年末調整のマイナンバーは書く?記入不要になる場合・会社が帳簿を備えているとき・家族の番号がわからない・書かなかったらどうなる
会社に勤めていて、年末調整の書類にマイナンバーを書くのか迷っている方向けの解説です。扶養控除等(異動)申告書には、本人と、配偶者・扶養親族などの個人番号を書くことが所得税法で決まっています。ただし、会社が一定の帳簿を備えている場合は、その帳簿に載っている方の番号は書かなくてよいとされています。書かなかった場合の罰則は、国税庁のFAQでは「ありません」とされています。この記事では、所得税法・国税庁の原文で、書く場合と書かなくてよい場合、帳簿の条件、家族の番号がわからないとき、書かなかったときの扱いを整理します。
書く場合と書かなくてよい場合
所得税法第194条1項は、扶養控除等申告書に書く事項として、源泉控除対象配偶者と源泉控除対象親族の「氏名及び個人番号(個人番号を有しない者にあつては、氏名)」を挙げています(4号・5号)。同居特別障害者などの障害者がいる場合も、その人の氏名及び個人番号が必要です(3号)。申告する本人については、所得税法施行規則第73条1項1号が、氏名・住所・個人番号(個人番号を有しない人は氏名と住所)としています。
| 申告書 | マイナンバー | 根拠 |
|---|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 本人・源泉控除対象配偶者・源泉控除対象親族などの番号を書く。会社が一定の帳簿を備えていれば、帳簿に載っている方の番号は書かなくてよい | 所得税法194条1項・198条4項、施行規則73条1項1号 |
| 配偶者控除等申告書 | 配偶者の番号を書く。本人の番号は書かなくてよい | 所得税法195条の2第1項3号、国税庁FAQ |
| 特定親族特別控除申告書 | 特定親族の番号を書く | 所得税法195条の3 |
| 保険料控除申告書 | 書かなくてよい(平成28年4月1日以後に提出するもの) | 国税庁FAQ Q1-3-1 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 書かなくてよい(同上) | 国税庁FAQ Q1-3-1 |
出典:e-Gov法令検索 所得税法(第194条・第195条の2・第195条の3・第198条)・所得税法施行規則第73条、国税庁「マイナンバーFAQ(源泉徴収関係)」、2026年10月2日確認。
国税庁の「年末調整のしかた(令和8年分)」は、扶養控除等(異動)申告書を、毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに会社へ出すものとし、会社に対しては、令和9年分の用紙をあらかじめ各人に配付し、記載が終わったら確実に回収するよう書いています(44ページ)。
前年と変わらなくても、国税庁のFAQ(Q1-4)は、毎年すべての記載事項を書いて出すとし、番号の省略はできないとしています。例外は、次の「会社が帳簿を備えているとき」です。
扶養控除等申告書の書き方そのものは、扶養控除等申告書の書き方にまとめています。マイナポータル連携で控除証明書を取る方法は、年末調整のマイナポータル連携のやり方へどうぞ。
会社が帳簿を備えているとき
所得税法第198条4項は、扶養控除等申告書の提出を受ける会社が、申告書に載せるべき配偶者・扶養親族などの氏名及び個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えているときは、その帳簿に記載されている個人番号の記載を要しない、と定めています。ただし、申告書に書くべき氏名や個人番号が帳簿の内容と異なるときは、この取扱いは使えません。
| 確認すること | 原文に書かれている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 帳簿の中身 | 提出者本人・控除対象となる配偶者・控除対象扶養親族等の氏名、住所、個人番号と、帳簿の作成にあたり提出を受けた申告書の名称、その提出年月 | 国税庁FAQ Q1-3-3 |
| 帳簿の元になる申告書 | 会社が申告書の提出を受けて作成したものに限る。条文は、扶養控除等申告書・退職所得の受給に関する申告書・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を挙げ、FAQは配偶者控除等申告書などもあげる | 所得税法198条4項、国税庁FAQ Q1-3-2 |
| 帳簿の形 | 電磁的記録(データ)でもよい | 国税庁FAQ Q1-3-4 |
