火災保険の家財は必要?賃貸と持ち家で入るものの違い、地震で家財が壊れたとき出る保険と上限額|保険金額の決め方、個人賠償特約との重複、地震保険料控除
家財の火災保険は、建物とは別に契約しているかを確かめるところから始めます。日本損害保険協会は、火災保険では建物と家財を分けて契約し、借家にお住まいの方は家財のみ契約することになる、と説明しています。そして地震で家財が壊れたときは、財務省の説明のとおり火災保険では補償されず、地震保険(家財の保険金額は1,000万円が限度)で備える部分です。
家財の保険を確かめる順番
自分の家財に今どんな保険がかかっているかは、保険証券か契約内容の通知で確かめられます。次の3点をこの順に見ます。
- 1. 家財の契約があるか:火災保険は建物と家財が別契約です。建物は契約したのに家財は契約していなかった、という状態を協会は注意点に挙げています。借家なら家財のみの契約になります。
- 2. 火災のほかに何が補償されるか:火災保険には、補償の範囲が広い住宅総合保険と、ベーシックな住宅火災保険があります。水災・盗難・水濡れなどが入っているかは、このタイプで変わります。
- 3. 地震保険を付けているか:地震・噴火・津波が原因の損害は火災保険では出ません。家財の地震保険は、火災保険にセットして別に契約します。
保険料の相場や、どの保険会社・どの商品がよいかは、この記事では取り上げません。補償の内容は商品ごとに違い、特定の商品や会社は勧めません。
住まいごとに、入るものと確かめること
下の表は、日本損害保険協会・財務省・民法の説明をもとに、住まいごとに整理したものです。実際の契約内容は保険会社と商品で違うため、保険証券の補償一覧と見比べてください。
| 住まい | 入るもの | 確かめること |
|---|---|---|
| 賃貸(借家) | 家財の火災保険(借家は家財のみ契約) | 賃貸借が終わるとき、借りた部屋に生じた損傷は借主が原状に戻す義務を負う(民法621条。通常の使用による損耗・経年変化は除く)。この賠償を契約が扱うかは、保険証券の補償の項目で確かめる |
| 持ち家(建物を所有) | 建物と家財を別々に契約 | 建物は入っているが家財は入っていない、ということがないか |
| どちらでも:高額な貴金属・美術品がある | 家財の契約。ただし高額品は保険会社に知らせる | 知らせないと保険金が支払われない場合がある(協会)。地震保険では、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とうは対象外(財務省) |
| どちらでも:地震で家財が壊れた | 火災保険にセットする地震保険 | 火災保険では、地震が原因の火災や延焼・拡大した損害も補償されない(財務省) |
| どちらでも:他人の物を壊した・けがをさせた | 個人賠償責任保険(火災保険などの特約として付けられる) | 家財の保険とは別の補償。すでにほかの契約で付いていないか |
※日本損害保険協会「火災保険」「個人賠償責任保険」、財務省「地震保険制度の概要」、民法第621条で、2026年10月3日に確認しました。
火災保険のタイプによる補償の違いは、協会が次の表で示しています。
| 補償の種類 | 住宅総合保険 | 住宅火災保険 |
|---|---|---|
| 火災・落雷・破裂爆発 | ○ | ○ |
| 風災・ひょう災・雪災 | ○(一部自己負担額がある場合もある) | ○(同左) |
| 水災 | ○(一部自己負担額がある場合もある) | × |
| 自動車の飛込み等による飛来・落下・衝突、給排水設備の事故等による水濡れ | ○ | × |
| 騒じょう等による暴行・破壊、盗難 | ○ | × |
※日本損害保険協会「火災保険」の表を、補償の種類をまとめて並べ直しました。表の「○」「×」は協会の表のとおりです。商品によって補償の範囲は異なります。
家財の保険金額の決め方
日本損害保険協会は、火災保険の契約金額を設定する方法を2つ挙げています。「再調達価額」は同等の物を新たに建築・購入するのに必要な金額、「時価」は再調達価額から年月の経過や使用による消耗分を差し引いた金額です。
| 契約方法 | 意味 | 協会の支払い例(建物の全焼) |
|---|---|---|
| 再調達価額で契約 | 同等の物を新たに用意する金額をもとに設定 | 建て直しに必要な額(2,500万円)が支払われる |
| 時価で契約(契約金額が時価より低い) | 時価を下回って契約 | 契約金額1,000万円が限度。損害額どおりには支払われない |
| 時価で契約(契約金額と時価が同じ) | 時価いっぱいに設定するのが基本 | 1,900万円が支払われる(時価から消耗分を差し引いた額) |
| 時価で契約(契約金額が時価より高い) | 時価以上に設定 | 損害額(1,900万円)が限度。時価以上の保険料がムダになる |
※日本損害保険協会「火災保険」の「契約金額の設定方法」「保険金の支払事例」で、2026年10月3日に確認しました。協会の例は建物が全焼した場合の数字で、契約金額の設定の考え方を示しています。家財の評価の方法は保険会社ごとに案内が異なるため、契約する保険会社に確認してください。
家財の古さによって、再調達価額と時価の差は変わります。この記事は、どちらで契約するべきかは決めません。協会の説明にあるとおり、時価を下回る契約金額では損害の全額が補償されない場合があるため、保険証券でどちらの方法かを確かめるのが先です。
地震で家財が壊れたとき
財務省は、火災保険では地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されない、と説明しています。地震・噴火・これらによる津波で家財が燃えたり壊れたり流されたりした損害に備える保険が、地震保険です。
- 火災保険にセット:地震保険は単独では契約できません。火災保険の契約期間の途中からでも加えられます(協会・財務省)。
- 建物と家財で別々に契約:協会は、地震保険の契約は建物と家財のそれぞれで行う、と説明しています。賃貸で家財の地震保険を付けていない方への案内も出しています。
- 金額は火災保険の30〜50%:地震保険に関する法律第2条第2項第4号は、地震保険の保険金額を、附帯される火災保険の保険金額の30%以上50%以下と定め、上限を政令に委ねています。施行令第2条は、居住用建物は5,000万円、生活用動産(家財)は1,000万円です。同じ家財に既に地震保険契約がある場合は、その金額を差し引いた額になります。
