年末調整のマイナポータル連携とは?やり方、できないとき、会社が対応していない場合、メリットとデメリット

会社に勤めている方向けの解説です。年末調整のマイナポータル連携とは、年調ソフトで申告書データを作る途中で、マイナポータルから保険料などの控除証明書のデータをまとめて取得し、申告書の該当欄に自動入力する機能です(国税庁)。使うかどうかは任意で、勤務先が書面での提出を求めているなら、書面で出して差し支えありません。この記事では、連携できる控除証明書、やり方の流れ、できないときの扱い、国税庁が挙げるメリットと手間を、国税庁の資料の範囲でまとめます。

マイナポータル連携とは(会社の受け付け方で変わること)

これまでの年末調整は、保険会社などから届くハガキ等の控除証明書を見て、保険料控除申告書に金額を転記し、控除額を計算して勤務先に出す流れでした。電子化された年末調整では、控除証明書を電子データで受け取り、国税庁が無償で提供する年調ソフトなどに取り込んで申告書のデータを作ります。

控除証明書のデータの取得方法は2つあります。保険会社等のサイトから1社ずつ取る「個別取得」と、複数の控除証明書を一度の処理で取れるマイナポータル連携です(国税庁の従業員向け資料)。マイナポータル連携を使うには、契約している保険会社等が連携に対応していることが必要です。

どう提出するかは勤務先の受け付け方で決まります。

勤務先の受け付け方控除証明書の出し方国税庁の説明
申告書も控除証明書もデータで受け付ける年調ソフトで作った申告書データと、取得した控除証明書データを提供するデータ提供は勤務先の給与システムの対応後。いつからかは勤務先に確認(問1-7)
申告書を書面で受け付けるデータで受け取った控除証明書は、QRコード付控除証明書を作って書面で出力して提出または提示する問3-15。年調ソフトは書面印刷用の申告書も出力できる
従前どおり書面で受け付ける書面の控除証明書を添えて、書面の申告書を出す必ずデータにしなければならないわけではない(問1-8)

出典:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するよくある質問(FAQ)」令和8年10月改訂版、「年末調整手続の電子化に向けた取組について」、2026年10月2日確認。

書面の控除証明書をスキャンしてデータにしたものは、勤務先にデータ(原本)として提供できません。法令上、発行者の電子署名が付いたデータである必要があるためです(問3-14)。

令和8年分の年調ソフトは、令和8年10月1日に正式版が公開されています。令和8年12月1日以後に行われる令和8年分の年末調整に対応しています。

連携できる控除証明書

国税庁が「マイナポータルと連携した年末調整手続」で挙げている、データを一括取得して申告書に自動入力できる控除証明書等は、次の7種類です。

作成する控除申告書対象の控除証明書等国税庁の備考
保険料控除申告書生命保険料控除証明書保険会社等がマイナポータル連携に対応していることが必要。取得できる時期は発行主体により異なる
保険料控除申告書地震保険料控除証明書同上
保険料控除申告書社会保険料控除証明書(国民年金保険料)発行年の10月中旬までに、マイナポータルからねんきんネットを利用しておく必要がある。間に合わなければねんきんネットで再交付を申請。翌年以降も受け取るには電子送付の登録手続
保険料控除申告書社会保険料控除証明書(国民年金基金掛金)取得できる時期は発行主体により異なる
保険料控除申告書小規模企業共済等掛金控除証明書小規模企業共済掛金と個人型確定拠出年金掛金(iDeCo)に限る
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書年末残高等証明書金融機関等が連携に対応していることが必要
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書住宅借入金等控除証明書データでの交付を希望した方に限る。例年10月下旬頃から取得できる

出典:国税庁「マイナポータルと連携した年末調整手続」、2026年10月2日確認。連携に対応している保険会社等は「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」で確認できます。

この7種類に、医療費控除やふるさと納税の寄附金控除の書類は入っていません。国税庁は医療費通知情報や寄附金受領証明書を、確定申告の手続で連携できるものとして挙げています。医療費控除は年末調整ではなく確定申告で受けるので、医療費控除は年末調整でできる?をご覧ください。

それぞれの控除証明書の金額を、保険料控除申告書のどの欄に書くかは、保険料控除申告書の書き方にまとめています。

やり方の流れ(事前準備と年調ソフトでの取得)

大きく分けて、初めて使う年にだけ行う事前準備と、年末調整のたびに行う年調ソフトでの取得の2段階です。

用意するもの:マイナンバーカード(スマートフォンのマイナンバーカードも使えます)と、そのパスワード(利用者証明用電子証明書の数字4桁、署名用電子証明書の英数字6〜16文字)、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダライタ、控除を受ける生命保険の証券番号や住宅ローンの契約番号です。

