iDeCoは解約できる?掛金を止める・下げる手続き、脱退一時金の要件、60歳以降に続けられる年齢

iDeCoは、積み立てたお金を払い戻してもらう形の解約はできず、原則として60歳以降の受給年齢になるまで引き出せません(iDeCo公式)。やめられるのは「これからの掛金」です。掛金を止めるときは加入者資格喪失届(K-015)を運営管理機関に出して運用指図者になり、減らすときは掛金額の変更届を出します。脱退一時金は、国民年金の保険料免除者などiDeCoに加入できない人が、60歳未満・通算拠出期間5年以下または資産25万円以下など7つの要件をすべて満たしたときの例外で、掛金を出せる会社員は対象外です。

iDeCoをやめたいとき、できること・できないこと

公式のよくあるご質問は「解約はできますか」に、老後の資産形成を目的とした年金制度であることを理由に税制優遇があり、一般の貯蓄とは異なるため、原則60歳以降の受給年齢に到達するまで資産を引き出せない、と答えています。場面ごとに整理すると次のとおりです。

やりたいことできるか手続き
掛金だけ止めたい(積み立てた資産は残す)できる。運用指図者になり、運用だけ続ける加入者資格喪失届 K-015(運営管理機関)
掛金を減らしたいできる。月5,000円以上・1,000円単位で、変更は1年に1回掛金額の変更届(会社員は K-032)
積み立てた資産を全部引き出して解約したい(60歳未満)原則できない。例外が脱退一時金―(次の行)
脱退一時金を受け取りたい7つの要件をすべて満たす人だけK-015 で運用指図者になったあと、運営管理機関を通じて請求
60歳になったので受け取りたいできる。受給開始年齢は60歳時点の通算加入者等期間で決まる老齢給付金の請求(記録関連運営管理機関)
60歳を過ぎても掛金を続けたい会社員・公務員(第2号)は65歳未満まで続けられる第1・3号の人は任意加入の手続きが必要
手数料が気になり、金融機関を変えたいできる。資産の移換に2〜3か月かかる変更先から K-004 を取り寄せる

※出典:iDeCo公式「よくあるご質問」「各種変更届について」「制度改正について」、厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」(いずれも2026年10月3日確認)。運営管理機関の変更では、運営管理機関により手数料の負担があると公式に書かれています。

iDeCoに入ったまま転職・退職するときの届書はiDeCoは転職したらどうなる、60歳以降の受け取り方はiDeCoの受け取り方にあります。

掛金だけ止める:運用指図者になる手続き

iDeCo公式は「掛金の拠出を止められますか」に、加入者資格を喪失する手続きを取り、運用指図者になることで止められると答えています。加入手続きをした運営管理機関から加入者資格喪失届(K-015)を取り寄せ、必要事項を書いて返送します。確定拠出年金法も、個人型年金加入者は申し出て運用指図者になることができ(第64条第2項)、運用指図者になった時点で加入者の資格を喪失する(第62条第4項第3号)、と定めています。

  • 積み立てた資産は引き出せません:運用指図者は、掛金を出さずに、すでに積み立てた資産の運用だけを行う人です(公式)。運用は自己責任で、損失が出ても補てんはありません。
  • 引き落としは自動で止まりません:国民年金基金連合会は届出がないと資格喪失を把握できず、掛金の口座振替を続けます。お金の出入りを止めたい月があるなら、その前に届出を済ませます。
  • 運用指図者の期間も、受給年齢を決める期間に数えられます:老齢給付金の通算加入者等期間には、加入者だった期間と運用指図者だった期間が含まれます(確定拠出年金法第33条第2項)。
  • 再開には新しい手続きが必要です:運用指図者から掛金を出す加入者に戻るには、個人型年金加入申出書(K-001)の提出など、新たに加入者となる手続きが要ります(公式)。
  • 引き落としできなかった月の掛金は追納できません(公式)。給与天引き(事業主払込)の人は、社内の手続きを勤務先の担当部署に確認します。

運用指図者でも、運営管理機関に口座管理などの手数料がかかる場合があります。公式は金額を運営管理機関ごとに異なるとして、運営管理機関への問い合わせを案内しています。

掛金を下げる:届書と変更できる回数

公式は、掛金額の変更は拠出限度額の範囲内で、1年(12月分の掛金から翌年11月分の掛金まで)に1回と案内しています。掛金は月5,000円以上1,000円単位なので、5,000円が下限です。それでも負担が重いときは、掛金を止めて運用指図者になる方法があります。届書は加入区分ごとに異なります。

