iDeCo・企業型DCの改正はいつから?2026年12月の拠出限度額の引き上げ、70歳までの加入、会社員がやること
iDeCoと企業型DC(企業型確定拠出年金)の拠出限度額の引き上げは、2026年12月1日に施行される予定です(2026年10月3日現在は未施行)。会社員のiDeCoは月2万3,000円または2万円から、企業年金等と合わせて月6万2,000円までになります。あわせて、iDeCoに加入できる年齢も、一定の人は60歳以上70歳未満に広がります。受け取りの年齢は変わりません。区分ごとの新旧の上限、加入年齢の条件、掛金を変える時期を、法令と厚生労働省の原文で整理します。
改正はいつから、何が変わるか
厚生労働省は、2025年の私的年金制度の見直し(令和7年法律第74号。2025年6月13日成立)の施行を、2026年4月1日と2026年12月1日の2段階で示しています。会社員の掛金に関わるのは、2026年12月1日に施行される予定の2つです。
| 改正の内容 | 施行日 | 会社員への関わり |
|---|---|---|
| iDeCo・企業型DC・国民年金基金の拠出限度額の引き上げ | 2026年12月1日(未施行) | iDeCoは企業年金等と合算で月6万2,000円に。企業型DCも月5万5,000円から月6万2,000円に |
| iDeCoの加入可能年齢の引き上げ | 2026年12月1日(未施行) | 国民年金の被保険者でなくなった60歳以上70歳未満の一部の人も加入・継続拠出ができる |
| マッチング拠出の加入者掛金が事業主掛金以下という制限の撤廃 | 2026年4月1日(施行済み) | 企業型DCの加入者掛金の上限は、事業主掛金との合計が限度額以内に |
| 自動移換に関する事業主の説明時期の見直し、簡易型DCの企業型DCへの統合 | 2026年4月1日(施行済み) | 退職などで資格を失うことが見込まれる時点で、会社から説明を受ける |
※出典:厚生労働省「2025年の制度改正」(施行スケジュール)、令和7年政令第441号(改正法の一部の施行期日を令和8年12月1日とする)、令和7年政令第442号(国民年金基金令・確定拠出年金法施行令の改正)、令和8年厚生労働省令第111号(2026年10月3日確認)。厚生労働省のページは2026年12月1日の項目を「施行予定」と表示しています。
マッチング拠出の制限の撤廃(施行済み)の中身はマッチング拠出とはに、自動移換はiDeCoは転職したらどうなるに任せます。iDeCo公式の「制度改正について」のページは、2026年10月3日時点で2022年・2024年の改正までの案内で、2026年12月の改正は載っていません。上限の新旧は、次の厚生労働省と法令の原文が根拠です。
会社員の拠出限度額は、区分ごとにいくらになるか
会社員(国民年金の第2号被保険者)のiDeCoの上限は、勤務先の企業年金の有無などで決まります。2026年12月1日からは、その差が縮まり、企業年金と共通の月6万2,000円の枠から、事業主掛金などを引いた額になります(確定拠出年金法施行令第36条)。
| 会社員の区分 | いまの上限(2026年11月まで) | 2026年12月1日から(未施行) |
|---|---|---|
| 企業型DCもDBもない | iDeCoは月2万3,000円 | iDeCoは月6万2,000円 |
| 企業型DCだけ | iDeCoは月2万円(事業主掛金が月3万5,000円を超えるときは、超えた額を引く) | iDeCoは月6万2,000円から事業主掛金を引いた額 |
| DBなど他制度だけ(公務員は共済) | iDeCoは月2万円(他制度の掛金相当額が月3万5,000円を超えるときは、超えた額を引く) | iDeCoは月6万2,000円から他制度の掛金相当額(公務員は共済掛金相当額)を引いた額 |
| 企業型DCとDBなど他制度の両方 | iDeCoは月2万円(事業主掛金と他制度の掛金相当額の合計が月3万5,000円を超えるときは、超えた額を引く) | iDeCoは月6万2,000円から事業主掛金と他制度の掛金相当額を引いた額 |