| いつから使えるか | 平成29年1月1日以後に支払を受けるべき給与等に係る申告書から | 国税庁FAQ Q1-3-2 |
| 氏名や番号が帳簿と違うとき | 番号の記載を不要とする取扱いは使えない | 所得税法198条4項ただし書 |
出典:e-Gov法令検索 所得税法第198条4項、国税庁「マイナンバーFAQ(源泉徴収関係)」、2026年10月2日確認。
自分の会社が帳簿を備えているかどうかを、従業員が確かめる方法は、確認した原文には書かれていませんでした。国税庁のFAQ(Q1-3-6)は、帳簿を備えている会社が、個人番号欄のない様式を使ったり、個人番号欄に斜線を引いたりしても差し支えないとしています。会社から配られた申告書の個人番号欄がそうなっている場合は、この取扱いを使っている可能性があります。確かなことは、会社の給与担当にご確認ください。
初めて申告書を出す方や、新たに控除対象の配偶者・親族ができた方は、帳簿に載っていない番号があるので、番号の記載が必要になります(国税庁FAQ Q1-3-6)。
家族の番号がわからないとき
番号法第16条は、会社が従業員から番号の提供を受けるときに、本人確認の措置をとることを求めています。一方、国税庁のFAQは、申告書に載せる配偶者や扶養親族の本人確認は従業員自身が行うとしています(本人確認に関するFAQ Q1-7、源泉徴収関係FAQ Q2-1)。家族の番号がわからないときは、次のように整理されています。
| 状況 | 原文に書かれている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 前年に会社へ出した申告書の写しがある | 写しを参考に今年の申告書へ番号を書く場合は、従業員が家族の本人確認をする必要はない | 国税庁FAQ Q2-4 |
| 家族に番号を聞く | 家族が明らかに本人だと対面で確認できる場合、身元確認書類の提示は不要。ただし番号確認は必要 | 本人確認FAQ Q2-3 |
| 番号を確かめる書類 | マイナンバーカード、通知カード(廃止済み。記載が住民票と一致する場合に限る)、番号が記載された住民票の写し | 本人確認FAQ Q2-8(事業者が従業員から提供を受ける場合の記載) |
| 家族が番号を持っていない | 番号を持たない扶養親族等には、番号を記載できない。番号の指定を受ける前に出国した人は書かなくてよい | 所得税法194条1項、国税庁FAQ Q1-7 |
出典:国税庁「マイナンバーFAQ(源泉徴収関係)」「本人確認に関するFAQ」、e-Gov法令検索 所得税法第194条・番号法第16条、2026年10月2日確認。
番号法第15条は、第19条各号に当たる場合を除き、同一の世帯に属する者以外の他人に個人番号の提供を求めてはならない、と定めています。家族の番号を会社に伝えるのは、申告書を出す従業員です。家族に番号を聞いても教えてもらえない、書類もないというときの対処は、今回確認した国税庁の原文には従業員向けには書かれていません。会社の給与担当に、状況を伝えて相談してください。
書かなかったらどうなる
国税庁のFAQには、番号を書かなかった場合のことが次のように書かれています。会社(源泉徴収義務者)向けの質問と答えなので、実際の処理は会社によります。
| 論点 | 原文に書かれている内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 罰則 | 番号の記載がなかった場合に罰則はない。ただし、記載は法令で定められた義務 | 国税庁FAQ Q1-15 |
| 税額の計算 | 番号の記載がなくても、扶養控除等の適用の可否を判断するために必要な事項が書かれていれば、申告書が提出されたものとして税額計算を行って差し支えない | 国税庁FAQ Q1-14 |
| 会社の対応 | 記載は法令上の義務だと伝えて提供を求める。それでも受けられないときは、提供を求めた経過等を記録・保存する(法令上の義務ではない) | 国税庁FAQ Q1-13 |
出典:国税庁「マイナンバーFAQ(源泉徴収関係)」、2026年10月2日確認。
番号法第14条1項は、会社などが事務を処理するために必要があるときは、本人に個人番号の提供を求めることができる、と定めています。会社から番号の記載を求められるのは、この定めと、所得税法第194条の記載事項にもとづくものです。
番号を書かないことを理由に、年末調整で控除を受けられなくなるかどうかは、今回確認した国税庁の原文には書かれていませんでした。書けない事情がある場合は、書かずに出すよりも、先に会社の給与担当に扱いを確かめておくと安心です。