事前準備(初めて使う年のみ)

  1. マイナポータルを開設します(利用者登録)。
  2. マイナポータルの「外部サイトへの連携」から、民間送達サービスのアカウントを開設します。どの民間送達サービスを開設するかは、契約している保険会社等によって決まっています。
  3. 保険会社等のサイトで、証券番号などの契約者情報を入力し、マイナンバーカードを読み取って、控除証明書データが民間送達サービスに届くように設定します。この手続は、保険会社等にマイナンバーを提供するものではありません。

国税庁は、マイナポータルに「年末調整の事前準備」ページを設けており、案内に沿って進めると準備を完了できるとしています。事前準備のあと、控除証明書データが民間送達サービスに届いてマイナポータルから取得できるようになるまでに、数日かかる場合があります(保険会社等により異なります)。

年調ソフトでの取得(年末調整のたび)

  1. 年調ソフトを起動し、氏名や住所などを入力します。
  2. 「証明書電子データのインポート」画面で「証明書の電子データをインポートする」を選び、「マイナポータルから取得」を選びます。
  3. マイナポータルの認証画面で4桁の暗証番号を入力し、マイナンバーカードを使う場合はカードをセットします。
  4. 表示された一覧から必要なデータを選んで取得を指示します。
  5. 取得結果画面に4桁の「取得用コード」が表示されるので、年調ソフトに入力します。
  6. 取得した証明書データが表示されていることを確認し、画面下部の「実行」を押します。

これで、取得した控除証明書のデータが年調ソフトに自動入力されます。国税庁は、民間のソフトを使う場合は手順が異なることがあるので、そのソフトのマニュアルを確認するよう案内しています。

マイナンバーカードは、交付申請から交付通知書の発送まで概ね1か月とされています(国税庁FAQ問3-6)。連携を使う予定なら、準備は早めに始めるほうが安心です。

配偶者など家族名義の控除証明書を連携で取るには、事前にマイナポータルで代理人の登録をします。代理人の登録には、申告する方とご家族の両方のマイナンバーカードが必要です。

できないとき・会社が対応していないとき

国税庁の資料で、連携が使えない・うまくいかない場面と書かれている扱いは次のとおりです。

状況国税庁の説明どう出すか
会社が電子化に対応していない・書面で出すよう言われた必ずデータで提供する必要はなく、書面で出して差し支えない(問1-8)書面で提出。データで取った控除証明書はQRコード付控除証明書にして書面で出す(問3-15)
保険会社がマイナポータル連携に未対応連携に対応している保険会社等は国税庁の一覧で確認できる。データ交付そのものに未対応なら、書面の控除証明書のみが交付される(問3-11)書面の内容を年調ソフトに手入力し、書面の控除証明書を勤務先に提出または提示
一部の控除証明書だけが書面で届いた保険料控除申告書をデータで提供することはできる(問3-13)データの分はインポート、書面の分は別途書面で提出または提示
マイナンバーカードがない・間に合わない連携を使わない場合は、マイナンバーカードの取得などの事前準備は不要(問3-6)保険会社等のサイトから控除証明書データを個別に取得する
団体扱いの保険連携で使える控除証明書データが発行されるかは、契約の保険会社等による(問3-18)勤務先の団体保険の担当者に確認
取得用コードを間違えた取得用コードの入力を誤ると、データの取得ができない(国税庁のよくある質問のウェブ版)「マイナポータルから取得」の選択からやり直す
国民年金保険料の控除証明書が取れない発行年の10月中旬までにねんきんネットの利用が必要間に合わなければ、ねんきんネットで再交付を申請

出典:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するよくある質問(FAQ)」令和8年10月改訂版、国税庁「マイナポータルを活用した年末調整手続について(よくある質問)」、「マイナポータルと連携した年末調整手続」、2026年10月2日確認。

住宅ローン控除については、データで提供できる住宅借入金等特別控除証明書と年末残高等証明書は、家屋の居住年が平成31年(令和元年)以後のものに限られます。居住年が平成30年以前の場合は、従来どおり書面で勤務先に提出します(問1-9・問1-10)。

操作で分からないことは、国税庁の年調ソフトヘルプデスク(0570-02-4563、9月1日〜9月30日は平日、10月1日〜12月28日は毎日、9時〜17時)が窓口になっています。

メリットと手間(デメリット)

