随時改定(月額変更届)とは?保険料が変わる条件と時期【25万→30万の例】

給料が上がったり下がったりしたとき、固定的賃金が変わり、変わった月から3カ月の平均で求めた標準報酬月額が2等級以上変わると、4カ月目から社会保険料が変わります。これが随時改定で、事業主が出す届出が月額変更届です。日本年金機構の原文をもとに、要件と時期、定時決定との違いを整理し、月給25万円が30万円になった場合の保険料の変化を計算します。

随時改定になる3つの要件

日本年金機構によると、被保険者の報酬が昇給や降給等で大幅に変わったときは、定時決定を待たずに、変更後の報酬を初めて受けた月から起算して4カ月目の標準報酬月額から改定されます(例:4月に支払われる給与に変動があった場合、7月)。次の3つの要件にすべて当てはまったときに行われます。

要件内容日本年金機構の例
(1) 固定的賃金の変動支給額や支給率が決まっているものが変わった昇給・降給、日給から月給への変更、時給単価の変更、住宅手当や役付手当の追加・金額変更
(2) 2等級以上の差変動月以後の3カ月の報酬の平均から求めた標準報酬月額と、従前の標準報酬月額に2等級以上の差4月に変動があれば、4〜6月の平均で比べる
(3) 支払基礎日数変動月以後の3カ月とも、支払基礎日数が17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)日給制・時給制は出勤日数、月給制・週給制は暦日数

※出典:日本年金機構「随時改定(月額変更届)」(更新日2026年7月13日)。

次のような場合は、随時改定の対象になりません。

  • 固定的賃金は上がったのに、残業手当などが減って、3カ月の平均から求めた標準報酬月額が従前より下がり、2等級以上の差が出た場合
  • 固定的賃金は下がったのに、残業手当などが増えて、3カ月の平均から求めた標準報酬月額が従前より上がり、2等級以上の差が出た場合
  • 休職による休職給を受けた場合(固定的賃金の変動に当たらないため)

日本年金機構の事例集では、超過勤務手当は時間の増減だけでは随時改定の対象にならず、支給単価(支給割合)が変わった場合は対象になるとされています。給与計算期間の途中で昇給した場合は、昇給後の給与が1カ月分そろった月が起算月です。標準報酬月額そのものの決まり方は標準報酬月額の仕組みと社会保険料を正しく把握する方法にまとめました。

月給25万円が30万円になったら、保険料はいくら変わるか

4月支給分から月給が25万円から30万円に上がり、残業手当など月ごとに変わる賃金はない人の例です。4・5・6月の3カ月とも報酬は30万円なので、平均も30万円です。標準報酬月額は260,000円から300,000円へ2等級上がるため、随時改定の対象になり、7月から新しい標準報酬月額で保険料が計算されます。

昇給すれば必ず対象になるわけではありません。同じ月給25万円の人が昇給した場合に、2等級以上の差になるかどうかは次のとおりです。

昇給後の月給標準報酬月額随時改定
25万円から27万円260,000円 → 280,000円(1等級差)ならない(定時決定まで変わらない)
25万円から30万円260,000円 → 300,000円(2等級差)なる(4カ月目から変わる)

月給25万円から30万円になった場合の、本人が払う保険料(月額)は次のとおりです。

本人負担(月額)昇給前(260,000円)改定後(300,000円)
健康保険料13,104円15,120円
厚生年金保険料23,790円27,450円
合計36,894円42,570円

月あたり5,676円、年あたり68,112円、保険料が増える計算です。月給は5万円上がっても、手取りの増え方は保険料の増加分だけ小さくなります。給料が下がって2等級以上の差になった場合は、反対に保険料が減ります。

※東京都・協会けんぽ・令和8年度料率、40歳未満(介護保険料なし)、残業手当など月ごとに変わる賃金はない前提の目安です。健康保険料には子ども・子育て支援金を含みます。雇用保険料や税金は含みません。等級の差は健康保険の標準報酬月額表で数えており、この範囲では厚生年金保険も同じです。実際の保険料率は、加入している健康保険組合や都道府県で異なります。手取りまで試算するには手取り計算ツール、都道府県別の保険料は社会保険料 計算機が使えます。

定時決定(算定基礎届)との違い

項目定時決定(算定基礎届)随時改定(月額変更届)
いつ行うか毎年1回報酬が大幅に変わったとき
見る期間4月・5月・6月の3カ月の報酬固定的賃金の変動月以後の3カ月の報酬
新しい標準報酬月額の適用9月から翌年8月まで変動後の報酬を初めて受けた月から4カ月目から
事業主の提出毎年7月10日まで速やかに

