65歳以上75歳未満の国民健康保険加入者、75歳以上の後期高齢者医療制度加入者も、年間の年金受給額が18万円以上なら年金から天引きされます。ただし介護保険料と合算した額が年金支給額の2分の1を超える場合は天引きされません。
  • 住民税:老齢基礎年金の受給額が年18万円以上の65歳以上の方が対象です。老齢厚生年金だけを受給している場合は、この特別徴収の対象にはなりません。
  • 所得税(および復興特別所得税):年金支払時に、収入額から一定の控除額を差し引いた金額に5.105%(所得税5%×復興特別所得税分102.1%)を掛けた金額が源泉徴収されます。

所得税の源泉徴収額は、日本年金機構に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しているかどうかで変わります。

扶養親族等申告書源泉徴収税額の計算
提出した場合(年金支給額 − 社会保険料 − 基礎控除・配偶者控除等各種控除)× 5.105%
提出しなかった場合(年金支給額 − 社会保険料 − 基礎控除のみ)× 5.105%

出典:日本年金機構 扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。

配偶者控除・障害者控除などの対象になる方が申告書を提出しないと、これらの控除が反映されないぶん源泉徴収される所得税額が多くなる場合があります。天引き後の実際の受取額(手取り)を知りたい場合は、年金の手取り計算機で年金額を入力すると、税金・保険料を差し引いた概算の手取り額を確認できます。

年金はいくらから税金がかかる?

年金にも所得税がかかりますが、「公的年金等控除」と「基礎控除」の2つを差し引いた後に残額がなければ課税されません。令和8年分の場合、年金以外に所得がない方の非課税ラインは次のとおりです。

年齢非課税となる年金収入内訳
65歳未満155万円以下公的年金等控除60万円+基礎控除95万円
65歳以上205万円以下公的年金等控除110万円+基礎控除95万円

出典:国税庁 高齢者と税(年金と税)国税庁 No.1199 基礎控除

基礎控除95万円は令和7年分の税制改正後の金額

基礎控除は令和7年分の税制改正で見直されました。合計所得金額が132万円以下の場合、基礎控除は48万円から95万円に増えています(令和8年分も同額)。以前ネット上でよく紹介されていた「65歳以上は年金収入158万円以下なら非課税」「65歳未満は108万円以下」という基準は、改正前(基礎控除48万円)の数値です。現在は上表の155万円・205万円が正しい基準になります。

公的年金等控除の額は、年金収入以外の所得金額が1,000万円以下の場合、年金収入額に応じて段階的に決まります。65歳以上で年金収入が110万円を超えると、超えた部分に応じて雑所得(課税対象になりうる所得)が発生し、そこから基礎控除などをさらに差し引いて所得税額を計算します。

なお、これは「所得税」の基準です。住民税は自治体ごとに非課税限度額が異なり、所得税とは別の基準で判定されます。お住まいの自治体での住民税非課税の目安は住民税非課税世帯 判定ツールで確認できます。

正確な受給額を知るには

この記事の表はあくまで目安(概算)です。実際の受給額は、免除期間の有無、平成15年3月以前の加入期間、繰り上げ・繰り下げ受給の選択などによって変わります。正確な金額を確認する方法は次の2つです。

  • ねんきん定期便:毎年の誕生月に日本年金機構から送付される書面。これまでの加入記録と、50歳以上の方は将来の見込み額が記載されています。
  • ねんきんネット:日本年金機構のオンラインサービス。24時間いつでも、これまでの加入記録や年金見込み額を確認できます。

おおよその目安をまず自分で試算したい場合は、年金受給額シミュレーターで加入年数・年収・受給開始年齢を入力すれば、繰り上げ・繰り下げによる増減額まで含めて概算できます。天引き後の手取り額を知りたい場合は年金の手取り計算機をご利用ください。

よくある質問

Q. 年金は平均でいくらもらえますか?

A. 個人の加入記録によって大きく異なるため一概には言えませんが、日本年金機構が公表する令和8年度の「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」は月237,279円です。これは平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間就業した会社員の夫と、専業主婦(第3号被保険者)の妻という特定のモデル世帯の金額であり、実際の受給者全体の平均額とは異なります。単身者や自営業期間が長い方、加入期間が短い方はこれより少なくなります。

Q. 年金はいくらから税金がかかりますか?

A. 65歳以上で年金以外に所得がない場合、年間の年金収入が205万円以下であれば所得税はかかりません(公的年金等控除110万円+基礎控除95万円、令和8年分)。65歳未満の場合は155万円以下です(公的年金等控除60万円+基礎控除95万円)。基礎控除の額は令和7年分の税制改正で見直されており、以前よく紹介されていた「158万円」「108万円」という基準は改正前の数値のため、現在は当てはまりません。

Q. 年金からはいくら引かれますか?

A. 年間の年金受給額が18万円以上の65歳以上の方は、介護保険料・国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)・住民税が年金から天引き(特別徴収)されます。さらに年金収入が一定額を超える場合は、所得税および復興特別所得税も源泉徴収されます。額面のおおむね1〜2割程度が引かれるケースが多いですが、保険料は市区町村や所得によって差があるため、目安として年金の手取り計算機で概算するのがおすすめです。

Q. 年収別の年金額はどうやって計算していますか?

A. 老齢基礎年金は「満額847,300円(令和8年度・昭和31年4月2日以後生まれの場合)×国民年金の納付月数÷480ヶ月」、老齢厚生年金(報酬比例部分)は「平均年収÷12×5.481÷1000(2003年4月以降の乗率)×厚生年金の加入月数」の合計で概算しています。この記事の年収別・加入期間別の表もこの計算式にもとづいた目安です。

Q. 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出しないとどうなりますか?

A. 提出しなくても所得税の税率自体が変わるわけではありません。ただし配偶者控除や障害者控除などの適用を受けられなくなるため、その分、年金から源泉徴収される所得税額が多くなる場合があります。控除の適用を受けたい場合は、確定申告をすることで還付を受けられることもあります。

Q. 正確な受給額を知るにはどうすればいいですか?

A. この記事の年収別の表はあくまで目安(概算)です。実際の受給額は、加入していた年金制度の種類、免除期間の有無、平成15年3月以前の加入期間などによって変わります。正確な金額は、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」で、自分の加入記録にもとづいた見込み額を確認してください。

参考・出典

自分の年収・加入年数で計算してみる

この記事の表は目安です。加入年数・平均年収・受給開始年齢を入力して、あなたの概算受給額を確認できます。

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