国税庁の資料に「デメリット」という項目はありません。ここでは、国税庁がメリットとして挙げている点と、準備が必要と書かれている点を並べます。

国税庁が挙げるメリット

  • マイナポータルにアクセスして、複数の控除証明書等のデータを一括で取得できる(問4-3)。
  • 取得した内容が年末調整申告書の該当項目に自動で転記され、控除額が自動計算される(問4-3)。計算誤りのない申告書データを作成できる(問3-2)。
  • 書面の控除証明書を紛失したときの、保険会社等への再発行の依頼が不要になる(電子化の概要・メリット)。
  • 作成した申告書データはメール等で送信でき、テレワークでも申告書の郵送が必要ない。翌年は前年のデータを使って、氏名・住所などの入力を省略できる(問3-2。電子化全体のメリット)。

準備が必要と書かれている点(手間)

  • マイナンバーカードと、読み取り機器(対応スマートフォンまたはICカードリーダライタ)が必要。パソコン版の年調ソフトで連携するにはカードリーダライタか対応スマートフォンが必須(問4-6)。
  • 初めて使う年は、マイナポータルの開設、民間送達サービスの開設、保険会社等との連携設定が必要。連携手続から取得できるまでに数日かかる発行主体がある。
  • 契約している保険会社等が連携に対応していないと、その分は連携で取得できない。
  • 国民年金保険料の控除証明書は、発行年の10月中旬までにねんきんネットの利用が必要。
  • マイナポータルなど他のシステムのメンテナンス期間中は、連携を利用できない(問4-14)。

手間をかけて連携を使うか、個別取得や書面にするかは、契約している保険会社等の数や勤務先の受け付け方によって変わります。どちらが向いているかは、ここでは判断しません。

よくある質問

Q. 年末調整のマイナポータル連携とは何ですか?

A. 国税庁は、従業員が年末調整申告書データの作成中に、保険料控除などで使う控除証明書等データをマイナポータルから自動取得する機能と説明しています。年調ソフトを使った場合は、取得したデータの内容が年末調整申告書に自動入力されます。

Q. 会社が年末調整の電子化に対応していないと、使えませんか?

A. 国税庁のFAQは、年末調整関係書類を必ずデータで提供しなければならないわけではなく、従前どおり書面で提出しても差し支えないとしています。データで提供できるのは勤務先の給与システムが対応してからなので、いつからかは勤務先への確認が必要です。勤務先が書面での提出を求める場合でも、データで受け取った控除証明書は、QRコード付控除証明書を作って書面で出力すれば提出または提示できます(問3-15)。

Q. 契約している保険会社が連携に対応しているかは、どこで分かりますか?

A. 国税庁のホームページに「マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧」があります。連携ができる保険会社等と、そのときに開設する民間送達サービスが載っています。

Q. マイナポータル連携で、マイナンバーが流出するおそれはありますか?

A. 国税庁のよくある質問は、マイナポータル連携はマイナンバーカードの情報を利用して控除証明書等データを取得するが、マイナンバーそのものを利用するわけではないので、マイナンバー流出のおそれはないと答えています。

Q. 配偶者が契約している保険の控除証明書も、連携で取得できますか?

A. 国税庁のよくある質問では、取得できる方法があります。配偶者のマイナンバーカードでマイナポータルにログインして自分を「代理人」とする設定をしたうえで、連携の実行時に被代理人(配偶者)を選んで取得します。そのため、配偶者のマイナンバーカードも必要になります。

Q. 連携の準備は毎年必要ですか?

A. 国税庁は、事前準備は一部の証明書を取得する場合を除き初めて使う1回のみで、取得する控除証明書等が増えなければ翌年以降の事前準備は不要としています。ただし、国民年金保険料の控除証明書は、翌年以降もデータを受け取るにはねんきんネットで電子送付の登録手続が必要です。

Q. 医療費控除やふるさと納税の分も、年末調整でマイナポータル連携できますか?

A. 国税庁の「マイナポータルと連携した年末調整手続」の対象には載っていません。医療費通知情報や寄附金受領証明書は、確定申告の手続のほうで連携できるものとして挙げられています。医療費控除は年末調整ではなく確定申告で受けます。

Q. パソコンがなく、スマートフォンだけでも使えますか?

A. 国税庁のFAQは、年調ソフトにスマートフォン版(Android、iOS)があり、マイナンバーカードを読み取れるスマートフォンであればマイナポータル連携を利用できるとしています。パソコン版でマイナポータル連携をするには、ICカードリーダライタまたはマイナンバーカード対応のスマートフォンが必要です。

参考・出典

※国税庁の資料に書かれている範囲の整理です。連携に対応している保険会社等や取得できる時期は更新されるので、最新の内容は国税庁のページ、契約している保険会社等、勤務先の年末調整のご担当者にご確認ください。

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