養老保険のメリット・デメリットは?満期保険金の税金(一時所得)、途中解約の解約返戻金、保険料控除の区分|終身保険・個人年金保険・預貯金との違い
養老保険は、決めた保険期間の間に亡くなれば死亡保険金、満期まで生きていれば死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れる貯蓄機能のある保険です。生命保険文化センターは、満期保険金が払い込んだ保険料総額を下回ることがある、とも説明しています。この記事は入る・やめるを勧めるものではなく、会社に勤めている方が、満期保険金の税金・途中解約・保険料控除を原典で確かめられるように整理したものです。
養老保険のしくみとメリット・デメリット
生命保険文化センターの説明をもとに、しくみと、原典が書いているよい点・注意点を分けます。
- しくみ:保険期間は一定で、その間に死亡すると死亡保険金、満期まで生存すると満期保険金を受け取れます。死亡保険金と満期保険金は同額です。保険金の受け取りは一時金が一般的で、保険会社によっては年金で受け取れるものもあります。
- よい点として書かれていること:貯蓄機能を備えています。生命保険文化センターのQ&Aは、60歳まで保険料を払い込んで何も残らないことに抵抗がある場合の例として、満期を迎えれば死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れる養老保険を挙げています。
- 注意点として書かれていること:満期保険金が払い込んだ保険料総額を下回ることがあります。解約返戻金も、期間の経過とともに増えていきますが、保険料払込総額を下回ることがあります。同じQ&Aは、貯蓄機能のある保険でも、預貯金のように「預けたお金が増えて戻ってくる」とは限らない、としています。
- 外貨建の養老保険:外貨と円を換算するときの為替差損などのリスクは契約者が負います。
満期保険金の差益には税金がかかる場合があり、これは次の2つの節で確かめます。保険料の相場や、どの保険会社・どの商品がよいかは、この記事では取り上げません。特定の商品や会社は勧めません。
受け取り方ごとの税金
課税の分かれ目は、国税庁の表では保険料の負担者と保険金の受取人が同じ人か、別の人かです。次の表で、受け取り方ごとにかかる税金を確かめます。
| 保険料の負担者と受取人 | かかる税金 | 根拠 |
|---|---|---|
| 満期保険金を、保険料を払った本人が一時金で受け取る | 所得税(一時所得) | 国税庁No.1755、所得税法第34条 |
| 満期保険金を、保険料を払った本人が年金で受け取る | 所得税(公的年金等以外の雑所得) | 国税庁No.1755 |
| 満期保険金の受取人が、保険料を払った人とは別の人 | 贈与税 | 国税庁No.1755・No.4417、相続税法第5条 |
| 解約返戻金を受け取る | 満期保険金と同じ区分(負担者と受取人が同じなら所得税、別なら贈与税) | 国税庁No.1755 |
| 一時払養老保険で、保険期間が5年以下、または5年超で5年以内に解約 | 20.315%の源泉分離課税(確定申告はできない) | 国税庁No.1520・No.1490 |
| 死亡保険金:被保険者と保険料の負担者が同じで、受取人が別の人 | 相続税(受取人が相続人なら500万円×法定相続人の数まで非課税) | 国税庁No.1750・No.4114 |
| 死亡保険金:保険料の負担者と受取人が同じで、被保険者は別の人 | 所得税(一時所得) | 国税庁No.1750 |
| 死亡保険金:被保険者・保険料の負担者・受取人がすべて別の人 | 贈与税 | 国税庁No.1750 |
※国税庁タックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)で、2026年10月3日に確認しました。年金で受け取る場合の贈与税・相続税や、複数の受取人がいる場合などの細かい扱いは、国税庁の各ページと税務署で確かめてください。
満期保険金の一時所得の計算と会社員の確定申告
保険料を払った本人が満期保険金を一時金で受け取ると、次の計算になります(所得税法第34条第2項・第3項、国税庁No.1755・No.1490)。
- 一時所得の金額:受け取った満期保険金 − 払い込んだ保険料の総額 − 特別控除50万円。差し引く前の金額が50万円に満たないときは、その金額までしか控除できず、一時所得は生じません。
- 課税される金額:一時所得の金額の2分の1が、給与所得などほかの所得と合計されます(所得税法第22条第2項第2号)。
- 払い込んだ保険料の総額:満期保険金と一緒に配当金(剰余金の分配)を受け取ったときは、その額を収入に加えます。満期より前に配当金を受け取った分や、配当金を保険料の払い込みに充てた分は、保険料の総額から引きます(所得税法施行令第183条第2項第1号・第4項第4号)。
会社員の確定申告は、国税庁No.1900によると、給与を1か所から受けて年末調整されている場合、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると必要です。所得税法第121条第1項第1号はこの合計に「一時所得の金額」を入れており、同法第34条第2項は一時所得の金額を「収入 − 支出 − 特別控除」と定め、2分の1にするのは総所得金額を出す第22条第2項第2号の段階です。条文の文言どおりなら、2分の1にする前の金額(満期保険金 − 払込保険料総額 − 50万円)で判定することになります。ただし国税庁No.1900は「各種の所得金額」と書くだけで、一時所得を2分の1にする前後のどちらで数えるかを明記しておらず、生命保険文化センターは2分の1にした金額で20万円と比べると説明しています。2分の1にする前の金額が20万円を超え40万円以下の場合は読み方で結論が分かれるため、税務署に確かめてください。一時払養老保険の源泉分離課税の対象になるものは、この金額に含めません。
申告が要るかどうかは、ほかの副収入や医療費控除などの還付申告の有無でも変わります。自分の場合は、税務署か国税庁のページで確かめてください。住民税の申告の扱いは、この記事では取り上げません。