※出典:日本年金機構「定時決定(算定基礎届)」(更新日2026年10月1日)、「随時改定(月額変更届)」(更新日2026年7月13日)。

定時決定は、7月1日現在で使用している全被保険者を対象に、4・5・6月の報酬の平均で標準報酬月額を決め直す手続きです。随時改定で決まった標準報酬月額は、6月までに改定されたものなら再び随時改定がない限りその年の8月まで、7月以降に改定されたものなら翌年の8月まで適用されます。

産前産後休業や育児休業が終わったときは、随時改定に当てはまらなくても、終了日の翌日が属する月以後3カ月の報酬の平均で、4カ月目の標準報酬月額から改定できる別の届出があります。詳しくは標準報酬月額の仕組みの育休明けの特例を参照してください。

月額変更届の提出時期・方法と、出し忘れたとき

日本年金機構の原文では、月額変更届を出すのは事業主です。「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」に、随時改定に当てはまる被保険者の報酬月額などを記入して提出します。

  • 提出時期:速やかに
  • 提出先:事務センターまたは管轄の年金事務所
  • 提出方法:電子申請、郵送、窓口持参
  • 記入のポイント:改定年月には、変動後の賃金が支給された月から4カ月目の年月を書きます(例:令和7年10月に初めて支給された場合は令和8年1月)。記入漏れや誤りがあると、届書が返却されて再提出になります。

月額変更届の記入例は、日本年金機構の「4-3:月額変更届」のページで公開されています。

出し忘れたとき

日本年金機構の原文には、月額変更届を出し忘れたときの保険料の精算やさかのぼりの扱いは書かれていませんでした。また、従業員(本人)が行う手続きも書かれていません。給料が大きく変わったのに保険料の変わった様子がないときは、勤め先の給与・総務の担当者に確認するのが確実です。

よくある質問

Q. 随時改定とは何ですか?

A. 日本年金機構によると、昇給や降給等で報酬が大幅に変わったときに、定時決定を待たずに標準報酬月額を改定する仕組みです。変更後の報酬を初めて受けた月から数えて4カ月目の標準報酬月額から改定されます。

Q. 給料が上がったら、保険料はいつから変わりますか?

A. 随時改定の要件に当てはまる場合は、昇給後の給料を初めて受けた月から数えて4カ月目からです。たとえば4月に支払われる給与に変動があった場合は7月の標準報酬月額から改定されます。要件に当てはまらなければ、定時決定(毎年9月)まで標準報酬月額は変わりません。

Q. 残業が増えて給料が上がった月も、随時改定になりますか?

A. 日本年金機構の事例集では、超過勤務手当の時間が増減しただけでは随時改定の対象にならないとされています。随時改定の起点になるのは、昇給や手当の追加・変更のような固定的賃金の変動です。ただし超過勤務手当の支給単価(支給割合)が変わった場合は対象になります。

Q. 昇給したのに、随時改定にならないのはなぜですか?

A. 随時改定は、固定的賃金の変動・2等級以上の差・3カ月とも支払基礎日数17日以上の3つの要件をすべて満たしたときに行われます。昇給しても、変動後の3カ月の報酬の平均から求めた標準報酬月額と従前との差が1等級以内なら対象になりません。

Q. 月額変更届は自分で出しますか?

A. 日本年金機構の原文では、月額変更届を提出するのは事業主です。提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所で、提出方法は電子申請・郵送・窓口持参です。従業員(本人)が行う手続きは、原文には書かれていません。

Q. 月額変更届を出し忘れたら、どうなりますか?

A. 日本年金機構の原文には、出し忘れたときの保険料の扱いは書かれていませんでした。提出時期は「速やかに」とされています。勤め先の担当者か、管轄の年金事務所に確認してください。

Q. 定時決定と随時改定は、どちらが優先されますか?

A. どちらかが優先されるのではなく、使われる場面が違います。定時決定は毎年1回、4・5・6月の報酬の平均で標準報酬月額を決め直す手続きです。随時改定は、定時決定の算定月以後に報酬が大幅に変わったとき(標準報酬月額で2等級以上)に追加で行われます。

参考・出典

※制度は改正されることがあります。実際の保険料や手続きは、日本年金機構・全国健康保険協会・加入している健康保険組合の最新の案内と、勤め先の担当者で確認してください。

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