離婚したら住宅ローンはどうなる?名義・連帯債務・連帯保証の違い、一方が住み続ける場合、売る場合、財産分与での扱い

離婚しても、住宅ローンの契約は自動では変わりません。債務者を変えたい、債務者から抜けたいときは、金融機関の審査が要ります。まず確かめるのは、契約書の上で自分が債務者・連帯債務者・連帯保証人のどれかです。そこから、住み続けるのか、売るのかで必要なことが分かれます。民法・住宅金融支援機構・法務省の原文で確かめた内容を、問いごとにまとめました。

契約書の上で、自分はどの立場か

「名義」という言葉は、家の登記の名義と、ローンの債務者の両方を指して使われます。離婚のあとの扱いは、ローン契約の上での立場で決まります。契約書(金銭消費貸借契約書)で、次のどれに当たるかを先に確かめてください。

契約書の上の立場金融機関との関係出どころ
債務者(単独)借りた本人が返済する。債務者の変更は金融機関の審査が必要機構 Q&A 276
連帯債務者債権者は、連帯債務者の一人に、全部または一部の履行を請求できる。条文に、離婚で形が変わるという定めは無い。抜けるには審査が必要民法436条、機構 Q&A 279
連帯保証人主たる債務者が履行しないときに、履行する責任を負う。先に債務者に請求するよう求める権利は無い民法446条・454条

出典:民法(e-Gov)、住宅金融支援機構 フラット35 よくある質問、2026年10月3日確認。機構のQ&Aはフラット35の案内です。銀行など民間のローンは、各行の契約書の定めによります。夫婦がそれぞれ別の契約を結ぶペアローンは、契約ごとに上の欄のどれに当たるかを確かめてください。

債務者を変えたり、ローンから抜けたりするには、金融機関が関わる必要があります。民法でも、債務者が自分の債務を免れる免責的債務引受は、債権者と引き受ける人の契約、または債務者と引き受ける人の契約に債権者が承諾することで成り立つと定められています(472条)。夫婦の二人だけの合意では、金融機関との契約は変わりません。

どちらかが出て、もう一方が住み続けるとき

どちらかが家を出て、もう一方がそのまま住み続ける形は、ローンの契約と、実際に住む人が食い違いやすい形です。変えたいことごとに、何が要るかを整理します。

変えたいこと必要なこと出どころ
債務者を変える・債務者から抜ける金融機関の審査。認められない場合のほか、一部の繰上返済や、新たな債務者の追加を求められる場合がある機構 Q&A 276・279
家の持分を変える審査が必要。借りた本人(連帯債務者)は、返済中、必ず持分を持つ必要がある機構 Q&A 4280
債務を引き受ける人を立てる債権者(金融機関)の契約または承諾。元の債務に保証人がいると、保証を移すのに保証人の書面による承諾も要る民法472条・472条の4

出典:住宅金融支援機構 フラット35 よくある質問、民法(e-Gov)、2026年10月3日確認。

名義の変更は、できるのか。表のとおり、できるかどうかは金融機関の審査で決まります。審査の基準は、機構のQ&Aには書かれていません。窓口で、変更を希望する側の収入などがどう見られるかを聞くことになります。

借り換えは、できるのか。住み続ける側が新しいローンを借りて、今のローンを完済する形です。新しく借りる人が、金融機関の審査を受けます。審査の基準は金融機関ごとに違うので、このページでは扱いません。

黙って住む人だけ変えると、どうなるのか。機構は、フラット35を「申込本人またはそのご親族がお住まいになる住宅」の取得資金として案内しています。賃貸などの目的外利用が判明した場合は、借入れの全額を一括で返済する場合があるとも案内しています(Q&A 3149)。離婚後に住む人がこれに当たるかどうかは、機構の案内には書かれていないので、窓口で確かめる必要があります。銀行ローンは、契約書の届出や、返済を求められる場合の定めを読んでください。

家を売るとき(オーバーローン)

家を売って、代金でローンを返す形です。売る代金が、ローンの残高に届くかどうかで分かれます。

売却代金とローン残高起きること出どころ
代金がローン残高以上代金で完済できる。完済すると、抵当権を抹消するための書類が渡される機構 Q&A 292
代金がローン残高に届かない(オーバーローン)抵当権者は、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を持つ。不足する分の扱いは、金融機関に確かめる民法369条