※出典:確定拠出年金法施行令第36条(現行版と2026年12月1日施行版。e-Gov法令検索)、令和7年政令第442号、厚生労働省「iDeCo拠出限度額の引き上げ」「DC拠出限度額(令和8年12月〜)」。DBは確定給付企業年金。他制度にはDBのほか、私立学校教職員共済・石炭鉱業年金基金を含みます(同令第11条)。
たとえば事業主掛金が月2万円の企業型DCの加入者なら、iDeCoの上限は月2万円から月4万2,000円になる計算です(6万2,000円−2万円)。ただし、企業型DCの加入者掛金(マッチング拠出)をしている間は、iDeCoに加入できません。選び方はマッチング拠出とはにあります。
企業型DCの上限は、会社が決める
企業型DCそのものの上限も、月5万5,000円から月6万2,000円に上がります(同令第11条)。ただし、会社の規約が政令を引用している場合は自動で引き上がり、規約に「5万5,000円」と書いている会社は、規約を変えるまで上限が上がりません。会社が引き上げないことも選べます(厚生労働省の事務連絡 令和8年7月13日)。同じ事務連絡は、施行日より前に規約の上限を6万2,000円に変えることはできないとしています。DBなど他制度がある会社で、2024年12月の経過措置を使っている場合、他制度にも入っている加入者の企業型DCの上限は従前のままです。自分の会社がどれに当たるかは、会社の案内で確かめてください。iDeCoの上限は、会社の規約を条件にしていません(令第36条)。
自営業者などの第1号加入者は月6万8,000円が月7万5,000円に、専業主婦(夫)などの第3号加入者は月2万3,000円のままです。区分別の節税額はiDeCoの節税額(年収別)で確かめられます。
加入できる年齢は70歳未満になるのか
一律に70歳までになるわけではありません。会社員のまま60歳以上65歳未満であれば、すでに2022年5月からiDeCoに加入できています(iDeCo公式)。2026年12月1日の改正で加わるのは、国民年金の被保険者でなくなったあとの、60歳以上70歳未満の人です(確定拠出年金法第62条第1項第5号)。
加入できるのは、次のいずれかに当たり、かつ老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していない人で、マッチング拠出をしていない人です(厚生労働省「iDeCoの加入可能年齢の引き上げ」)。
- iDeCoの加入者だった人(申出の前日に加入者だった人)
- iDeCoの運用指図者だった人(掛金を出さずに運用だけしていた人)
- 企業年金などからiDeCoに資産を移す人(企業型DCの個人別管理資産や、DBの脱退一時金相当額などを、iDeCoに移す人)
新しい区分は「第5号加入者」で、上限は月6万2,000円です(企業年金等がある人は、それらと合計で6万2,000円)。70歳に達すると加入者の資格を失います(同法第62条第4項第3号)。老齢基礎年金を繰り下げて老齢厚生年金を受給している人は加入できますが、施行日までに老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給した人は加入できません(厚生労働省の資料の注記)。法の条文でも、老齢基礎年金の裁定を受けた人は加入者になれないとされています(同条第2項)。
経過措置として、施行日から起算して3年を経過する日までの間は、上の3つに当たらなくても、施行日の時点で国民年金の被保険者でなく、それまでに被保険者だった60歳以上70歳未満の人(国内に住所がある人)などが加入できます(令和7年法律第74号 附則第33条)。申出には住民票の写しなどが必要です(令和8年厚生労働省令第111号第4条)。厚生年金の被保険者として働いている第5号加入者は、掛金を事業主を介して納付し、給与から控除してもらうこともできます(同法第70条第2項・第71条)。
60歳以降も続ける人は、iDeCoの掛金を止めたり下げたりする手続きと、60歳以降に続けられる年齢をiDeCoは解約できるにまとめています。
受け取りの年齢は変わるのか
