生命保険を解約したときの税金は?解約返戻金の一時所得、確定申告が要る場合、契約者変更・払済保険にしたときの贈与税の扱い

生命保険を解約して受け取る解約返戻金は、国税庁のタックスアンサーでは保険料の負担者と受け取る人が同じなら所得税(一時金は一時所得)、別の人なら贈与税です。契約者を変更しただけでは、贈与税は課されません。この記事は解約や変更を勧めるものではなく、会社に勤めている方が、解約・契約者変更・払済保険の前に、どの税がかかるかを原典で確かめられるように整理したものです。

解約返戻金にかかる税金は、誰が払い誰が受け取るかで決まる

国税庁のNo.1755は、生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合、保険料の負担者と保険金の受取人が誰であるかにより、所得税と贈与税のどちらかの課税の対象になるとしています。契約者と保険料の負担者は同じことが多いのですが、課税の分かれ目は契約者の名前ではなく、実際に保険料を払った人です。

場面かかる税根拠
解約返戻金を、保険料を払った本人が一時金で受け取る 所得税(一時所得)。一時所得の金額は、受け取った額 − 払込保険料の総額 − 特別控除50万円で、課税の対象はその2分の1 国税庁No.1755、所得税法第34条、同法施行令第183条第2項
解約返戻金の受取人が、保険料を払った人とは別の人 贈与税(保険料を払った人から贈与を受けたものとみなされる) 国税庁No.1755、相続税法第5条第2項
一時払養老保険などで、保険期間等が5年以下のもの、または5年超で保険期間等の初日から5年以内に解約されたもの 一定の要件を満たすものの差益は、源泉分離課税(源泉徴収だけで課税関係が終了) 国税庁No.1520

※国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)で、2026年10月3日に確認しました。一時払養老保険などの源泉分離課税の要件、年金で受け取る場合の扱いは、国税庁の各ページと税務署で確かめてください。

一時所得の金額の計算(受け取った額 − 払込保険料の総額 − 特別控除50万円、課税はその2分の1)は、満期保険金と解約返戻金で同じです。計算の説明は養老保険のメリット・デメリットに、変額保険で払込保険料総額を下回ったときは変額保険のデメリットにあります。解約するか続けるかを決める前の確認は生命保険の見直しはいつ・何から?にまとめています。

確定申告が要るかどうかの基準(会社員)

国税庁のNo.1900では、給与の年間収入金額が2,000万円を超える人などのほかに、次の人が確定申告をしなければなりません(確定申告をすれば税金が還付される人は除かれます)。

  • 給与を1か所から受けている場合:給与の全部が源泉徴収の対象で、給与所得と退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人です(所得税法第121条)。
  • 給与を2か所以上から受けている場合:年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超える人です。ただし、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、各種の所得金額の合計額が20万円以下の人は、申告は不要です。

所得税法第121条第1項第1号はこの合計に「一時所得の金額」を入れ、同法第34条第2項は一時所得の金額を2分の1にする前の「収入 − 支出 − 特別控除50万円」と定めているため、条文どおりなら払込保険料と50万円を引いた金額で判定します。ただしNo.1900は一時所得を2分の1にする前後のどちらで数えるかを明記せず、生命保険文化センターは2分の1にした金額で判定すると説明しています。2分の1にする前の金額が20万円を超え40万円以下の場合は読み方で結論が分かれるため、税務署に確かめてください。一方、医療費控除などで所得税の還付を受けるために確定申告をする場合は、20万円以下の所得金額も申告が必要です。住民税は、所得税とは別の扱いが定められています。ほかの副収入や年収によっても変わるため、自分の場合は、税務署か国税庁のページで確かめてください。

副業や医療費控除などで確定申告が必要になる会社員のケースは確定申告が必要な会社員のケースまとめにあります。

契約者を変更したときの税金

国税庁のタックスアンサーNo.4417のQ&Aと質疑応答事例は、契約者を変更しただけでは贈与税は課税されないとしています。贈与税が課税されるのは、被保険者の死亡や保険期間の満期、解約などによって、保険料を負担していない人が保険金や解約返戻金を受け取った場合に限られます。契約者を変えたあとにどの税がかかるかを、場面ごとに並べます。

