学資保険は年末調整で控除できる?生命保険料控除の欄・書き方・控除証明書・いくら戻るか

会社に勤めている方向けの解説です。国税庁の原文に「学資保険」と名指しした記述は見つかりませんでした。判断の軸は名前ではなく、保険金等の受取人のすべてが、保険料を払う方またはその配偶者その他の親族であることなどの条件です。対象になるときは、保険料控除申告書の「一般の生命保険料」の欄に書きます。対象かどうかは、保険会社から届く控除証明書で確認できます。この記事では、条件、控除額、申告書の欄、控除証明書、年収500万円でいくら戻るかを、国税庁の資料の範囲でまとめます。

学資保険が対象になる条件

国税庁のNo.1140・No.1141と「年末調整のしかた」から、控除の対象になるかを分ける条件を並べます。「学資保険」という名前の記載はどの資料にもないため、契約の中身で一つずつ照らす形になります。

見るところ国税庁の説明契約書類で確かめること
受取人保険金等の受取人のすべてが、保険料の払込みをする方またはその配偶者その他の親族(No.1141)満期や死亡などの受取人の欄。複数あるときは全員
支払った人控除の対象は所得者本人が支払ったものに限る(年末調整のしかた)。契約者が誰かは要件ではない(No.1140 質疑応答事例)保険料を実際に払っているのは誰か
保険の内容生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる契約など。保険期間5年未満の貯蓄保険等は含まれない(No.1141)保険期間と保険の種類
契約した日平成24年1月1日以後が新、平成23年12月31日以前が旧。控除額の計算が異なる(No.1140)契約日と、控除証明書の適用制度

出典:国税庁 No.1140「生命保険料控除」・No.1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」2-3、2026年10月2日確認。所得税法第76条第5項も受取人の要件は同じ書き方です。

国税庁は、支払った生命保険料が控除の対象になるか否かは、保険会社などから送られてくる証明書で確認できるとしています(No.1141)。条件に迷う契約でも、まず控除証明書が届くかどうかと、その記載(適用制度・金額)を見るのが確実です。

学資保険そのものが必要かどうかは、学資保険は必要?新NISAと比べる無料計算機で比べられます。

控除額(新制度・旧制度・23歳未満の特例)

対象になる場合、年間の支払保険料(剰余金や割戻金を受けたときは差し引いた額)に応じて、所得から次の額が引かれます。新制度・旧制度の式は国税庁の表も所得税法第76条も同じ内容で、23歳未満の特例の式は国税庁の資料によります。

区分年間の支払保険料控除額(所得税)
新制度2万円以下全額
新制度2万円超4万円以下支払保険料×1/2+1万円
新制度4万円超8万円以下支払保険料×1/4+2万円
新制度8万円超一律4万円
旧制度2万5千円以下全額
旧制度2万5千円超5万円以下支払保険料×1/2+1万2,500円
旧制度5万円超10万円以下支払保険料×1/4+2万5千円
旧制度10万円超一律5万円
新制度・23歳未満の扶養親族あり3万円以下全額
新制度・23歳未満の扶養親族あり3万円超6万円以下支払保険料×1/2+1万5千円
新制度・23歳未満の扶養親族あり6万円超12万円以下支払保険料×1/4+3万円
新制度・23歳未満の扶養親族あり12万円超一律6万円

出典:国税庁 No.1140「生命保険料控除」、「令和8年分 年末調整のしかた」計算式Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、2026年10月2日確認。所得税の控除額です。

23歳未満の特例は、令和8年分から、年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)の扶養親族を有する場合の、一般の生命保険料(新生命保険料)に限った式です。国税庁の「年末調整のしかた」は、夫婦の間に年齢23歳未満の扶養親族である子が1人いるような場合は、夫婦の両方が特例を受けられるとしています。

