育休中・育休明けのふるさと納税|上限額は「その年の所得」で決まる?育児休業給付金は所得に入る?夫の名義でできる?寄附しすぎると
ふるさと納税の上限額の元になるのは、寄附をした年の所得です。去年の所得ではありません。育児休業給付金は課税されず所得に入らないので、給与が出ない期間が長い年ほど、住民税の所得割が小さくなり、控除しきれない寄附額が出やすくなります。夫の名義で寄附しても、妻の控除にはなりません。総務省・国税庁・地方税法の原文で確かめた内容を、問いごとにまとめました。
上限額は「その年の所得」で決まるのか
総務省の説明では、ふるさと納税による税の軽減は「1月~12月」の年単位です。例えば1月に寄附しても、12月までの1年が経過した後に、その1年間の所得に対する課税の中で取り扱われます。
条文でも、住民税の寄附金税額控除は「前年中」に支出した寄附金を、所得割の額から引くと定めています(地方税法314条の7第1項)。引かれる先の翌年度の所得割は、前年の所得で決まります(同法313条1項)。つまり、寄附した年の所得で決まる翌年度の住民税から引く形です。去年の所得は関係しません。
| 寄附する年 | 上限額の元になる所得 | 読み方 |
|---|---|---|
| 育休に入る年(年の前半は勤務) | 年内に支払われた給与の分 | 勤務した期間が短いほど、所得割は小さくなる |
| 給与が1年を通して出ない年 | 給与の所得がない(給付金は入らない) | 所得割が0円なら、住民税の控除も0円 |
| 職場に復帰した年 | 年内に支払われた給与の分 | 去年が育休でも、今年の給与で決まる。年内の給与は12月にならないと確定しない |
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」Q4・Q5、地方税法第313条・第314条の7(e-Gov)、2026年10月3日確認。表の「読み方」は、原文の読み合わせです。総務省は、上限額は収入や他の控除等の状況によるとして、具体的な計算は市区町村への問い合わせを案内しています。
上限額の目安は、ふるさと納税 上限額計算ツールで計算できます。年収の欄には、寄附する年に会社から支払われる給与の見込みを入れてください。
育児休業給付金は所得に入るか
入りません。国税庁は、育児休業給付金は雇用保険法の失業等給付に当たり、同法第12条により課税されないので、配偶者控除の判定に使う合計所得金額に含まれないと説明しています(No.1191 質疑応答 Q6)。第12条は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することができない、と定めています。
住民税の所得割も、所得税法の計算の例で出した総所得金額などをもとにします(地方税法313条)。そのため、給付金が多いからといって上限額が増えることも、給付金があるから下がることもありません。上限額の元になるのは、その年に支払われた給与です。
出生時育児休業給付金など、ほかの給付の扱いと、育休中の年末調整は育休中の年末調整に、給付金の額と条件は育児休業給付金の計算方法にまとめています。
夫の名義で寄附するとどうなるか
総務省は、同じ家庭内でも、寄附金控除を受けるには納税者本人がふるさと納税を行う必要があり、名義も本人である必要があると説明しています(よくある質問 Q9)。
| 寄附する人 | 控除を受ける人 | 上限額の元 |
|---|---|---|
| 育休中の妻(妻の名義) | 妻 | 妻の所得割 |
| 夫(夫の名義) | 夫 | 夫の所得割 |
出典:総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくある質問」Q9、2026年10月3日確認。
妻の名義で寄附した分は妻の控除になり、限度は妻の所得割で決まります。妻の給与が少ない年に、夫が自分の名義で寄附する分は、夫の上限額の範囲で考えます。夫の上限額は、配偶者の状況も入力する上限額計算ツールで目安を出せます。
寄附しすぎると何が起きるか
総務省の説明では、住民税の特例分は住民税所得割額の2割が限度です。この限度を超えると、所得税・住民税の控除を合計しても(ふるさと納税額-2,000円)の全額は控除されず、実質負担額は2,000円を超えます。
育休の年に起きやすい場面
給与が出ない期間があると、住民税の所得割が小さくなります。寄附額を例年と同じにすると、限度を超えやすくなります。条文は、控除額が所得割の額を超えるときは所得割の額に相当する金額までとしています(地方税法第314条の7第1項)。
具体的な上限額は、総務省が市区町村の住民税担当への問い合わせを案内しています。やり方そのものは会社員のふるさと納税のやり方に、住宅ローン控除がある年の見方は住宅ローン控除とふるさと納税の併用にあります。
住民税が普通徴収になる年との関係
育休で給与から住民税が天引きされない期間は、納付書で自分で払う普通徴収に切り替わることがあります。その手続は住民税の納付書が届かない理由と、休職・育休で普通徴収に切り替わるときにまとめています。
ふるさと納税の控除は、条文上所得割の額から引く形です。地方税法314条の7には、特別徴収か普通徴収かで控除が変わるという定めはありません。徴収の方法が変わっても、控除の対象になる寄附は変わらない、と読めます。納付書の税額への反映は、市区町村にご確認ください。
