会社員のための節税10選【iDeCo・住宅ローン・医療費・ふるさと納税】
「会社員は節税できない」はもう古い考え方です。確定申告や年末調整を活用すれば、会社員でも年間で数万円〜数十万円の節税が可能です。iDeCoやふるさと納税はすでに知っている方も多いですが、特定支出控除や配偶者控除の見直しなど、見落としがちな制度もあります。活用できる節税手段を10選にまとめました。
節税1:iDeCo(掛金が全額所得控除)
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後の資産形成をしながら節税できる制度です。掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になるため、拠出した分だけ所得税・住民税が下がります。 2024年1月から新NISA制度がスタートし、年間投資枠が最大360万円に拡充されました。iDeCoと合わせて活用することで、会社員の節税効果は大幅に向上します。
- 会社員の掛金上限:月2万3,000円(企業型DC未加入の場合)
- 年収500万円(所得税率20%)の場合、月2万3,000円掛けると年間約8万2,800円の節税効果
- 60歳まで引き出せないが、運用益も非課税
- 受取時は退職所得控除または公的年金等控除が使える
企業型DCがある会社員は上限額に注意
勤務先に企業型DC(企業型確定拠出年金)がある場合、iDeCoとの合計掛金に上限(月5万5,000円以内で、企業型DCの掛金との合計)があります。会社の人事・総務部に確認してください。
節税2:つみたてNISA(運用益非課税)
2024年から始まった新NISAは、年間360万円まで投資でき、運用益・配当金が永久に非課税です。iDeCoと異なり掛金の所得控除はありませんが、資産を自由に引き出せる流動性の高さが特徴です。
- つみたて投資枠:年120万円まで(長期積立向け)
- 成長投資枠:年240万円まで(個別株・ETF等)
- 生涯非課税枠:合計1,800万円
- 通常の課税口座では運用益に20.315%の税金がかかるため、長期運用ほど節税効果が大きい
節税3:住宅ローン控除(最大13年間)
住宅ローンを使って住宅を購入・建築・リフォームした場合、年末のローン残高の0.7%が最大13年間にわたって所得税・住民税から控除されます。
- 2024年〜2025年入居分(認定住宅):年末ローン残高5,000万円まで × 0.7% = 最大35万円/年
- 一般住宅(省エネ基準以上):残高3,000万円まで × 0.7% = 最大21万円/年
- 初年度は確定申告が必要(2年目以降は年末調整で対応)
- 夫婦でローンを組む(ペアローン)場合はそれぞれで控除を受けられる
2024年以降の省エネ基準の適用に注意
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準(断熱等性能等級4以上等)を満たさないと住宅ローン控除の対象外になります。物件購入前に確認しておきましょう。
節税4:医療費控除(年10万円超)
1年間(1月〜12月)に支払った医療費が10万円(または総所得金額等の5%のどちらか低い方)を超えた場合、超えた分が所得控除になります。
- 対象:本人および生計を同じにする家族の医療費(診察代・薬代・入院費・通院交通費等)
- 対象外:保険金等で補てんされた金額・美容整形・健康診断費(疾病発見時の治療費は対象)
- 医療費控除は年末調整では対応できず、確定申告が必要
- 医療費の領収書は5年間保存(提出不要になったが税務調査に備えて保管)
家族全員分の医療費を最も収入の高い人が申告することで、控除の恩恵が最大化されます。
節税5:ふるさと納税(実質2,000円負担)
ふるさと納税は自治体への寄附です。寄附金額から2,000円を引いた全額が所得税・住民税から控除されます。返礼品(3割相当)を受け取ることで実質2,000円負担で返礼品がもらえます。
- 年収500万円・扶養家族なし:控除上限の目安は約6万1,000円
- ワンストップ特例制度を使えば確定申告不要(寄附先5自治体以内)
- 確定申告をする人はすべての寄附分をまとめて申告可能
- 2025年10月以降:返礼品の調達基準が寄附額の3割・経費率5割に変更
控除上限額を超えると逆に損になります
ふるさと納税の控除上限は収入・家族構成によって異なります。各ポータルサイトの上限額シミュレーターを使って事前に確認してください。上限を超えた分の寄附は2,000円の自己負担が増えるだけです。
節税6:生命保険料控除(最大12万円)
生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払っている場合、それぞれ最大4万円(合計最大12万円)の所得控除が受けられます。
- 一般の生命保険料控除:最大4万円(2012年以降の新契約)
- 介護医療保険料控除:最大4万円
- 個人年金保険料控除:最大4万円
- 年末調整で申告できる(保険会社から届く控除証明書が必要)
節税目的だけで保険に加入するのは本末転倒ですが、すでに加入している保険は必ず年末調整で申告しましょう。
節税7:地震保険料控除(最大5万円)
地震保険(または経過措置の長期損害保険)を支払っている場合、支払額が最大5万円まで所得控除になります。
- 支払った地震保険料全額が控除対象(上限5万円)
- 年末調整で申告可能
- 火災保険単独では控除の対象外(地震保険特約がある場合は対象)
節税8:セルフメディケーション税制
健康診断・予防接種などを受けた会社員が、特定のOTC医薬品(スイッチOTC薬)を年間1万2,000円超購入した場合、超えた分(上限8万8,000円)が所得控除になります。医療費控除とは選択適用です。
- 対象:ドラッグストア等で購入できる特定のOTC医薬品(パッケージに「セルフメディケーション税制対象」マーク)
- レシートを保管し、確定申告で申告する
- 医療費控除と併用はできず、どちらかを選ぶ
- 医療費が10万円に届かない年はこちらが有利な場合がある
節税9:特定支出控除(会社員の経費)
会社員は原則として経費控除できませんが、給与所得控除の2分の1を超える特定支出がある場合は、超えた分を所得から控除できます。
特定支出の主な対象
- 通勤費:会社が支給している額を超える部分(電車・バス等の実費)
- 転居費:転勤に伴う引越し費用
- 研修費:業務上必要な資格取得・研修の費用
- 資格取得費:業務に直接関連する資格(弁護士・公認会計士・医師等)
- 帰宅旅費:単身赴任者の帰宅交通費
- 図書費・衣服費・交際費:業務に必要で会社が認める場合(上限65万円)
適用には会社から「特定支出に関する証明書」を発行してもらい、確定申告で申告する必要があります。
会社の証明が必要です
特定支出控除は自己申告だけでは受けられません。支出が業務上必要であることの会社の証明が必要です。認めてもらいやすい項目(研修費・資格取得費)から検討するのが現実的です。
節税10:配偶者控除・扶養控除の見直し
家族の収入状況が変わった際に、配偶者控除・扶養控除の申告を見直すことで節税になる場合があります。
- 配偶者控除:配偶者の年収103万円以下の場合、最大38万円控除(世帯主の所得1,000万円超は不可)
- 配偶者特別控除:103万円超〜201万円以下の場合に段階的に適用
- 扶養控除:16歳以上の子や親を扶養している場合、38万円〜63万円の控除
- 年の途中で状況が変わった場合は翌年の年末調整・確定申告で適用できる
同居の親が年金を受給している場合でも、年金収入が158万円以下(65歳以上)なら扶養控除の対象になります。親の収入を確認して損のない申告をしましょう。