出典:民法(e-Gov)、住宅金融支援機構 フラット35 よくある質問、2026年10月3日確認。

売るかどうかの結論は、ここでは出しません。売った代金とローンの残高の差は、金融機関に残高を確かめ、不動産会社に査定を取ることで分かります。連帯債務者や連帯保証人になっている場合は、ご自身の立場に関わる話なので、売る前にその立場で確かめてください。

財産分与で、家とローンはどう扱われるか

財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です(法務省)。家は、その対象になりうる財産の一つです。

確かめたいこと民法・法務省の原文出どころ
請求できる期間離婚から5年。令和8年3月31日以前の離婚は2年民法768条2項、法務省
決まらないとき家庭裁判所に、協議に代わる処分を請求できる民法768条2項
考慮されること婚姻中に取得・維持した財産の額、各自の寄与の程度、婚姻の期間など。寄与の程度は、異なることが明らかでないときは相等しい民法768条3項

出典:民法(e-Gov)、法務省「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」(令和8年4月1日施行)、2026年10月3日確認。

民法762条は、婚姻中に自己の名で得た財産をその人の特有財産とします。一方、768条は、婚姻中に取得・維持した財産の額を考慮要素に挙げています。名義がどちらかということと、財産分与でどう扱うかは、条文の上では別々に書かれています。また、住宅の価値からローンの残高をどう引くかは、768条には書かれていません。話合いか、家庭裁判所の判断で決まります。

離婚では、家のほかにも決めることがあります。年金は年金分割の手続き、離婚した年の税金は離婚した年の年末調整の書き方、子どもの養育費は養育費計算ツールにあります。

よくある質問

Q. 離婚したら、住宅ローンの返済義務はなくなりますか?

A. 離婚しただけでは、金融機関との契約は変わりません。住宅金融支援機構は、債務者から抜けたいときも機構の審査が必要と案内しています(Q&A 279)。民法も、債務者が債務を免れる免責的債務引受には、債権者の契約または承諾が要ると定めています(472条)。契約書で、ご自身が債務者・連帯債務者・連帯保証人のどれかを先に確かめてください。

Q. 夫名義のローンの家に、離婚後も妻が住み続けられますか?

A. 名義と、住む人は別の話です。住宅金融支援機構は、フラット35を「申込本人またはそのご親族がお住まいになる住宅」の取得資金としてご利用いただくものと案内しています(Q&A 3149)。離婚後に住む人がこれに当たるかどうかや、銀行ローンでの扱いは、契約書と金融機関の窓口で確かめることになります。

Q. 金融機関に黙って、名義や住む人を変えるとどうなりますか?

A. 住宅金融支援機構は、債務者や持分の変更には機構の審査が必要と案内しています(Q&A 276・4280)。賃貸などの目的外利用が判明した場合は、借入れの全額を一括で返済する場合がある、とも案内しています(Q&A 3149)。黙っていた場合に具体的に何が起きるかは、契約書の定めによるので、このページでは断定しません。

Q. 連帯保証人になっています。離婚したら外れますか?

A. 民法446条・454条に、離婚をすれば保証の責任がなくなる、という定めは書かれていません。連帯保証人は、主たる債務者が返済しないときに履行する責任があり、先に債務者に請求するよう求める権利もありません(454条)。外れたいときは、金融機関への相談が必要です。債務者を変える免責的債務引受をするときは、元の債務に保証人がいると、保証を新しい債務に移すのに保証人の書面による承諾が要ります(472条の4)。

Q. オーバーローンとは何ですか?

A. 家を売った代金が、ローンの残高に届かない状態のことです。抵当権者は、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を持ちます(民法369条)。住宅金融支援機構は、返済が終わると抵当権を抹消するための書類を渡すと案内しています(Q&A 292)。不足する分をどう用意するか、売却に応じてもらえるかは、金融機関によって扱いが違うので、売ると決める前に窓口で確かめてください。

Q. 財産分与は、離婚からいつまで請求できますか?

A. 離婚から5年です(民法768条2項)。令和8年3月31日以前に離婚した場合は、離婚後2年のままです(法務省)。協議で決まらないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。

Q. 財産分与では、家とローンはどう分けますか?

A. 民法768条3項は、婚姻中に取得・維持した財産の額や、各自の寄与の程度などを考慮して、分与の額や方法を定めるとしています。寄与の程度は、異なることが明らかでないときは相等しいとされています。住宅の価値からローンの残高をどう引くかは、この条文には書かれていません。話合いで決めるか、家庭裁判所の判断になります。

参考・出典

※ローンの扱いは、契約の形や金融機関によって異なります。具体的な対応は、金融機関、弁護士などの専門家にご確認ください。

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