株の確定申告は必要?|必要な人・不要な人・必要書類(特定口座・一般口座・配当・20万円ルール)

株の確定申告が不要になりやすいのは、売却益だけで、取引が「特定口座(源泉徴収あり)」の中で完結している人です。国税庁の案内では、この口座内の譲渡益は申告不要を選べます。反対に、一般口座で売った人、源泉徴収なしの特定口座の人、損失を繰り越したい人は、確定申告が必要になります。配当金は、上場株式等なら金額にかかわらず申告不要を選べますが、総合課税や申告分離課税を選ぶ場合は申告します。本記事では、自分がどれに当てはまるかの見分け方と、必要書類を、国税庁の案内に沿ってまとめます。

株の確定申告が必要な人・不要な人の早見表

株式等の譲渡益は、原則として確定申告が必要です。ただし、どの口座で取引したかによって手続が変わります(国税庁)。ここでいう「株式等」には、株式のほか、投資信託や公社債も含まれます。

ケース確定申告メモ
特定口座(源泉徴収あり)の売却益不要を選べる口座ごとに選択
特定口座(源泉徴収なし)の売却益必要年間取引報告書で簡易に申告
一般口座の売却益必要年間の損益を自分で計算
NISA口座の売却益・配当課税されない非課税の対象内
損失の繰越控除・損益通算必要特定口座(源泉徴収あり)でも
上場株式の配当金不要を選べる総合・分離を選ぶ場合は必要

※上の表は、大口株主等でない個人が、上場株式等を取引した一般的なケースです。上場株式等と一般株式等(上場株式等以外)は別の区分で計算します。

自分がどの口座で取引しているか、特定口座なら源泉徴収の有無はどちらか、分からないときは、証券会社の案内で確かめてください。

この記事は、令和8年4月1日現在の法令等に基づく国税庁の案内で説明します。令和7年分の申告期間は令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までです。申告書の作り方はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方で説明しています。

特定口座の3つの種類と、申告不要を選べる条件

証券会社に開く口座には、一般口座、特定口座、NISA口座があります。特定口座は、証券会社が年間の譲渡損益を計算してくれる口座で、さらに「簡易申告口座」と「源泉徴収口座」に分かれます(国税庁)。

口座損益の計算確定申告
一般口座自分で計算必要
特定口座(簡易申告口座)証券会社が計算必要(簡易に申告)
特定口座(源泉徴収口座)証券会社が計算不要を選べる

源泉徴収口座では、株を売るたびに、譲渡益に15.315%(ほかに住民税5%)の税率を掛けた税金が、証券会社によって差し引かれます。源泉徴収を選ぶには、その年の最初の売却までに、証券会社へ「特定口座源泉徴収選択届出書」を出す必要があります。この選択は年単位なので、年の途中で源泉徴収なしに変えることはできません(国税庁)。

源泉徴収口座の譲渡益は、口座ごとに「申告する」か「申告不要とする」かを選べます。特定口座は、1つの証券会社につき1口座までです。

ただし、源泉徴収口座の売却益でも、次のときは確定申告が必要です(国税庁 No.1476)。

  • ほかの口座の譲渡損益と相殺したいとき
  • 譲渡損失を、配当等と損益通算したり、翌年以後に繰り越したりするとき(次の章)

損失の損益通算・繰越控除をするなら申告が必要

上場株式等を証券会社を通じて売って損が出たとき、確定申告をすると、次の2つの扱いを受けられます(国税庁 No.1474)。

扱い内容期間
損益通算その年の配当等と相殺その年
繰越控除引ききれない損失を翌年以後の譲渡益・配当等から控除翌年以後3年間

※損益通算できる配当等は、上場株式等の配当所得のうち、申告分離課税を選んだものに限られます。

手続の要点は次のとおりです。

  • 損失が生じた年に、「確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」と「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」を付けて申告します。
  • 繰り越しを続けるには、その後の年も、連続して付表を付けた確定申告書を出します。上場株式等の譲渡がなかった年も、繰り越しのための申告が必要です(国税庁)。
  • NISA口座内の売却による損失は、損益通算も繰越控除もできません。
  • 上場株式等の損失は、一般株式等の譲渡益から引くことはできません。一般株式等の損失も、原則として上場株式等の譲渡益から引けません。

