離婚した年の年末調整の書き方|配偶者控除は受けられるか・子どもの扶養はどっち・ひとり親控除・離婚予定のとき・会社に知られるか

会社に勤めていて、今年離婚した方、年内に離婚する予定の方向けの解説です。配偶者控除などは、その年12月31日の現況で判定すると所得税法85条3項が定めています。12月31日までに離婚が成立していれば、元の配偶者は民法上の配偶者ではなくなり、控除対象配偶者の要件を満たしません。子どもの扶養、ひとり親控除、離婚予定のときの会社への届けを、国税庁と e-Gov 法令検索の原文で整理しました。

年の途中で離婚したら、配偶者控除は受けられるか

所得税法85条3項は、控除対象配偶者や扶養親族などに該当するかどうかの判定を、その年12月31日の現況によると定めています。配偶者特別控除(83条の2)の「生計を一にする配偶者」も、同じ85条3項の対象です。国税庁のNo.1191も、控除対象配偶者を「その年の12月31日の現況」で判定し、要件の1つに「民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)」を挙げています。

12月31日の状況配偶者控除根拠
離婚が成立している元の配偶者は対象外所得税法85条3項、No.1191
離婚届を出していない(別居中・協議中)民法上は配偶者のまま。生計を一にするか、所得の要件を満たすかで判断No.1191、手引き10ページ
内縁・事実婚対象外No.1191、手引き12ページ

出典:所得税法85条3項、国税庁 No.1191 配偶者控除(令和8年4月1日現在法令等)、令和8年分 年末調整のしかた10・12ページ、2026年10月2日確認。

協議離婚がいつ成立するかは、民法764条が、婚姻の届出を定めた739条を協議上の離婚に準用しています。739条1項は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずるとしています。したがって、協議離婚の場合、12月31日までに離婚届が受理されているかが分かれ目になります。裁判所の手続で離婚する場合の成立時期は、このページの原文では扱っていません。

別居中の「生計を一にする」について、手引きは、勤務、修学、療養などの都合上別居している場合でも、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費などの送金が行われている場合には、生計を一にするものとして取り扱うとしています。離婚の話し合いのために別居している場合は、手引きに書かれていません。この点は税務署に確認してください。

子どもの扶養は、父母のどちらで受けるか

子どもは、離婚後も父母の両方の扶養親族に当たりうる人です。所得税法85条6項は、二以上の居住者の扶養親族に当たる人は、そのうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ当たるものとみなす、と定めています。どちらの扶養親族にするかは、それぞれが出す申告書に書いたところによります(施行令219条1項)。

場面決まり方根拠
子の扶養親族に当たるかの判定その年12月31日の現況所得税法85条3項
父母の双方が自分の申告書に書いたすでに一方の扶養親族としている場合はその人。定まらなければ所得が大きい方施行令219条2項
決めたあとで変えたい異なる記載をした申告書を出して、他方の扶養親族にできる施行令219条1項ただし書

出典:所得税法85条(e-Gov法令検索、2026年10月1日時点の版)、所得税法施行令219条(同2026年5月22日時点の版)、2026年10月2日確認。

子と「生計を一にする」かどうかは、手引き(10ページ)によると、必ずしも同居を要件とせず、勤務・修学・療養などの都合上の別居では、常に生活費などの送金が行われている場合も含まれます。離婚して別々に暮らす親子の場合は、手引きには書かれていません。

子どもを元の配偶者の扶養親族にすると、自分のひとり親控除の「生計を一にする子」には数えられなくなります(手引き14ページ。他の人の同一生計配偶者又は扶養親族とされている人を除く)。ひとり親控除・寡婦控除の要件と書き方はひとり親控除・寡婦控除を年末調整で受けるにはに、共働きの夫婦のときの子の振り分けは共働きの年末調整の書き方にあります。

離婚する予定のとき、申告書はどうするか

法律の判定は、12月31日の現況です。一方で、年末調整の事務は、手引き(9ページ)によると、控除対象扶養親族や障害者などに該当するかを年末調整を行う日の現況で判定します。年末調整のあとに起きた変化の扱いは、次のとおりです。

時点扱い根拠
法律上の判定その年12月31日の現況所得税法85条3項
年末調整の事務年末調整を行う日の現況(所得は見積額)手引き9ページ
年末調整のあとに異動異動事項の申告で、翌年1月末日まで年末調整のやり直しができる(例は子の結婚など)手引き43ページ

出典:所得税法85条3項、国税庁 令和8年分 年末調整のしかた9・43ページ、2026年10月2日確認。

申告書の出し直しについては、所得税法194条3項が、申告書に記載した事項に異動を生じたときは、異動を生じた日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容などを記載した申告書を出すよう定めています。手引き(9ページ)が異動申告の確認対象に挙げるのは、親族の就職・結婚による減少や、本人がひとり親などに当てはまることになった場合などで、離婚による配偶者の異動の例は載っていません。国税庁の記載例の「異動月日及び事由」欄も、離婚の書き方は示していません。