途中で解約したとき
生命保険文化センターの説明をもとに、解約の前に確かめる点を整理します。
- 解約返戻金はいくらか:養老保険の解約返戻金は期間の経過とともに増えていきますが、保険料払込総額を下回ることがあります。保険料を一時払した場合でも、経過期間などによっては払込保険料総額を下回ることがあります。金額は保険種類・契約時の年齢・保険期間・経過年数などで異なり、通常は払い込んだ保険料総額より少ない、と説明されています。
- 解約すると戻せない:解約した時点で契約は消滅し、以降の保障はなくなって、もとに戻せません。もう一度契約するときは、年齢が上がって保険料が割高になったり、健康状態によっては特別条件が付いたり、契約できなかったりすることがあります。
- 手続き:解約には所定の書類の提出が必要です。口頭の申し出や、保険料の払い込みを止めただけでは、解約の手続きとはみなされません。
- 解約返戻金の税金:上の表のとおり、保険料の負担者と受取人が同じなら、満期保険金と同じ一時所得の計算になります(解約返戻金 − 払込保険料の総額 − 50万円)。
解約と乗換えの前に確かめること全般は、生命保険の見直しはいつ・何から?にまとめています。
保険料控除の区分
養老保険は、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる契約なので、保険金等の受取人のすべてを保険料を払い込む方またはその配偶者その他の親族とするものは、生命保険料控除の対象になります(国税庁No.1141)。保険期間が5年未満の貯蓄保険などは対象になりません。契約を結んだ日で、控除の取扱いが変わります。
| 契約を結んだ日 | 区分 | 所得税の控除(最高) |
|---|---|---|
| 平成23年12月31日以前 | 旧生命保険料 | 年間10万円超で一律5万円 |
| 平成24年1月1日以後 | 新生命保険料 | 年間8万円超で一律4万円 |
※国税庁タックスアンサー No.1140「生命保険料控除」・No.1141で、2026年10月3日に確認しました。新旧の契約の両方がある場合は、旧契約の年間保険料が6万円を超えるかで計算が分かれます。介護医療保険料・個人年金保険料を合わせた全体の上限は12万円です。
租税特別措置法第41条の15の5は、23歳未満の扶養親族がいる場合に新生命保険料の控除額の最高を6万円(年間12万円超で一律)とする特例を、令和8年分と令和9年分の所得税について定めています(国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は「令和8・9年分」、タックスアンサーNo.1140は「令和8年分以降」と書いています)。条件は生命保険料控除の23歳未満の特例に整理しています。
控除でいくら戻るかは生命保険料控除でいくら戻るの計算機で、保険料控除申告書の書き方の流れは個人年金保険料の年末調整の書き方の記入例で確かめられます。
終身保険・個人年金保険・預貯金との比べ方
貯蓄機能のある保険でも、種類によって受け取れるお金が違います。生命保険文化センターの説明を並べると、次のとおりです。
| 種類 | 受け取れるお金 | 確かめる点 |
|---|---|---|
| 養老保険 | 期間中の死亡で死亡保険金、満期で生存なら同額の満期保険金 | 満期保険金が払込保険料総額を下回ることがある |
| 終身保険 | 死亡保障が一生涯続く。満期保険金はなく、期間の経過とともに解約返戻金が増える | 保険料の払込期間は「有期払」と「終身払」から選ぶ |
| 個人年金保険 | 契約時に定めた年齢から年金を受け取る。年金受取開始日前に死亡すると、払い込んだ保険料に応じた死亡給付金 | 年金の種類(確定年金・終身年金など)と受取開始年齢を決める |
| 預貯金 | 貯蓄機能のある保険でも、預貯金のように「預けたお金が増えて戻ってくる」とは限らないと説明されている | 月々の保険料も種類で異なるため、優先度の高い保障が何かを考える |
※生命保険文化センター「生命保険の種類(主契約)」養老保険・終身保険・個人年金保険、「定期保険・養老保険・終身保険の違いは?」で、2026年10月3日に確認しました。当サイトは利回りの相場を示しません。実際の受取額は、各社の契約概要と設計書で確かめてください。
老後の年金を保険で用意するかを数える方法は個人年金保険は必要か 計算機に、収入保障保険との違いは収入保障保険は必要?にあります。
満期保険金の税額の試算
次は、満期保険金を一時金で受け取ったときの一時所得と税額を、当サイトで試算した1例です。金額は説明のための仮定で、平均や相場ではありません。
- 保険料の負担者・被保険者・受取人が同じ本人で、満期保険金を一時金で受け取る(一時払ではない)
- 満期保険金500万円、払い込んだ保険料の総額420万円、配当金なし、ほかに一時所得なし
- 給与を1か所から受けて年末調整済みの会社員で、給与以外の所得はほかにない。所得税率10%、復興特別所得税と住民税は含めない
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 満期保険金と払込保険料の差 | 500万円 − 420万円 | 80万円 |
| 一時所得の金額 | 80万円 − 特別控除50万円 | 30万円 |
| 確定申告の要否の目安 | 2分の1にする前の30万円は20万円を超え、2分の1にした15万円は超えない | 読み方で分かれる |
| 総所得金額に加える額 | 30万円 × 1/2 | 15万円 |
| 所得税の増加 | 15万円 × 10% | 約1万5,000円 |
※当サイトの試算です。所得税率が5%なら約7,500円、20%なら約3万円です。払い込んだ保険料の総額が450万円なら、差が50万円で一時所得は生じず、この計算の税はかかりません。
この試算に入っていないものがあります。満期保険金を受け取るまでの死亡保障の価値は含めていません。また住民税は別に計算されます。自分の契約の満期保険金と払い込んだ保険料の総額は、保険会社の通知や設計書で確かめてください。