特定口座(源泉徴収あり)で損が出た年に、何もしないで済ませることもできます。ただ、その損失を翌年以降に使いたい場合は、損失が出た年の申告が出発点になる点に注意してください。

配当金は申告する?しない?(総合課税と申告分離課税)

上場株式等の配当は、支払われるときに15.315%(ほかに地方税5%)が源泉徴収されます。確定申告で選べる方法は、国税庁の案内では次の3つです。

選び方申告ポイント
申告しない(申告不要)不要金額にかかわらず選べる
総合課税必要配当控除を使える
申告分離課税必要税率20.315%。譲渡損失と通算できる

※「大口株主等」(発行済株式の3%以上を持つ個人など)が受ける上場株式等の配当や、上場株式等以外の配当は、この選び方の対象外で総合課税になります。

申告するときは、申告する上場株式等の配当の全額について、総合課税か申告分離課税のどちらかに統一します。一部だけを分離にすることはできません。配当控除が使えるのは総合課税のほうで、申告分離課税を選んだ配当には配当控除がありません(国税庁 No.1330・No.1331)。

注意点が2つあります。1つは、申告不要を選んだ配当は、源泉徴収された税額を、その年の所得税額から差し引けない点です。もう1つは、申告不要・総合課税・申告分離課税のどれにするかは確定申告で選び、その後の修正申告や更正の請求で変えられない点です(国税庁)。

配当が多い人は、国税庁の確定申告書等作成コーナーにある「配当集計フォーム」にまとめて入力すると、データを読み込めます。住民税については、国税庁のパンフレット「株式・配当・利子と税」に、所得税で確定申告不要制度を選んだ少額配当等でも、住民税は他の所得と総合して課税されるという注記があります。上場株式等の配当・譲渡益の住民税の扱いは、お住まいの市区町村にもご確認ください。

会社員の「20万円ルール」は株にも当てはまる?

会社員(給与所得者)は、給与を1か所から受けていて、給与の全部が源泉徴収されている場合、給与・退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。これが「20万円ルール」です(国税庁 No.1900)。

株との関係は、国税庁の同じページに書かれています。20万円の計算に含まれない所得として、次が挙げられています。

  • 特定口座の源泉徴収口座内の上場株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
  • 上場株式等の配当等で、確定申告をしないことを選択したもの

つまり、源泉徴収あり特定口座で、申告不要を選んでいる売却益や配当は、20万円ルールの計算に入りません。一方、一般口座や簡易申告口座の譲渡益、申告を選んだ配当は、ほかの所得と合わせて20万円を超えるかを確かめることになります。

株の所得20万円の計算メモ
源泉徴収口座の売却益(申告不要を選択)含まれないNo.1900
上場株式等の配当(申告不要を選択)含まれないNo.1900
一般口座・簡易申告口座の売却益含まれるほかの所得と合計

※No.1900は所得税の確定申告の話です。20万円以下でも、損失を繰り越したい人や、還付を受けたい人は、申告することになります。副業の所得がある人は副業の確定申告も確かめてください。

申告するときの必要書類

株の申告で使う書類は、口座の種類で変わります。国税庁の案内から整理します。

場面使う書類入手先
特定口座の売却益・配当特定口座年間取引報告書証券会社
一般口座の売却益売買の記録(売却額・取得費・手数料)、計算明細書自分で作成
特定口座以外の配当受け取った配当等の内容配当の支払元
損失の繰越控除確定申告書付表、計算明細書国税庁