変わりません。2026年12月1日施行版の確定拠出年金法も、老齢給付金の請求について、第33条(通算加入者等期間が10年以上なら60歳から請求できる。期間が短いと、請求できる年齢は61歳以上に遅れる)と、第34条(請求しないまま75歳に達したときの支給)は現行と同じ条文です。iDeCoにはこれらが準用されます(同法第73条)。iDeCoの受給開始時期を、60歳以降75歳までの間で選べるようにしたのは2022年4月の改正で、すでに実施されています(iDeCo公式)。
70歳まで掛金を出し続ける人は、老齢給付金を請求していないことが条件です。また、通算加入者等期間に数えるのは、60歳に達した日の前日が属する月以前の期間だけなので(同法第33条第2項)、60歳以降に拠出した期間は、この期間には入りません。
受け取るときの税金は、iDeCoの受け取り方と退職金の重なりと、企業型DCの受け取り方と税金に任せます。
節税額はいくら変わるか:年収800万円の例
次の前提で、iDeCoの上限まで掛金を出した場合の節税額を、いまの上限と2026年12月1日からの上限で比べます。上限まで出すことを勧める計算ではなく、上限の引き上げが節税額にどう出るかを示すものです。
- 年収800万円の会社員、独身・扶養なし、東京都、40歳未満。企業型DCもDBもない(iDeCoの上限は、いま月23,000円、12月から月62,000円)
- 所得税の限界税率20%(復興特別所得税2.1%込みで計算)、住民税の所得割10%
| 項目 | いまの上限 | 12月1日から(未施行) |
|---|---|---|
| 月の掛金 | 23,000円 | 62,000円 |
| 年間の掛金 | 276,000円 | 744,000円 |
| 年間の節税額 | 約83,959円 | 約226,325円 |
※当サイト試算。節税額=年間の掛金×(所得税の限界税率×1.021+住民税10%)。社会保険料は東京都・40歳未満で概算し、他の所得控除は考慮していません。年収や掛金の額によっては、掛金で課税所得が下がり税率の区分が変わるため、実際の額と異なります。節税額は税が減る額であり、掛金は原則60歳まで引き出せないお金です。手数料・運用の損益は含めていません。
上限まで出した場合、年間の節税額の差は約142,366円になります。ただし、これは上限まで出す場合の差です。掛金を変えなければ、節税額も変わりません。自分の年収での節税額はiDeCoの節税額(年収別)で確かめられます。
会社員が、いつ何をすればよいか
2026年11月30日までは、現行の上限のままです。12月1日以降に、次の順で確かめます。
- 企業型DCに入っている人:会社の案内を確かめる。規約が政令を引用しているか、上限を6万2,000円に引き上げるか、事業主掛金を増やすかは会社が決めます。引き上げの有無で、マッチング拠出の上限も変わります。
- iDeCoに入っている人:運営管理機関で掛金の変更を確かめる。掛金額の変更は、拠出単位期間(12月分から翌年11月分)に1回、いつでもできます(iDeCo公式)。
- 増やした掛金は年末調整か確定申告で申告する。給与天引きでない場合の書き方はiDeCoの年末調整の書き方にあります。
- 転職する予定がある人:区分が変わると上限も変わります。iDeCoは転職したらどうなるを見てください。
掛金を変えられる回数は、年1回の規則とどう合わせるか
iDeCoの掛金の変更は、拠出単位期間(12月から翌年11月)につき1回です(施行令第29条第3号)。ただし、令和8年厚生労働省令第111号第6条により、2026年12月1日から2027年11月30日までの間は、掛金を「いまの上限を超える額」に初めて引き上げる変更が、この1回の制限の例外に加わります。たとえば、企業型DCもDBもない人が月2万円から月3万円に上げるのは対象で、月1万円から月2万円に上げるのは対象外です(いまの上限は月2万3,000円)。
企業型DCの加入者掛金も、2026年12月1日から2027年11月30日までは、事業主掛金との合計がいまの上限を超えるよう初めて引き上げる変更が、年1回の例外に加わります(同省令第5条)。ただし、厚生労働省の事務連絡は、この特例を会社が規約に定めて実施するとしています。変更できる月を規約で決めている会社は、臨時の変更月を設けるかどうかも会社次第です。変更の手続きは、会社の案内に従ってください。