- 対象外の家財:通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手、自動車、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・骨とう等は対象外です(財務省・協会)。
- 10日の期限:地震等が発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害は、保険金が支払われません(協会の案内)。
支払われる保険金は、実際の修理費や買い替えの費用ではなく、地震保険の保険金額の一定割合です。家財の損害の程度は、施行令第1条第1項と協会の案内で、次のように決まります。
| 家財の損害の程度 | 損害額(家財の時価に対して) | 支払われる保険金(保険金額に対する割合。300万円の場合) |
|---|---|---|
| 全損 | 80%以上 | 100%(300万円。時価が限度) |
| 大半損 | 60%以上80%未満 | 60%(180万円。時価の60%が限度) |
| 小半損 | 30%以上60%未満 | 30%(90万円。時価の30%が限度) |
| 一部損 | 10%以上30%未満 | 5%(15万円。時価の5%が限度) |
※地震保険に関する法律施行令第1条第1項第5号〜第8号、財務省「地震保険制度の概要」、日本損害保険協会「地震保険についてのご案内」で、2026年10月3日に確認しました。「300万円の場合」は、家財の火災保険の保険金額が1,000万円で、地震保険をその30%にした場合の計算例です(法令の割合を掛けただけで、保険料や相場ではありません)。損害の程度は、家財を食器類・電気器具類・家具類・身回品その他・寝具衣類の5つに分けて調べて決まります。
協会のチラシは、地震保険の保険金は使い道が決められていないため、家財の買い替えのほか、当面の生活費、仮住まい費用、引越費用など生活の再建に使える、と説明しています。保険料は、建物の構造と所在地で異なります(協会)。
個人賠償責任の特約との重複
日本損害保険協会は、個人賠償責任保険は自動車保険、火災保険、傷害保険などの特約として契約できる、と説明しています。家財の火災保険に特約が付いていないか、ほかの保険と重なっていないかは、個人賠償責任保険は必要かに原典があります。
地震保険料控除の扱い
国税庁のタックスアンサーは、地震保険料控除を、特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料を支払った場合の所得控除と説明しています。対象の契約は、自分や生計を一にする親族が所有する、常時居住する家屋と、生活に通常必要な家具、じゅう器、衣服などの生活用動産を対象にするものです。家財だけの地震保険も、生活用動産を対象にする契約です。
| 区分 | 年間の支払保険料の合計 | 控除額 |
|---|---|---|
| 地震保険料 | 50,000円以下 | 支払金額の全額 |
| 地震保険料 | 50,000円超 | 一律50,000円 |
※国税庁タックスアンサー No.1145「地震保険料控除」・No.1146「地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約」(令和8年4月1日現在法令等)で、2026年10月3日に確認しました。平成18年12月31日までに締結した一定の長期損害保険契約等は、旧長期損害保険料として別の計算になります。
控除でいくら戻るかは地震保険料控除でいくら戻る、年末調整の申告書への書き方は地震保険料控除の年末調整の書き方にあります。支払った保険料のうち対象になる金額は、保険会社から届く証明書で確認できます。
よくある質問
Q. 賃貸でも、火災保険の家財は必要ですか?
A. この記事は、入る・入らないを決めるものではありません。日本損害保険協会は、火災保険は建物と家財を分けて契約し、借家にお住まいの方は家財のみ契約することになると説明しています。家財が燃えたり盗まれたりしたときに、買い替えの費用を自分で出せるかどうかは世帯ごとに違います。すでに契約がある場合は、家財の項目があるかを保険証券で確かめてください。
Q. 地震で家財が壊れたとき、火災保険から出ますか?
A. 財務省は、火災保険では地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・拡大した損害は補償されない、と説明しています。地震・噴火・津波による家財の損害に備える保険は、火災保険にセットして契約する地震保険です。
Q. 地震保険だけを契約できますか?
A. 日本損害保険協会と財務省は、地震保険は火災保険にセットして契約する、と説明しています。火災保険の契約期間の途中からでも、地震保険を加えられます。
Q. 火災保険の保険料も、地震保険料控除の対象になりますか?
A. 国税庁のタックスアンサーは、地震保険料控除を、特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料を支払った場合の控除と説明しています。対象になる保険料がいくらかは、保険会社から届く控除証明書で確認できます。
参考・出典
- 日本損害保険協会:火災保険・地震保険・個人賠償責任保険・あなたの大事な家財には備えていますか? 地震保険(PDF)・地震保険についてのご案内(PDF)
- 財務省:地震保険制度の概要
- e-Gov法令検索:地震保険に関する法律(第2条)・地震保険に関する法律施行令(第1条・第2条)・民法(第621条)
- 国税庁:No.1145 地震保険料控除・No.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約
※2026年10月3日現在に日本損害保険協会・財務省・e-Gov・国税庁で確認した内容で、制度や法令は変わることがあります。火災保険・地震保険の補償の範囲や金額の決め方は、保険会社と商品ごとに異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではなく、契約の判断は保険証券と保険会社の説明で行ってください。