公務員のiDeCoの掛金の上限は月2万円?2026年12月からの上限、共済組合員の手続き、年末調整、退職手当との関係

共済組合員として勤めている公務員のiDeCoの掛金の上限は、2026年10月3日現在は月2万円です。2026年12月1日(未施行)からは、月6万2,000円から共済掛金相当額を引いた額になる予定で、共済掛金相当額が現在の公表額(月8,000円)のままなら月5万4,000円です。掛金の納め方は、所属を通す「事業主払込」か自分の口座の「個人払込」かを選びます。毎月同じ額でしか出せない点も、公務員の注意点です。上限の新旧、申込の書類、年末調整の扱いを、法令とiDeCo公式の原文で整理します。

公務員のiDeCoの上限は、いまいくらで12月からいくらか

iDeCoの上限は、加入区分で決まります。国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合の組合員は、厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)として、確定拠出年金法施行令第36条第5号の区分に入ります。上限の計算に、共済の「共済掛金相当額」が入るのが、企業年金のない会社員との違いです。

公務員の区分いまの上限(2026年11月まで)2026年12月1日から(未施行)
国家公務員・地方公務員(共済組合の組合員)iDeCoは月2万円(共済掛金相当額との合計が月5万5,000円の範囲内)iDeCoは月6万2,000円から共済掛金相当額を引いた額。公表額のままなら月5万4,000円
60歳以上65歳未満で、共済組合員のまま働く人2022年5月から加入できる。上限は同じ同じ

※出典:確定拠出年金法施行令第36条第5号(現行版と2026年12月1日施行版。e-Gov法令検索)、令和7年政令第442号、厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」「iDeCo拠出限度額の引き上げ」、iDeCo公式「制度改正について」(2026年10月3日確認)。現行は、共済掛金相当額が月3万5,000円を上回るときだけ、上回った分を月2万円から引きます。厚生労働省のページは2026年12月1日の項目を「施行予定」と表示しています。

共済掛金相当額とは、企業型DCの事業主掛金に相当する額として、厚生労働大臣が定める額です(算定省令第10条)。厚生労働省は、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合とも月8,000円と示しています。国家公務員と地方公務員で上限は変わりません。iDeCo公式は、公務員の年金払い退職給付(共済)を、企業年金等の「DB等」に数えています。

月5万4,000円(6万2,000円−8,000円)は、共済掛金相当額が月8,000円のままだった場合の計算です。2026年12月以後の額は、厚生労働省のページ(2026年10月3日確認)にはまだ載っておらず、額が変われば上限も変わります。公務員の上限は2024年12月に月1万2,000円から月2万円に上がっています(iDeCo公式)。企業型DCの上限や加入年齢を含む改正の全体はiDeCo・企業型DCの改正はいつからに任せます。

申し込むとき、事業主の証明書は誰が書くのか

iDeCoの申込や変更は、自分で選んだ運営管理機関(金融機関)に届書を出して行います(iDeCo公式)。公務員は、掛金の納め方を「個人払込」か「事業主払込」のどちらかから選びます。事業主の証明書が必要になるのは、事業主払込を希望するときです。個人払込なら、掛金の納付に係る事業主の事務は必要ありません。

やりたいこと届書(様式名)出す先
加入する個人型年金加入申出書(K-001)。個人払込なら、口座を届ける預金口座振替依頼書兼自動払込利用申込書もあわせて運営管理機関
事業主払込を希望する(加入時・個人払込からの変更時・所属が変わったとき)事業主払込(登録・納付方法変更等)に関する証明書(共済組合員用)(K-109B)。事業主欄は事業主が記入運営管理機関
掛金額や、共済など加入状況を変える加入者登録情報変更届(第2号被保険者用)(K-032)運営管理機関
掛金の拠出をやめる加入者資格喪失届(K-015)運営管理機関

※出典:iDeCo公式「規約・届書様式」「加入手続きについて」「各種変更届について」(国民年金基金連合会。2026年10月3日確認)。掲載の届書ファイルが古い場合があるため、運営管理機関の窓口で最新の様式を確かめてください。