加入区分届書の名前様式
会社員・公務員(第2号被保険者)加入者登録情報変更届(第2号被保険者用)K-032
自営業者など(第1号被保険者)加入者掛金額変更届(第1号被保険者用)付加保険料等に関する届K-009A
専業主婦(夫)など(第3号被保険者)加入者掛金額変更届(第3号被保険者用)K-009C
国民年金の任意加入被保険者加入者掛金額変更届(任意加入被保険者用)K-009D

※出典:iDeCo公式「各種変更届について」(毎月定額で拠出している場合)。月別指定(年単位)拠出の人は変更のルールが別で、公式は運営管理機関に問い合わせるよう案内しています。企業型DCの事業主掛金の増減に伴って掛金が変わる場合は、変更の回数に数えないとされています。

  • 事業主払込(給与天引き)の事業所では、変更した届書の写しを給与担当の部署に出すルールを設けている場合があります(公式の事業主向け案内)。
  • 掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)になるので、掛金を下げると控除も同じだけ減ります(厚生労働省)。年収別の目安はiDeCoの節税額(年収別)で確認できます。

脱退一時金を受け取れる人:7つの要件

脱退一時金は、確定拠出年金法附則第3条に基づく例外です。次の7つの要件をすべて満たすと請求できます。

要件内容根拠
1 年齢60歳未満であること附則3条1項1号
2 企業型DC企業型年金加入者でないこと同2号
3 iDeCoに加入できない者第62条第1項各号の人(iDeCoに加入できる人)でないこと同3号
4 海外居住日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと同4号
5 障害給付金障害給付金の受給権者でないこと同5号
6 期間または資産額通算拠出期間が1か月以上5年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること(どちらか一方でよい)同6号・施行令60条
7 期限最後に企業型・個人型の加入者の資格を喪失した日から2年を経過していないこと同7号

※出典:e-Gov法令検索「確定拠出年金法」附則第3条、「確定拠出年金法施行令」第60条、iDeCo公式「よくあるご質問」、厚生労働省「iDeCo(個人型確定拠出年金)」(2026年10月3日確認)。

  • 要件3が分かれ目です:厚生労働省は、iDeCoに加入できない者を、国民年金の保険料免除(申請免除・生活扶助による免除)を受けている第1号被保険者、日本国籍を有しない海外居住者、確定給付企業年金などの他制度の加入者で5.5万円から他制度掛金相当額を引いた額がiDeCoの掛金の最低額を下回る人、としています。掛金を出せる会社員は、この要件を満たしません。
  • 手続き:公式は、(1)加入者資格喪失届(K-015)を出して加入者から運用指図者に切り替え、(2)その手続きの完了後に脱退一時金を請求する、の順としています。請求(裁定)は個人型記録関連運営管理機関が行います。
  • 受け取ると、期間が消えます:脱退一時金を受けたときは、受けた月の前月までの加入者期間・運用指図者期間は、通算加入者等期間に算入されません(附則3条5項)。のちに老齢給付金を受けるときの年齢に影響することがあります。
  • 保険料の免除は国民年金保険料の免除・納付猶予にあります。免除を申請する前に、iDeCoの扱いを運営管理機関に確認してください。

脱退一時金の税の取り扱いは、今回確認した公式の資料に記載がないため、このページでは扱いません。

60歳以降も続けるとき:加入できる年齢の上限

iDeCo公式の制度改正の案内では、2022年5月から、会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の人が加入できるようになりました。上限は原則として65歳未満です。公式はこの欄に、公的年金の加入期間が120月に満たないなどで国民年金第2号被保険者であれば65歳以上も加入できる、と注記しています。

60歳以降の立場掛金を続けられるか手続き・出典
会社員・公務員(第2号)で60歳以上65歳未満続けられる。60歳以降も引き続き加入者止めたいときは運用指図者に(K-015)
国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満続けられる第1・3号から任意加入になるときは運営管理機関に手続き
公的老齢年金(繰上げ請求を含む)の受給権者になった加入者ではなくなるK-015(公式の11の場合の1つ)
iDeCoの老齢給付金を請求する加入者ではなくなるK-015(同上)