よくある質問
Q. 養老保険のメリットとデメリットは、何と言われていますか?
A. 生命保険文化センターは、養老保険を「保険期間中の死亡で死亡保険金、満期まで生存すれば死亡保険金と同額の満期保険金を受け取れる」貯蓄機能を備えた保険と説明しています。一方で、満期保険金が払い込んだ保険料総額を下回ることがあり、解約返戻金も保険料払込総額を下回ることがある、と注意しています。
Q. 養老保険の満期保険金には税金がかかりますか?
A. 国税庁のタックスアンサーでは、保険料を負担した人が満期保険金を一時金で受け取ると一時所得になります。受け取った額から払い込んだ保険料の総額と特別控除50万円を差し引いた金額が一時所得の金額で、課税の対象になるのはその2分の1です。保険料の負担者と受取人が違う場合は、贈与税の対象になります。
Q. 会社員が養老保険の満期保険金を受け取ったら、確定申告は必要ですか?
A. 国税庁によると、給与を1か所から受け、年末調整を受けている会社員は、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。所得税法第121条第1項第1号はこの合計に「一時所得の金額」を入れ、同法第34条第2項は一時所得の金額を2分の1にする前の「収入 − 支出 − 特別控除50万円」と定めているため、条文どおりなら満期保険金から払込保険料と50万円を引いた金額で判定します。ただし国税庁No.1900は一時所得を2分の1にする前後のどちらで数えるかを明記せず、生命保険文化センターは2分の1にした金額で判定すると説明しています。2分の1にする前の金額が20万円を超え40万円以下の場合は読み方で結論が分かれるため、税務署に確かめてください。一時払養老保険で保険期間が5年以下などの場合は源泉分離課税で、確定申告の対象になりません。
Q. 養老保険を途中で解約すると、払った保険料は戻りますか?
A. 生命保険文化センターは、解約返戻金は期間の経過とともに増えていくが、保険料払込総額を下回ることがあり、保険料を一時払した場合でも経過期間によっては払込保険料総額を下回ることがある、と説明しています。自分の契約でいくらになるかは、保険会社に確かめてください。
Q. 養老保険の保険料は、生命保険料控除の対象になりますか?
A. 国税庁のタックスアンサーによると、生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる契約で、保険金等の受取人のすべてを保険料を払い込む方またはその配偶者その他の親族とするものは、生命保険料控除の対象です。平成24年1月1日以後に締結した契約は新生命保険料(所得税の控除は最高4万円)、平成23年12月31日以前の契約は旧生命保険料(最高5万円)として扱われます。保険期間が5年未満の貯蓄保険などは対象になりません。
参考・出典
- 生命保険文化センター「生命保険の種類(主契約)」:養老保険・終身保険・個人年金保険
- 生命保険文化センター「生命保険Q&A」:定期保険・養老保険・終身保険の違いは?・解約する場合の留意点は?
- 国税庁:No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき・No.4417 贈与税の対象になる生命保険金・No.1750 死亡保険金を受け取ったとき・No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金・No.1490 一時所得・No.1520 金融類似商品と税金・No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人・No.1140 生命保険料控除・No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等
- e-Gov法令検索:所得税法(第22条・第34条・第121条)・所得税法施行令(第183条)・相続税法(第5条)
※2026年10月3日現在に生命保険文化センター・国税庁・e-Govで確認した内容で、制度や法令は変わることがあります。解約返戻金や満期保険金の額、配当金の扱いは、保険会社と契約ごとに異なります。特定の保険商品・保険会社を推奨するものではなく、継続・解約の判断は保険証券と保険会社の説明、税の判断は税務署の案内で行ってください。