K-109Bの事業主欄は、所属の事業主が書く

K-109Bは、申出者(本人)が書く欄と、申出者を使用する厚生年金適用事業所の事業主が書く欄に分かれています。事業主欄には、事業所の所在地・名称、事業主名称(代表者の肩書・氏名)、担当者の名前と連絡先、登録事業所番号を記入します。証明日から3か月以内が有効で、事業主欄を本人が書いたり直したりすると、登録が取り消されることがあります。

庁内のどの部署が受け付けるかは、様式にもiDeCo公式の案内にも書かれていません。給与や共済の事務を担当している係に、所属が事業主払込に対応しているかを尋ねるのが近道です。共済組合員を擁する事業所が事業主払込を行うには、初めての前に事業所登録(事前登録)が必要で、これは事業所側の手続きです(iDeCo公式)。確定拠出年金法第70条第3項は、第2号加入者が事業主を介して納めることを、事業主が正当な理由なく拒否してはならないとしています。対応の体制が整っていない場合は、様式上、事業主が「個人払込とする」を選べます。

公務員だけの取り扱い

  • 毎月同じ額だけ。月ごとに額を変える「月別指定(年単位)拠出」は、公務員は選べません。
  • 振込による事業主払込がある。共済事業所は口座振替のための口座を持てないことがあり、その場合は国民年金基金連合会が指定する口座へ振り込みます。
  • 調整月納付。振込を選んでいる共済組合員が、人事異動などやむを得ない理由で納付できなかったとき、事業主が「調整月納付に係る届書」を出せば、同じ年内の指定月に納められます。

年末調整では、自分で書くのか

iDeCoの掛金は、小規模企業共済等掛金控除として支払った額の全額が所得から引かれます(国税庁 No.1135)。年末調整で自分で書くかどうかは、払込の方法で決まります。

払込の方法年末調整で証明書
事業主払込事業主が毎月の源泉徴収で把握している掛金で行う。自分で書く必要はない払込証明書は発行されない
個人払込保険料控除申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の欄に自分で書く毎年10月ごろ届く小規模企業共済等掛金払込証明書を添付または提示

※出典:iDeCo公式「よくあるご質問」「事業主の方へ」、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」2-3、国税庁 No.1135(2026年10月3日確認)。国税庁は、毎月の給与から差し引かれる掛金は証明書類が不要、本人が直接支払った掛金は証明書類を保険料控除申告書に添付または提示するとしています。

欄の書き方、証明書が届かないとき、年末調整に間に合わなかったときの確定申告はiDeCoの年末調整の書き方に任せます。

退職手当と受け取りが近いとき

iDeCoを一時金で受け取ると、退職所得として課税されます(国税庁 No.1420)。公務員が退職手当を受け取る時期と近いと、退職所得控除の使い方が重なることがあります。受け取る年の順序で結果が変わる仕組みは、iDeCoの受け取り方と退職金の重なりに例つきでまとめています。ここでは重ねません。

節税額はいくら変わるか:年収800万円の例

独身・扶養なし・東京都在住・40歳未満で、年収800万円の公務員が、上限いっぱいを1年間出した場合の年間の節税額です(当サイト試算)。

  • 限界税率は所得税20%。節税額=年間の掛金×(所得税の限界税率×1.021+住民税10%)。
  • 社会保険料は会社員の概算式(東京都・40歳未満)で、公務員の共済掛金とは異なります。他の所得控除は考えていません。
  • 共済掛金相当額は月8,000円のままとしています。2026年12月以後は未施行で、額も変わりうる前提です。
掛金年額年間の節税額
月2万円(いまの上限)240,000円約73,008円
月5万4,000円(12月以後の計算上の上限)648,000円約197,122円

※当サイト試算。年収別の節税額はiDeCoの節税額(年収別)で確かめられます。上限まで出すことを勧めるものではなく、算術の例です。掛金を出した年の税が減る一方、受け取る時に退職所得または公的年金等の雑所得として課税されます。

公務員は、何を数えてiDeCoを決めるのか

iDeCoに入るかどうか、いくら出すかは、公務員かどうかでは決まりません。法令とiDeCo公式の原文から、公務員に固有の違いと、誰にでも共通する点を分けて数えます。