※特定口座年間取引報告書は、特定口座の取引内容を証券会社がまとめた書類です。証券会社の名前にかかわらず、国税庁の案内ではこの名称で説明されています。交付の方法(紙・電子)や時期は証券会社ごとに異なるため、各社の案内で確かめてください。

「SBI証券」など、どの証券会社に特定口座を開いている場合も、申告に使う書類は「特定口座年間取引報告書」です。証券会社の画面での取り出し方は会社ごとに異なるので、取引報告書の入手方法は各社の案内をご覧ください。

一般口座の売却益は、「譲渡価額−(取得費+委託手数料等)」で譲渡所得等の金額を自分で計算します(国税庁 No.1463)。同じ銘柄を複数回に分けて買っていた場合の取得費は、総平均法に準ずる方法で算出します(国税庁のパンフレット)。

マイナンバーカードでマイナポータル連携をすると、特定口座の情報を一括で取得して自動入力できます。ただし、事前準備として、証券会社から受け取る特定口座年間取引報告書の電子交付の申請が必要です。証券会社によっては、申告する年の年末までに申請が必要なため、早めに各社の案内で確かめてください(国税庁)。手順はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方で説明しています。

申告する場合の税額の目安

上場株式等の譲渡益にかかる税率は、20%(所得税15%、住民税5%)です。確定申告のときは、所得税額に2.1%を掛けた復興特別所得税を併せて納めるため、合計で20.315%になります(国税庁 No.1463)。令和9年1月1日以後に生ずる所得は、復興特別所得税の税率が1.1%に下がり、防衛特別所得税が併せて課されますが、合計の税率に変更はありません(国税庁)。

売却益や配当に実際にいくら税金がかかるかは、次のページで計算できます。

よくある質問

特定口座(源泉徴収あり)なら、確定申告は絶対にいりませんか?

売却益だけなら、申告不要を選べます。ただし、損失を繰り越したいとき、ほかの口座の損益と相殺したいとき、配当との損益通算を申告で行うときは、確定申告が必要です(国税庁)。

株で損をしたら、確定申告をしたほうがよいですか?

申告が必須というわけではありません。ただ、上場株式等の損失は、確定申告をすることで、配当等との損益通算や、翌年以後3年間の繰越控除に使えます。繰り越しは、損失が出た年とその後の年に、連続して申告する必要があります。

株の確定申告の必要書類は何ですか?SBI証券の場合も同じですか?

特定口座なら「特定口座年間取引報告書」が中心です。SBI証券など、証券会社が違っても、国税庁の案内での書類名は同じです。一般口座の人は、売却額・取得費・手数料の記録で自分で計算します。

NISA口座だけで取引している場合、確定申告は必要ですか?

NISA口座内の少額上場株式等の配当と譲渡益は、非課税措置の対象です。そのため、NISA口座だけの利益なら、税金の申告は不要です。ただし、NISA口座内の売却で損が出ても、損益通算や繰越控除には使えません(国税庁)。

一般口座で利益が20万円以下なら、会社員は申告しなくてよいですか?

国税庁No.1900の20万円ルールは、給与を1か所から受け、給与の全部が源泉徴収されている会社員が対象です。この条件に当てはまり、ほかの所得を含めて20万円以下なら、所得税の確定申告が必要な人には当たりません。ただし、住民税の申告が別に必要になる場合もあるため、市区町村にもご確認ください。

配当は源泉徴収されているなら、何もしなくてよいですか?

上場株式等の配当なら、確定申告不要制度を選べます。ただし、申告不要を選んだ配当の源泉徴収税額は、所得税額から差し引けません。総合課税や申告分離課税を選ぶと、配当控除や損益通算を使える場合があります。

参考・出典

※本ページの記載は、大口株主等でない個人が上場株式等を取引した一般的なケースを簡略化したものです。実際の申告の要否は、取引の内容や他の所得で変わります。最新の案内、または税務署・税理士にご確認ください。

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