場面かかる税根拠
契約者を変更しただけ(保険金や解約返戻金を受け取っていない) 贈与税は課税されない 国税庁No.4417のQ&A、質疑応答事例
変更後の契約者が解約して解約返戻金を受け取り、保険料を払ったのは別の人 贈与税(解約返戻金相当額を保険料の負担者から贈与により取得したものとみなされる) 国税庁の質疑応答事例、相続税法第5条第2項
契約者の変更の前後で、保険料を払った人が違う契約の保険金や満期保険金を受け取る 受け取るときに、変更前の契約者が負担した保険料に相当する部分と、変更後の契約者が負担した保険料に相当する部分に分けて課税される 生命保険文化センター Q&A(税金562)、相続税法第5条第1項
保険料を負担している契約者(被保険者ではない人)が亡くなった 契約に関する権利が、相続人などが相続または遺贈により取得する財産になる(相続税) 相続税法基本通達3-36、相続税法第3条第1項第3号
保険料を負担していない契約者(被保険者ではない人)が亡くなった 課税しない(相続税法第3条第1項第3号で権利を取得したものとみなされる場合を除く) 相続税法基本通達3-36

※国税庁質疑応答事例(令和7年8月1日現在)、国税庁タックスアンサーNo.4417、相続税法基本通達、生命保険文化センター Q&A、e-Govの相続税法で、2026年10月3日に確認しました。保険料を負担した人が複数いる場合の割合の出し方や、権利の評価額の求め方は、国税庁の各ページと税務署で確かめてください。

生命保険文化センターは、契約者(保険料負担者)が妻で満期保険金の受取人が夫の契約について、夫に契約者を変更した場合を例にしています。変更の前に妻が負担した保険料に相当する部分は贈与税、変更のあとに夫が負担した保険料に相当する部分は所得税(一時所得)になります。契約者が亡くなって契約者が変わる場合は、権利の評価額は相続開始時に解約するとした場合に受け取れる解約返戻金の額が基になります(同Q&A、税金563)。

払済保険に変えたときの扱い

生命保険文化センターは、保険料の払い込みが難しくなったときの方法として、次のものを挙げています。

  • 払済保険:保険料の払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間をそのままにして保障額の少ない保険(同じ種類の保険または養老保険)に変更する方法です。付加している特約は消滅します。解約返戻金が少ない場合や、保険の種類によっては変更できないことがあります。
  • 延長(定期)保険:保険料の払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、死亡・高度障害保障のみの定期保険に変更する方法です。
  • 減額:保険金額を減らす分だけ、それ以降の保険料の負担を軽くする方法で、減額した部分は解約したものとして取り扱われます。

税金の面では、払済保険への変更そのものの課税関係を直接述べた国税庁のタックスアンサーや質疑応答事例は、当サイトでは確認できませんでした(個人の契約について。2026年10月3日確認)。そのため「課税されない」とも「課税される」とも、この記事では示しません。近い取扱いとして、国税庁は次のように説明しています(No.1755のQ&A)。

  • 転換:転換前の契約と契約者・被保険者が同一であることなど5つの要件のいずれにも当てはまるときは、実質的に契約内容の変更であり、所得税と贈与税の課税関係は生じません。
  • 減額:減額した部分に対応する精算金が支払われた場合、既払保険料の金額に達するまでの精算金は所得が生じず、既払保険料を超える部分が一時所得になります。

払済保険に変えると、その後に受け取る保険金や解約返戻金の額も変わります。変える前に、保険会社に変更後の保障額と解約返戻金の見込みを確かめ、課税関係は税務署に確かめてください。

解約返戻金で一時所得がいくらになるかの試算

次は、当サイトで試算した1例です。金額は説明のための仮定で、解約返戻金の平均や相場ではありません。

  • 保険料の負担者・被保険者・受取人が同じ本人で、払い込んだ保険料の総額は240万円
  • 解約返戻金を一時金で受け取る。ほかに一時所得はなく、給与を1か所から受けて年末調整が済んでいる会社員で、給与所得以外の所得はない
  • ケース1は解約返戻金が320万円、ケース2は400万円
項目ケース1ケース2
解約返戻金320万円400万円
払込保険料総額(240万円)との差80万円160万円
特別控除50万円を引いた一時所得の金額30万円110万円
その2分の1(課税の対象)15万円55万円
20万円との比較(国税庁No.1900)2分の1にする前の30万円は超え、2分の1にした15万円は超えない(読み方で分かれる)どちらの金額でも20万円を超える

