在宅勤務・テレワークの経費精算と確定申告【通信費・光熱費の計算方法】

テレワーク(在宅勤務)が普及した一方で、「自宅の通信費・電気代が増えたのに会社に請求できない」「そもそも経費として認めてもらえるかわからない」という悩みを持つ会社員は多いです。テレワークの費用負担は会社と個人の間で法的に整理されていない部分が多いですが、会社への請求方法、確定申告での「特定支出控除」、按分計算の方法まで整理して解説します。

会社へのテレワーク費用請求(通信費・光熱費の按分)

テレワークで発生する主な費用は、通信費(インターネット代・スマートフォン通話料)と光熱費(電気代)です。これらは業務目的で使用した部分を会社に請求することができます。 厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定以降、テレワーク勤務者の割合が増加しており、自宅勤務に関連する経費の扱いへの関心が高まっています。

国税庁が示す按分計算の目安

2020年、国税庁は在宅勤務費用の按分計算式を公表しました(課税上のガイドライン)。

通信費の業務利用按分 = 1か月の通信費 × 業務利用日数 ÷ 月の日数 × 1/2

例:月5,000円の通信費で22日テレワーク → 5,000 × 22/30 × 1/2 ≒ 1,833円

電気代の業務利用按分 = 1か月の電気代 × 業務利用日数 ÷ 月の日数 × 1/2 × 業務利用部屋の面積 ÷ 自宅全体の床面積

面積按分まで考えると複雑になるため、会社によっては定額手当で代替することが多い

会社に実費精算を求める場合は、上記の計算式で算出した金額と領収書・明細書を提出します。

会社が経費精算に応じない場合の対処

テレワーク費用の精算を会社が拒否・無視した場合、以下の選択肢があります。

  • 就業規則・テレワーク規程を確認する:会社のルールにテレワーク費用の負担規定があるか確認する
  • 人事・労務担当者に書面で申し入れる:口頭より書面(メール)で履歴を残す
  • 確定申告で「特定支出控除」を使う:条件を満たせば自分で確定申告して一部控除できる(後述)
  • テレワーク手当の導入を提案する:労使交渉・組合交渉で定額手当の制度化を求める

費用負担は法的に義務化されていない

現時点で、テレワーク費用を会社が負担することは法律上の義務ではありません。ただし業務遂行に必要な費用を従業員に一方的に負担させることは、労働条件の不利益変更として問題になる場合があります。

確定申告での「特定支出控除」

給与所得者は通常、実際にかかった経費を控除することができませんが、「特定支出控除」という制度を使うと一定の業務関連費用を所得から控除できます(租税特別措置法57条の2)。

特定支出控除が使える条件:

  • 特定支出の合計額が「給与所得控除額の1/2」を超えること
  • 会社(給与支払者)が業務に必要と証明した支出であること(「特定支出に関する証明書」が必要)

控除額 = 特定支出合計 − 給与所得控除額 × 1/2

給与所得控除額(例):年収600万円 → 控除額164万円 → 1/2は82万円。特定支出が82万円超の部分が控除

特定支出控除の対象と計算方法

特定支出として認められる費用の種類:

  • 通勤費:会社から支給される通勤手当で賄えない実際の通勤費
  • 職務上の旅費:業務上の出張旅費で会社精算されない部分
  • 転居費:転勤等による転居費用
  • 研修費:職務遂行に必要な技術・知識習得のための研修費(会社が認めるもの)
  • 資格取得費:業務に直接必要な資格の取得費用(会社が認めるもの)
  • 帰宅旅費:単身赴任者の帰宅交通費
  • 図書費・衣服費・交際費:職務に必要な書籍代・制服代・業務上の接待費(各上限あり)

テレワークの通信費は「職務上の旅費」ではありませんが、業務に必要と会社が証明すれば「職務に直接必要な図書費等」に準じて申告できる余地があります。ただし会社の証明書が必須です。

控除額のハードルが高い

給与所得控除の1/2を超える特定支出が必要なため、年収600万円以上の方でも82万円超の特定支出がなければ控除できません。テレワーク費用のみでこの水準に達するケースは少なく、主に研修費・資格取得費と組み合わせると有効です。

在宅勤務手当の税務上の扱い

会社から受け取る「在宅勤務手当」の税務上の扱いは、その性質によって異なります。

  • 実費精算型(領収書提出・按分計算):原則として非課税。業務のために必要な費用と認められる
  • 定額手当型:原則として給与所得として課税される。ただし金額が合理的な範囲(月数千円程度)であれば実態に即して非課税とされることもある

国税庁の2020年のガイドラインでは、在宅勤務に通常必要な費用として支給される手当は、①業務使用割合を合理的に計算・精算するもの、または②一定額以下の定額手当(月5,000円程度まで)が課税されないとされています。

自宅を一部事業利用する場合の按分計算

副業・フリーランス収入がある会社員が自宅を事業にも使用する場合、賃料・光熱費の一部を経費として計上できます(確定申告の事業所得・雑所得として)。

  • 面積按分:仕事専用スペース(または使用割合)÷ 自宅全体の面積
  • 時間按分:1日のうち業務に使った時間 ÷ 24時間(または16時間)
  • 両方を組み合わせて按分することも可能

按分の根拠資料(間取り図・業務日報等)を保存しておくことで、税務調査の際に説明できるようにしておきましょう。

参考・出典

副業収入の税金をシミュレーション

テレワーク中に副業をしている場合の税金計算もできます。

副業税金計算ツールを使う →

会社員の計算帳 運営事務局

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