よくある質問
Q. 去年と変わらないのですが、マイナンバーを書かなくてもよいですか?
A. 国税庁のFAQ(扶養控除等申告書関係 Q1-4)は、扶養控除等申告書は毎年、マイナンバーを含むすべての記載事項を記載して提出する必要があり、前年と変更がないからといって省略することはできないとしています。ただし、会社が一定の帳簿を備えている場合は、その帳簿に載っている方の番号は書かなくてよいとされています。また、会社との合意のうえで、余白に「給与支払者に提供済みのマイナンバーと相違ない」旨を書き、会社が確認した旨を申告書に表示する方法もFAQ(Q1-5-1)に書かれています。
Q. 会社の申告書の様式に、個人番号の欄がありません。
A. 国税庁のFAQ(Q1-3-6)は、会社が一定の帳簿を備えているため番号の記載が不要な場合は、個人番号欄のない様式を使うことや、個人番号欄に斜線を引くことも差し支えないとしています。同じFAQは、初めて申告書を提出する従業員や、新たに控除対象の配偶者を持つことになった従業員など、番号の記載が必要な場合に記載がないことのないよう、会社に注意を促しています。
Q. 今年、転職して入社しました。番号は書きますか?
A. 帳簿は、会社が申告書の提出を受けて作成したものに限られます(所得税法第198条4項)。国税庁のFAQ(Q1-3-6)は、給与支払者に初めて扶養控除等申告書を提出する従業員を、番号の記載が必要な場合の例に挙げています。
Q. 配偶者のマイナンバーがわかりません。
A. 配偶者控除等申告書には、配偶者の氏名及び個人番号を書くと、所得税法第195条の2第1項3号が定めています。配偶者が個人番号を有しない場合は氏名だけです。国税庁のFAQは、申告書に載せる配偶者や扶養親族の本人確認は従業員自身が行うとしているので、配偶者ご本人に番号を確認してから書くことになります。前年に会社へ出した申告書の写しがあれば、それを参考に書いても、家族の本人確認は要らないとされています(FAQ Q2-4)。
Q. 海外に住んでいる扶養親族の番号は書きますか?
A. 国税庁のFAQ(Q1-7)は、マイナンバーを持たない扶養親族等には番号を記載できないので、番号の指定を受ける前に出国した人は書かなくてよいとしています。一方、番号の指定を受けた後に出国した人は、マイナンバーを持たない人にはあたらないので、番号の記載が必要です。
Q. 申告書に書いたマイナンバーは、税務署に出されるのですか?
A. 国税庁の「年末調整のしかた(令和8年分)」は、受理した扶養控除等(異動)申告書は、税務署長から提出を求められるまでの間、受理した給与の支払者が保存するとしています。FAQ(Q1-5-1)には、税務署長から求められたときは、会社が番号を付記して提出するとも書かれています。
参考・出典
- 所得税法(e-Gov)第194条・第195条の2・第195条の3・第198条・所得税法施行規則(e-Gov)第73条・行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(e-Gov)第14条・第15条・第16条(2026年10月2日確認)
- 国税庁 マイナンバーFAQ(源泉徴収関係)・本人確認に関するFAQ・令和8年分 年末調整のしかた(2026年10月2日確認)
※所得税法・国税庁に書かれている範囲の整理です。番号の記載の扱い(帳簿の有無、様式、提出方法)は会社によって異なる場合があります。個別の事情は、勤務先の給与担当、税務署、税理士にご確認ください。