※当サイトの試算です。一時所得の金額は国税庁No.1755の式(受け取った額 − 払込保険料の総額 − 50万円)、課税の対象はその2分の1です。20万円との比較は、2分の1にする前の金額で見る読み方(所得税法第121条第1項第1号・第34条第2項の文言)と、2分の1にした金額で見る読み方(生命保険文化センターの説明)で分かれます。

この前提では、ケース2はどちらの読み方でも所得税の確定申告が要る側です。ケース1は読み方で結論が分かれる範囲(2分の1にする前の金額が20万円超40万円以下)にあたるため、税務署に確かめてください。解約返戻金が払込保険料の総額(この例では240万円)以下なら、一時所得は生じません。医療費控除などで還付を受けるための申告をする場合は、20万円以下でも申告が必要です。実際の額は、保険会社から届く解約返戻金の通知と、払い込んだ保険料の総額で確かめてください。

よくある質問

Q. 生命保険を解約すると、解約返戻金に税金はかかりますか?

A. 国税庁のタックスアンサーNo.1755では、生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合、保険料の負担者と保険金の受取人が誰であるかにより、所得税または贈与税の課税対象になります。保険料を払った本人が受け取るなら所得税(一時金は一時所得)、受取人が別の人なら贈与税です。一時所得の金額は、受け取った額から払い込んだ保険料の総額と特別控除50万円を差し引いた金額で、課税の対象になるのはその2分の1です。解約返戻金が払い込んだ保険料の総額以下なら、一時所得の金額は生じません。

Q. 会社員が解約返戻金を受け取ったら、確定申告は必要ですか?

A. 国税庁のタックスアンサーNo.1900では、給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収の対象になっている場合、給与所得と退職所得以外の各種の所得金額の合計額が20万円を超える人は確定申告が必要です。所得税法第121条第1項第1号はこの合計に「一時所得の金額」を入れ、同法第34条第2項は一時所得の金額を2分の1にする前の「収入 − 支出 − 特別控除50万円」と定めているため、条文どおりなら払込保険料と50万円を引いた金額で判定します。ただしNo.1900は一時所得を2分の1にする前後のどちらで数えるかを明記せず、生命保険文化センターは2分の1にした金額で判定すると説明しています。2分の1にする前の金額が20万円を超え40万円以下の場合は読み方で結論が分かれるため、税務署に確かめてください。医療費控除などで還付を受けるために申告する場合は、20万円以下の所得も申告が必要です。住民税の扱いは別に定められているため、お住まいの市区町村で確かめてください。

Q. 生命保険の契約者を変更すると、贈与税がかかりますか?

A. 国税庁の質疑応答事例では、契約者の変更があっても、その変更に対して贈与税は課されません。ただし、変更後の契約者がその地位に基づいて保険契約を解約し、解約返戻金を取得した場合は、保険料を負担した人から解約返戻金相当額を贈与により取得したものとみなされ、贈与税が課されます(相続税法第5条第2項)。保険料を負担している契約者(被保険者ではない人)が亡くなった場合は、契約に関する権利が相続税の対象になります(相続税法基本通達3-36)。

Q. 払済保険に変更すると、税金はかかりますか?

A. 払済保険は、保険料の払い込みを中止し、その時点の解約返戻金をもとに、保険期間はそのままで保障額の少ない保険に変更する方法です(生命保険文化センター)。個人の契約について、払済保険への変更そのものの課税関係を直接述べた国税庁のタックスアンサーや質疑応答事例は、当サイトでは確認できませんでした。近い取扱いとして、国税庁は、転換が契約者・被保険者の同一などの要件にすべて当てはまる場合は課税関係が生じないとし(No.1755のQ&A)、減額で支払われる精算金は既払保険料に達するまで所得が生じないとしています。自分の契約でどうなるかは、変更の前に保険会社と税務署に確かめてください。

参考・出典

※2026年10月3日現在に国税庁・生命保険文化センター・e-Govで確認した内容で、制度や法令は変わることがあります。解約返戻金の額や、解約・契約者変更・払済保険への変更の取扱いは、保険会社と契約ごとに異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではなく、解約や変更の判断は保険証券と保険会社の説明、税の判断は税務署の案内で行ってください。

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