掛金を増やすことは、そのお金を原則60歳まで引き出せなくすることでもあります。増やす額と時期は、ご自身の家計で判断してください。
よくある質問
Q. iDeCoの掛金の上限は、いつからいくらになりますか?
A. 2026年12月1日から、会社員(第2号加入者)のiDeCoは、企業年金等がある場合も含めて、企業型DCの事業主掛金や他制度の掛金相当額との合計で月6万2,000円までになる予定です(確定拠出年金法施行令第36条、令和7年政令第442号)。企業型DC・DBがない会社員は、現在の月2万3,000円から月6万2,000円になります。2026年10月3日現在は未施行で、現行の上限が使われています。
Q. iDeCoは70歳まで入れるようになるのですか?
A. 誰でも70歳までではありません。2026年12月1日から、国民年金の被保険者でなくなった60歳以上70歳未満の人のうち、iDeCoの加入者・運用指図者だった人、企業年金からiDeCoに資産を移す人などが、加入して掛金を出し続けられるようになります(確定拠出年金法第62条第1項第5号)。老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付金を受給していないこと、マッチング拠出をしていないことが条件です。会社員の60歳以上65歳未満は、2022年5月から加入できています。
Q. 企業型DCに入っていても、iDeCoの上限は上がりますか?
A. 上がります。施行令第36条は、企業型DCの加入者のiDeCoの上限を、月6万2,000円から事業主掛金を引いた額とします(現行は月2万円。事業主掛金が月3万5,000円を超えるときは超えた額を引く)。たとえば事業主掛金が月2万円なら、月4万2,000円です。ただし、マッチング拠出(企業型DCの加入者掛金)をしている間は、iDeCoに加入できません。
Q. 12月になると、設定している掛金は自動的に増えますか?
A. 上限が上がるだけで、掛金の額は加入者が決めるものです。iDeCo公式は、掛金額の変更は拠出限度額の範囲内で、拠出単位期間(12月分から翌年11月分)に1回できるとしています。掛金を増やすときは、運営管理機関への変更の手続きが必要です。企業型DCの加入者掛金は、会社の規約が定める方法で変更します。
Q. 受け取りを始められる年齢は変わりますか?
A. 変わりません。2026年12月1日施行版の確定拠出年金法も、第33条(老齢給付金は通算加入者等期間に応じて60歳から請求できる)と第34条(請求しないまま75歳に達したときの支給)は現行と同じ条文です。iDeCoの受給開始は、2022年4月から60歳以降75歳までの間で選べます(iDeCo公式)。
参考・出典
- e-Gov法令検索 - 確定拠出年金法(改正履歴の2026年12月1日施行版。第33条・第34条・第62条・第69条・第70条・第71条・第73条)・確定拠出年金法施行令(第11条・第29条・第36条)(2026年10月3日確認)
- e-Gov法令検索 - 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和7年法律第74号)(附則第33条。2026年10月3日確認)
- 厚生労働省 - 2025年の制度改正(施行スケジュール、令和7年政令第441号・第442号、令和8年厚生労働省令第111号、事務連絡 令和8年7月13日。2026年10月3日確認)
- 厚生労働省 - iDeCoの加入可能年齢の引き上げ・iDeCo拠出限度額の引き上げ(2026年10月3日確認)
- iDeCo公式サイト - 制度改正について・各種変更届について(国民年金基金連合会。2026年10月3日確認)
※2026年12月1日からの内容は、2026年10月3日現在、未施行です。施行日や取り扱いは変わることがあります。掛金の拠出や運用商品の選択を勧めるものではなく、投資の勧誘でもありません。具体的な取り扱いは、勤務先の人事・総務、企業型DCの運営管理機関、iDeCoの運営管理機関、税理士等にご確認ください。