よくある質問
Q. 去年が育休で給与が少なかった年は、今年の上限額も低くなりますか?
A. 上限額の元になるのは、寄附をした年の所得です(総務省 よくある質問 Q4)。去年の所得は、今年の寄附の上限には使われません。今年の給与が去年より多ければ、上限額の元になる住民税の所得割も、去年より大きくなります。実際の額は、市区町村の計算によります。
Q. 育児休業給付金をもらっている年でも、ふるさと納税はできますか?
A. できます。総務省は、ふるさと納税を行う時期も自治体も制限はないと説明しています(よくある質問 Q2・Q4)。ただし、育児休業給付金は所得に入らないので、その年に支払われた給与が少ないと、住民税の所得割も小さくなり、控除しきれない寄附額が出やすくなります。
Q. 育児休業給付金は、ふるさと納税の上限額を増やしますか?
A. 増やしません。育児休業給付金は雇用保険法第12条により課税されず(国税庁 No.1191 質疑応答 Q6)、合計所得金額に含まれません。住民税の所得割も、所得税法の計算の例で出した所得をもとにするので(地方税法第313条)、給付金の額は上限額の元に入らないと読めます。
Q. 育休中の妻の分を、夫の名義でふるさと納税して、妻の控除にできますか?
A. できません。総務省は、寄附金控除を受けるには納税者本人がふるさと納税を行う必要があり、名義も本人である必要があると説明しています(よくある質問 Q9)。夫が自分の名義で寄附した分は、夫の寄附金控除になります。
Q. 所得割が0円の年に寄附すると、どうなりますか?
A. 住民税からの控除は所得割の額から引く形で、控除額が所得割の額を超えるときは、所得割の額に相当する金額までです(地方税法第314条の7第1項)。所得割が0円なら、住民税からの控除は0円です。総務省の説明では、特例分は所得割額の2割が限度で、超えた分は自己負担になります。
Q. 育休の年も、ワンストップ特例を使えますか?
A. 対象は、確定申告の不要な給与所得者等で、寄附先が5団体以内の場合です(総務省)。確定申告をする年は、ワンストップ特例の申請が無効になります(国税庁 No.1155)。育休の年に確定申告が要るかどうかは、育休中の年末調整の記事にまとめています。
Q. 上限額ツールには、何を入れればいいですか?
A. 寄附する年に会社から支払われる給与の見込みを、年収(額面)に入れてください。育児休業給付金は課税されないので入れません。ツールは他の控除がない場合の目安です。育休の年の上限額は、お住まいの市区町村にご確認ください。
参考・出典
- 総務省 ふるさと納税ポータルサイト - 税金の控除について・よくある質問(2026年10月3日確認)
- 国税庁 - No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日確認)
- 国税庁 - No.1191 配偶者控除(質疑応答 Q6 育児休業給付金の支給を受けている配偶者)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月3日確認)
- e-Gov法令検索 - 雇用保険法(第12条 公課の禁止)(2026年10月3日確認)
- e-Gov法令検索 - 地方税法(第313条 所得割の課税標準、第314条の7 寄附金税額控除)(2026年10月3日確認)
※ふるさと納税の上限額は、収入や他の控除等の状況により異なり、実際の上限額は、お住まいの市区町村の計算によります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。