  • 公務員に固有:上限の計算に共済掛金相当額が入る。毎月同じ額だけ。事業主払込を選ぶなら、所属が対応しているかの確認が要る。
  • 共通:掛金は全額が所得控除になるが、効果の大きさは課税所得で決まる(上の試算)。
  • 共通:原則として、60歳になるまで引き出せない。途中でやめても脱退一時金の要件は限られる(iDeCoは解約できる)。
  • 共通:受け取る時に税がかかる。一時金か年金かで区分が変わる(iDeCoの受け取り方)。

iDeCoの運用は、運営管理機関が提示する商品の中から加入者自身が選び、運用の損失の補てんはありません(iDeCo公式)。掛金の拠出や運用商品の選択を勧めるものではありません。

よくある質問

Q. 公務員のiDeCoの掛金の上限はいくらですか?

A. 2026年10月3日現在は月2万円です。公務員(国家公務員共済組合・地方公務員等共済組合の組合員)は、共済掛金相当額と合わせて月5万5,000円の範囲内で、iDeCoの上限が月2万円と定められています(確定拠出年金法施行令第36条第5号、厚生労働省)。共済掛金相当額は国家公務員共済組合・地方公務員共済組合とも月8,000円なので、実際の上限は月2万円です。2026年12月1日からは、月6万2,000円から共済掛金相当額を引いた額になる予定で、共済掛金相当額が月8,000円のままなら月5万4,000円です(未施行)。

Q. 国家公務員と地方公務員で、iDeCoの上限は違いますか?

A. 厚生労働省が示す共済掛金相当額は、国家公務員共済組合も地方公務員共済組合も月8,000円で、上限は同じです。確定拠出年金法施行令第36条第5号は、第二号厚生年金被保険者(国家公務員共済)と第三号厚生年金被保険者(地方公務員等共済)を同じ号にまとめています。

Q. 公務員は、iDeCoの掛金をまとめて年に1回出すことはできますか?

A. できません。iDeCo公式は、月ごとに掛金が違う「月別指定(年単位)拠出」は、企業年金等に加入している人と公務員は選べないとしています。公務員は毎月同じ額を出す形です。届書の一覧でも、加入者月別掛金額登録・変更届(K-030)は公務員を含めて選べないと書かれています。

Q. 事業主払込と個人払込は、公務員でもどちらかを選べますか?

A. 第2号加入者は、どちらかを選んで掛金を納めます(iDeCo公式)。事業主払込は所属の事業主を通して納める方法で、事業主の事務が必要になり、希望する場合は共済組合員用の証明書(K-109B)の事業主欄を事業主が記入します。個人払込は自分の口座から納め、事業主の事務は必要ありません。確定拠出年金法第70条は、第2号加入者が事業主を介して納めることを事業主が正当な理由なく拒否してはならないと定めています。所属が事業主払込を行う体制が整っていない場合は、様式上、事業主が「個人払込とする」を選べます。

Q. 年末調整で、iDeCoの掛金を自分で書く必要はありますか?

A. 払込の方法で違います。事業主払込を選んでいれば、事業主が毎月の源泉徴収で把握している掛金で年末調整を行い、払込証明書は発行されません(iDeCo公式)。個人払込なら、毎年10月ごろ国民年金基金連合会から届く小規模企業共済等掛金払込証明書を添えて、給与所得者の保険料控除申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に自分で書きます(国税庁)。書き方は、別の記事にまとめています。

Q. 2026年12月になると、掛金は自動で増えますか?

A. 増えません。上限が上がるだけで、掛金の額は加入者が決めます。掛金額の変更は、拠出限度額の範囲内で、拠出単位期間(12月分から翌年11月分)に1回できます(iDeCo公式)。変更は運営管理機関への届出(加入者登録情報変更届(第2号被保険者用)K-032)で行います。

Q. 60歳を過ぎて、共済組合員のまま働いていてもiDeCoに入れますか?

A. 入れます。iDeCo公式の制度改正の案内によると、2022年5月から、会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の人は加入できます。ただし、公的年金(繰上げ請求を含む)の受給権者になったときや、iDeCoの老齢給付金を請求するときは、加入者資格喪失届(K-015)の対象です。

参考・出典

※2026年12月1日からの内容は、2026年10月3日現在、未施行です。施行日や共済掛金相当額は変わることがあります。掛金の拠出や運用商品の選択を勧めるものではなく、投資の勧誘でもありません。具体的な取り扱いは、所属の給与・共済の担当、運営管理機関、税理士等にご確認ください。

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