年末調整の書き方と控除を最大活用する方法【扶養・保険・住宅ローン】
毎年10〜12月に会社から書類が配られる年末調整。「難しそうだから適当に書いている」という方は損をしているかもしれません。年末調整は会社員が税金を取り戻す最大のチャンスです。扶養控除・保険料控除・住宅ローン控除・配偶者控除など、正しく申告すれば数万〜十数万円の還付を受けられるケースもあります。本記事では各申告書の書き方と、控除を漏れなく使いこなすためのポイントを解説します。
年末調整で申告できる控除の一覧
年末調整とは、毎月の給与から概算で源泉徴収されている所得税を精算する手続きです。以下の控除を申告することで、払いすぎた税金が還付されます。 国税庁の調査によると、年末調整による所得税の還付総額は年間約3兆円規模に上り、正確な記載によって還付額が大きく変わることがあります。
- 扶養控除:16歳以上の扶養親族(子・親など)がいる場合。38〜63万円の控除
- 配偶者控除・配偶者特別控除:配偶者の年収が一定以下の場合。最大38万円
- 生命保険料控除:一般生命・介護医療・個人年金の3区分。最大12万円
- 地震保険料控除:地震保険・旧長期損害保険料。最大5万円
- 社会保険料控除:国民健康保険・国民年金など(給与天引き以外で支払った分)。全額控除
- 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)など。全額控除
- 住宅借入金等特別控除:住宅ローン控除(2年目以降)
- 障害者控除・ひとり親控除・寡婦控除:該当する場合
- 勤労学生控除:学生アルバイトで年収130万円以下の場合
医療費控除・寄附金控除は年末調整では申告できない
医療費控除・ふるさと納税(寄附金控除)・住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要です。年末調整の対象外なので注意してください。
扶養控除申告書の書き方
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は年末調整の基本書類です。扶養親族がいる場合の記入ポイントを解説します。
扶養控除の対象と控除額
- 一般の扶養親族(16歳以上):38万円控除
- 特定扶養親族(19〜22歳):63万円控除(大学生の子など)
- 老人扶養親族(70歳以上):同居:58万円、別居:48万円
記入上の注意点
- 扶養親族の年収(合計所得)が48万円(給与収入103万円)以下であることが条件
- 別居している親を扶養に入れる場合は「生計を一にしている」ことが必要(仕送りで証明)
- 16歳未満の子は「住民税に関する事項」欄に記入(所得税の扶養控除対象外だが住民税の計算に使う)
年の途中で扶養が変わった場合
結婚・出産・親の扶養追加など年の途中で扶養状況が変わった場合は、速やかに「扶養控除等異動申告書」を会社に提出してください。年末調整時に反映されます。
保険料控除申告書の書き方
「給与所得者の保険料控除申告書」には、生命保険料・地震保険料・個人年金保険料などを記入します。
生命保険料控除(最大12万円)
生命保険料控除は3区分(一般生命・介護医療・個人年金)それぞれについて最大4万円、合計最大12万円の所得控除です。
- 新契約(2012年1月以降):各区分の年間払込保険料が8万円超 → 一律4万円控除
- 旧契約(2011年12月以前):年間払込保険料10万円超 → 一律5万円控除
保険会社から毎年10〜11月頃に「生命保険料控除証明書」が届くので、そのまま申告書に添付して提出します。
地震保険料控除(最大5万円)
地震保険料を年間5万円超支払っている場合は一律5万円控除(5万円以下なら全額)。損害保険会社から控除証明書が届きます。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除の対象です。国民年金基金連合会から控除証明書が届きます。年末調整で申告できます(年末調整の対象)。
住宅ローン控除(2年目以降は年末調整で可)
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、初年度のみ確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で手続きできます。
年末調整での住宅ローン控除の手順
- 税務署から送付される「住宅借入金等特別控除証明書」(毎年9〜10月頃)
- 金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
- 上記2点を「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に添付して会社に提出
住宅ローン控除は所得税から直接差し引かれる「税額控除」であり、所得控除と比べて節税効果が大きいです。記入漏れのないよう必ず申告してください。
配偶者控除・配偶者特別控除の判定
配偶者(事実婚を除く法律上の配偶者)がいる場合、本人(申告者)の所得と配偶者の所得に応じて控除額が変わります。
| 配偶者の合計所得 | 配偶者控除(本人所得900万円以下の場合) |
|---|---|
| 48万円以下(給与収入103万円以下) | 38万円(配偶者控除) |
| 48万円超〜133万円以下(給与収入103万〜201万円) | 3〜38万円(配偶者特別控除) |
| 133万円超 | 控除なし |
本人(申告者)の合計所得が900万円超の場合は控除額が段階的に減少し、1,000万円超では配偶者控除・配偶者特別控除は適用されません。
申告を忘れた場合の確定申告での取り戻し方
年末調整で控除の申告を忘れた場合でも、翌年の確定申告(2〜3月)で申告することで還付を受けられます。
- 還付申告(過去5年分):確定申告の期限(3月15日)を過ぎても5年以内なら還付申告が可能
- e-Tax(国税庁のオンライン申告):スマートフォンから手軽に申告できる。マイナンバーカードがあれば便利
- 医療費控除・ふるさと納税のワンストップ特例が利用できなかった場合も確定申告で申告可能
給与以外の所得がある場合は確定申告が必要
副業収入が年間20万円超・ふるさと納税を6自治体以上・医療費が年間10万円超(または所得の5%超)の場合は確定申告で申告します。年末調整だけでは完了しません。