確定申告が必要な会社員のケースまとめ【医療費・副業・年収2,000万円超】
「会社員は年末調整で税務処理が完結する」というのは多くの場合正しいですが、一定の条件に当てはまると確定申告が必要になります。確定申告をしなかった場合、控除を受け損なうか、または申告義務違反となるリスクがあります。この記事では、会社員が確定申告すべきケース・しなくてもいいがした方が得なケースを整理し、e-Taxでの申告方法の概要まで解説します。
確定申告が必要なケース一覧
会社員が確定申告を行う必要があるケースと、任意(した方が得)なケースを整理します。 国税庁の調査によると、e-Taxによる確定申告件数は年々増加しており、2022年度は約2,100万件がオンラインで提出されています。
義務として申告が必要なケース
- 年収が2,000万円を超える
- 2か所以上から給与を受け取っている
- 副業・フリーランス・不動産収入など給与以外の所得が20万円を超える
- 退職所得がある(退職所得の選択課税をしない場合)
任意だが申告すると還付が受けられるケース
- 医療費の自己負担が一定額を超えた
- 住宅ローンを組んだ初年度
- ふるさと納税をワンストップ特例で申請しなかった、または6自治体以上に寄付した
- 年末調整後に扶養家族が増えた
- 年の途中で退職し年末調整を受けていない
- 特定支出控除(スーツ代・資格取得費用など業務に関連する支出)
申告期限は翌年3月15日
確定申告の申告・納税期限は翌年の3月15日です(還付申告のみの場合は翌年1月1日から5年間申告可能)。期限を過ぎると延滞税・無申告加算税が課される場合があります。
医療費控除(年10万円超または総所得の5%超)
1月1日から12月31日の間に支払った医療費の合計が、年10万円を超えた場合(総所得金額が200万円未満の場合は総所得の5%超)に医療費控除を受けられます。
医療費控除の対象になる主なもの
- 病院・歯科・薬局での支払い(保険適用分・自己負担分)
- 入院時の差額ベッド代・食事療養費
- 市販薬(一部)・医薬品購入費
- 通院のための公共交通機関の交通費
- 出産費用(健康保険からの補助を除いた実費)
対象にならない主なもの
- 健康診断・予防接種(病気が発見されて治療につながった場合を除く)
- 美容整形・美容目的の歯科矯正
- マッサージ・温泉療養(医師の指示がない場合)
医療費控除の申告にはレシートが必要
医療費の領収書は申告の際に必要です(e-Tax申告の場合は5年間保存義務)。1年間の医療費をエクセルや家計簿アプリで管理しておくと年末に楽です。
住宅ローン控除(初年度のみ確定申告が必要)
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末の住宅ローン残高の一定割合を所得税・住民税から控除できる制度です。
初年度は確定申告が必要
住宅ローン控除の初年度のみ確定申告が必要です。2年目以降は会社の年末調整で処理できます(会社に「住宅借入金等特別控除申告書」を提出)。
必要書類
- 住宅取得に関わる書類(売買契約書または請負契約書のコピー)
- 住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から郵送される)
- 登記事項証明書(法務局で取得)
入居年の所得税が少ない場合は住民税からも控除
住宅ローン控除で所得税から控除しきれない分は住民税からも控除されます(上限あり)。確定申告書に正確に記入することで自動的に反映されます。
副業所得が20万円超の場合
給与所得者が副業・フリーランス・不動産収入などで年間20万円を超える所得を得た場合、確定申告が義務です。
「所得」は「収入 − 経費」であることに注意してください。副業で売上が30万円あっても、材料費・通信費・交通費などの経費が15万円あれば、所得は15万円となり申告不要になります。
20万円以下でも住民税の申告は必要
所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要です。住民税は市区町村への申告です(確定申告をした場合は自動連携される)。
年収2,000万円超の場合
給与収入の合計が年間2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となるため、確定申告が義務です。これは高所得者の所得計算が複雑になるためです。
- 2,000万円超の場合は会社での年末調整ができない
- 本人が確定申告を行い、所得税額を確定させる必要がある
- 複数の会社から給与を受け取っている場合も合算額が2,000万円超なら申告が必要
ふるさと納税でワンストップを使わなかった場合
ふるさと納税の控除を受けるには、ワンストップ特例か確定申告のどちらかが必要です。以下の場合は確定申告で控除を申請します。
- 6自治体以上に寄付した
- ワンストップ申請書を期限(翌年1月10日)までに提出しなかった
- 医療費控除など他の理由で確定申告をする必要がある(ワンストップと確定申告を同時に行うと、ワンストップの効力が消えるため確定申告にまとめる)
確定申告でも全額控除できる
確定申告でのふるさと納税控除は、寄付金控除として申告します。上限額内の寄付であれば、ワンストップと同様に実質2,000円の負担で控除を受けられます。
e-Taxでの申告方法の概要
確定申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、自宅のパソコンやスマートフォンから行うことができます。
e-Taxの主なメリット
- 税務署に行く必要がない
- 申告書の作成から送信まで一体で完結
- 医療費のデータをマイナポータルから自動連携できる(マイナンバーカード必須)
- 還付金の処理が早い(書面申告より早く振り込まれる傾向)
e-Taxを使った申告の流れ
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
マイナンバーカード+スマートフォン、またはID・パスワード方式でログインできます。
- 給与所得・各種控除の入力をする
源泉徴収票の数字を入力します。医療費・住宅ローン・ふるさと納税などの控除もこの画面で入力します。
- 申告書の内容を確認して送信する
計算結果(還付額または納税額)を確認し、問題なければ電子署名を付けて送信します。