控除額は、一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3つの区分ごとに計算し、合計が12万円を超えるときは12万円が上限です。学資保険の保険料が一般の生命保険料の区分に入る場合は、同じ区分のほかの保険料と合計して計算します。住民税の控除額の式は、生命保険料控除でいくら戻る|年収別早見表と計算機にあります。

いくら戻るか(年収500万円の例)

学資保険の保険料が一般の生命保険料の区分に入り、ほかの一般の生命保険料がない場合の目安です。戻る額は、所得税の還付(年末調整で精算)と、翌年6月からの住民税の軽減(年額)の合計で見ます。

年間の保険料23歳未満の扶養親族がいないいる
年6万円(月5,000円)所得税1,786円+住民税2,800円所得税2,297円+住民税2,800円
年12万円(月10,000円)所得税2,042円+住民税2,800円所得税3,063円+住民税2,800円
年18万円(月15,000円)所得税2,042円+住民税2,800円所得税3,063円+住民税2,800円

年収500万円(額面)の場合。東京都・40歳未満・配偶者控除や扶養控除なしの概算で、tools/nenmatsu-kanpu と同じ前提です。新制度の契約で計算しています。23歳未満の特例は所得税の控除額で、住民税は従来の式のままです。

年間の保険料が12万円のとき、控除額(所得税)は特例なしで40,000円、特例ありで60,000円です。同じ年間12万円でも、年収によって戻る額は変わります。

年収(額面)23歳未満の扶養親族がいないいる
300万円所得税2,042円+住民税2,800円所得税3,063円+住民税2,800円
400万円所得税2,042円+住民税2,800円所得税3,063円+住民税2,800円
500万円所得税2,042円+住民税2,800円所得税3,063円+住民税2,800円
600万円所得税4,084円+住民税2,800円所得税6,126円+住民税2,800円
800万円所得税8,168円+住民税2,800円所得税12,252円+住民税2,800円

年間の保険料12万円(月1万円)の場合。前提は上の表と同じです。実際の額は、他の所得控除や住んでいる自治体によって変わります。

戻る額を自分の年収と他の控除を含めて確かめるには、年末調整でいくら戻るか 計算ツールが使えます。

申告書のどの欄に書くか

対象になる学資保険は、「給与所得者の保険料控除申告書」の「生命保険料控除」の「一般の生命保険料」の欄に書きます。国税庁の記載例(令和8年分)で、この欄に並ぶ項目は次のとおりです。

欄の項目書くこと国税庁の記載例
保険会社等の名称・保険等の種類控除証明書や契約書類を参考に記載「●●生命」「養老」
保険期間・契約者・受取人の氏名契約者と保険金等の受取人はそれぞれ氏名10年、山川 太郎、山川 明子
新・旧の区分控除証明書に書かれている適用制度の新旧区分「新」に○
保険料等の金額(a)本年中に支払った保険料等の金額(剰余金などを引いた後)80,000円

出典:国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」保険料控除申告書の記載例(pdf/307.pdf)、2026年10月2日に記載例の画像で確認。記載例は養老保険の契約で、学資保険の記載例はありません。

年齢23歳未満(平成16年1月2日以後生まれ)の扶養親族を有する場合で、一般の生命保険料(新保険料等に限る)の金額があるときは、申告書の「年齢23歳未満の扶養親族」欄に、その扶養親族の氏名、個人番号、生年月日等を記載します。この場合は計算式Ⅱを使い、一般の生命保険料の控除額の上限は6万円になります。

控除証明書の数字をどの欄に写すかなど、申告書全体の書き方は保険料控除申告書の書き方にまとめています。

控除証明書の扱い

国税庁の「年末調整のしかた」は、証明書類の添付または提示が必要なものを次のように説明しています。

  • 旧生命保険料は、1契約の年間保険料が9,000円を超えるものについて、証明書類が必要です。
  • 旧生命保険料以外(新生命保険料など)は、金額の多少にかかわらず、すべて証明書類が必要です。
  • 証明書類は、保険会社や郵便局などが発行した、保険料の領収書や、支払った生命保険料の金額と保険契約者などの氏名を証明するために特に発行した書類です。
  • 月払契約では、「本年中に支払った生命保険料の金額」に代えて、毎月の払込保険料の金額と本年1月から9月までの払込みの状況が分かる事項が書かれていればよいとされています。
  • 交付を請求中などで証明書類が確認できない場合は、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、控除をして年末調整を行ってもよいとされています。