年末調整の書類を出したあとで年内に離婚が成立しそうなときは、配偶者の欄をどう出し直すかを、会社の給与担当に確認してください。国税庁の令和8年分 年末調整Q&Aには、離婚を扱った問答は見つかりませんでした(「離婚」「婚姻」で全文検索)。

会社に知られるのか

申告書は、給与の支払者を経由して提出するものです(所得税法194条1項)。配偶者、扶養親族、寡婦またはひとり親に当たる旨は、この申告書に書く事項です。手引き(8ページ)は、年末調整は扶養控除等(異動)申告書を提出している人について行うとしています。つまり、年末調整を会社で受けるなら、これらの欄は会社の給与担当が目にする書類に載ります。

会社の中で誰が見るか、どこまで共有されるかは、原文には書かれていません。「離婚が知られるか」を原文だけで断定することはできないため、不安な場合は、会社の給与担当に取扱いを聞いてください。

受け取る養育費に所得税はかかるか

所得税法9条1項15号は、「学資に充てるため給付される金品」と、「扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」を、所得税を課さないものと定めています。贈与税については、国税庁のNo.4405が、扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で通常必要と認められるものには贈与税がかからないとし、ここでいう生活費に養育費その他子育てに関する費用を含むと説明しています。ただし、必要な都度直接これらに充てるものに限られます。

離婚後に元の配偶者から受け取る養育費が、これらにそのまま当てはまるかを個別に書いた国税庁のページは、確かめた範囲(No.4405・離婚の財産分与を扱ったNo.4414)では見つかりませんでした。養育費の金額の目安は養育費計算ツールで試算できます。

よくある質問

Q. 12月に離婚が成立しました。その年の配偶者控除は受けられますか?

A. 所得税法85条3項は、控除対象配偶者などに該当するかどうかの判定を、その年12月31日の現況によると定めています。国税庁のNo.1191は、控除対象配偶者の要件の1つに「民法の規定による配偶者であること」を挙げています。協議離婚は、民法764条が739条(婚姻の届出)を準用するため、戸籍法の届出で成立します。12月31日までに離婚が成立していれば、その年は元の配偶者に配偶者控除は使えないと整理できます。個別の判断は、税務署や会社の給与担当に確認してください。

Q. 離婚届はまだ出していません。別居していても配偶者控除は使えますか?

A. 12月31日の現況でまだ婚姻していれば、民法上の配偶者です。そのうえで、生計を一にしていること、配偶者の合計所得金額が62万円以下(令和8年分)であることなどの要件も満たす必要があります。国税庁の年末調整の手引き(10ページ)は、勤務・修学・療養などの都合上別居している場合でも、常に生活費などの送金が行われていれば生計を一にするものとして扱うとしています。離婚の話し合いのための別居については書かれていないため、税務署に確認してください。

Q. 離婚した年、子どもの扶養控除は父母どちらで受けますか?

A. 子どもは、父母のどちらの扶養親族にも当たることがあります。所得税法85条6項は、二以上の居住者の扶養親族に当たる人は、そのうち一の居住者の扶養親族にだけ当たるものとみなすと定めています。どちらにするかは、施行令219条1項により、それぞれの申告書に書いたところで決まります。生計を一にしているかは同居の有無だけで決まらないと手引きは書いています(10ページ)。

Q. 年末調整が終わったあと、12月に離婚が成立しました。やり直せますか?

A. 所得税法194条3項は、申告書に記載した事項に異動を生じた場合、異動を生じた日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容などを記載した申告書を出すよう定めています。手引き(43ページ)は、年末調整後の扶養親族等の異動について、申告を受けて翌年1月末日まで年末調整をやり直せるとしていますが、例に挙げているのは子の結婚などで、離婚の例は載っていません。会社の給与担当に確認してください。

Q. 会社に離婚を知られずに年末調整を受けられますか?

A. 断定できません。扶養控除等申告書は、給与の支払者(会社)を経由して提出する書類です(所得税法194条1項)。配偶者や扶養親族、ひとり親に当たる旨は、この申告書に書く事項とされています。国税庁の手引き(8ページ)は、年末調整は扶養控除等(異動)申告書を提出している人について行うとしています。会社の中で誰がどう取り扱うかは、原文には書かれていません。

Q. 受け取る養育費には、所得税がかかりますか?

A. 所得税法9条1項15号は、扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品を、所得税を課さないものと定めています。ただし、離婚後に元の配偶者から受け取る養育費がこれに当たるかを個別に書いた国税庁のページは、確かめた範囲では見つかりませんでした。受け取る金額が大きいときや、まとめて受け取るときは、税務署や税理士に確認してください。

参考・出典

※国税庁と法令の原文に書かれている範囲の整理です。控除の可否や申告書の書き方は、個別の事情や会社の取扱いで変わります。離婚に関する法律問題は弁護士に、税の判断は勤務先の担当部署、税務署、税理士にご確認ください。

運

会社員の計算帳 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。労働・税金・社会保険について、厚生労働省・国税庁・金融庁などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。