控除証明書のデータを年調ソフトに取り込む方法には、マイナポータル連携があります。国税庁の「マイナポータルと連携した年末調整手続」では、生命保険料控除証明書が対象に入っています(保険会社等が連携に対応していることが必要)。やり方とできないときの扱いは年末調整のマイナポータル連携とはにまとめています。

よくある質問

Q. 学資保険の保険料は、年末調整で生命保険料控除になりますか?

A. 学資保険という名前で一律に決まるものではなく、契約の内容で決まります。国税庁のNo.1141は、控除の対象を、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる契約などで、保険金等の受取人のすべてを保険料を払う方またはその配偶者その他の親族とするものとしています。保険期間が5年未満の貯蓄保険等は含まれません。対象かどうかは、保険会社などから送られてくる証明書で確認できると国税庁は説明しています。

Q. 契約者が配偶者でも、保険料を払った自分の控除にできますか?

A. 国税庁のNo.1140の質疑応答事例は、契約者が誰であるかは要件とされておらず、受取人の要件を満たしている限り、保険料を支払った方の生命保険料控除の対象になると答えています(妻が契約者で夫が保険料を支払う例)。ただし年末調整のしかたは、控除の対象は所得者本人が支払ったものに限ると説明しています。

Q. 学資保険の保険料は、ほかの生命保険と合算しますか?

A. 国税庁の年末調整のしかたは、支払った保険料を区分ごとに合計し、区分を振り替えることはできないとしています。学資保険の保険料が一般の生命保険料の区分に入る場合は、同じ区分のほかの保険料(終身保険や定期保険など)と合計して控除額を計算します。

Q. 生命保険料控除は、最大でいくら引かれますか?

A. 新制度の一般の生命保険料だけを見ると、年間の支払保険料が8万円を超えると控除額は一律4万円です。一般の生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の控除額の合計が12万円を超える場合は、12万円が上限です。令和8年分は、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合の新生命保険料について、年間12万円を超えると一律6万円になります。

Q. 年の途中で解約したら、その年の保険料は控除できませんか?

A. 国税庁のNo.1140の質疑応答事例は、年の中途で解約した場合でも、解約までに支払った保険料について控除を受けることができるとしています。解約一時金は原則として一時所得となるため、支払保険料から差し引く必要はないとも説明されています。

Q. 控除証明書がまだ届いていなくても、年末調整に出せますか?

A. 国税庁の年末調整のしかたは、証明書類の交付を請求中などで確認できない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、生命保険料の控除をして年末調整を行ってよいとしています。扱いは勤務先によって異なることがあるので、先に勤務先の担当部署に確認してください。

Q. 年末調整で出し忘れたときは、どうすればよいですか?

A. 国税庁のNo.1140は、確定申告で生命保険料控除を受ける場合は、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入し、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を添付または提示するとしています。ただし、年末調整の際に控除を受けたものは、その必要がありません。

Q. 祖父母が学資保険の保険料を払っている場合は、親の控除にできますか?

A. 国税庁の年末調整のしかたは、控除の対象となるのは所得者本人が支払った保険料や掛金に限られるとしています。保険料を実際に支払っている方の控除になるかどうかが論点になるので、誰が支払っているかを確かめてください。個別の事情で扱いが変わる場合は、税務署や税理士に確認してください。

参考・出典

※国税庁の資料に書かれている範囲の整理です。「学資保険」と名指しした原文はなく、個別の契約が控除の対象になるかは、保険会社の控除証明書や契約内容、勤務先の担当部署、税務署でご確認ください。戻る額は概算です。

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