※出典:iDeCo公式「制度改正について」「各種変更届について」、確定拠出年金法第62条(第2項・第4項)。

  • 受け取れる年齢:原則60歳です。60歳時点の通算加入者等期間が10年に満たないと、8年以上10年未満で61歳、6年以上8年未満で62歳、4年以上6年未満で63歳、2年以上4年未満で64歳、1か月以上2年未満で65歳に延びます(厚生労働省)。
  • 60歳以降に初めて加入する場合は、加入した日から5年を経過した日以降に受け取れます(厚生労働省)。
  • 受け取りを始める時期の上限は、2022年4月から75歳です(公式)。受け取り方と税金はiDeCoの受け取り方にまとめています。企業型DCの資産を持つ人は企業型DCの受け取り方と税金もあわせてご覧ください。

下げる・止める・脱退の違い

家計の事情で積み立てを見直すときの、3つの方法の違いです。脱退一時金は、前の章の要件を満たす人だけが選べます。

方法掛金と積み立て済みの資産受給年齢を決める期間
掛金を下げる掛金は月5,000円以上に減る。資産は残り、運用も続く加入者の期間として続く
掛金を止める(運用指図者)掛金はなくなる。資産は残り、運用だけ続く運用指図者の期間も算入される
脱退一時金(要件を満たす人のみ)資産が支給され、iDeCoの資産はなくなる受けた月の前月までの期間は算入されない

※出典:iDeCo公式「よくあるご質問」「各種変更届について」、確定拠出年金法第33条第2項・附則第3条第5項。掛金の所得控除は、加入者が拠出した掛金が全額対象です(厚生労働省)。

どれを選ぶかは、毎月の収支や他の積み立て(NISAなど)との兼ね合いで変わります。iDeCoとNISAの比較も判断材料になります。

よくある質問

Q. iDeCoを途中で解約して、積み立てたお金を全額払い戻してもらえますか?

A. できません。iDeCo公式は、加入後は原則として60歳以降の受給年齢に到達するまで資産を引き出せないとしています。例外は脱退一時金で、国民年金の保険料免除者になるなど、一定の要件をすべて満たした場合に限られます。

Q. 掛金の引き落としを止めたいときは、解約の手続きをしますか?

A. 解約ではなく、加入者の資格を喪失する手続きをして運用指図者になります。iDeCo公式は、加入手続きをした運営管理機関から加入者資格喪失届(K-015)を取り寄せて返送するとしています。運用指図者は、積み立てた資産の運用だけを行う人です。

Q. 今月の掛金だけ払わないことはできますか?

A. iDeCo公式は、引き落としできなかった月の掛金は追納できないとしています。また事業主向けの回答では、掛金の拠出を一時的にやめたい場合も、払い戻しを受けることはできず、加入者資格喪失の手続きをして運用の指図のみを行う形になるとされています。再び掛金を出すときは、個人型年金加入申出書(K-001)の提出など、新たに加入者となる手続きが必要です。

Q. 退職したら、掛金の引き落としは自動で止まりますか?

A. 自動では止まりません。国民年金基金連合会は、加入者から資格喪失などの届出がないと退職したことを把握できず、引き続き掛金の口座振替の手続きを行うとしています(事業主向けのよくあるご質問)。退職して加入区分が変わるときの届書は、iDeCoは転職したらどうなるにあります。

Q. 会社員でも脱退一時金を受け取れますか?

A. 確定拠出年金法附則第3条第1項第3号は、第62条第1項各号に掲げる者(iDeCoに加入できる者)に該当しないことを要件にしています。掛金を出せる状態の会社員は、この要件を満たしません。厚生労働省は、iDeCoに加入できない者の例として、国民年金の保険料免除者、日本国籍を有しない海外居住者、確定給付企業年金などの他制度の加入者で5.5万円から他制度掛金相当額を引いた額が掛金の最低額(5千円)を下回る人を挙げています。

Q. 60歳を過ぎても掛金を払い続けられますか?

A. iDeCo公式の制度改正の案内によると、2022年5月から、会社員・公務員など(国民年金第2号被保険者)で60歳以上65歳未満の人は加入できます。国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の人も同様です。ただし、公的年金(繰上げ請求を含む)の受給権者になったときや、iDeCoの老齢給付金を請求するときは、加入者資格喪失届(K-015)の対象です。

参考・出典

※届書の種類や必要書類は、加入している運営管理機関や勤務先の制度によって異なる場合があります。具体的な取り扱いは、運営管理機関、勤務先の担当部署、年金事務所等にご確認ください。

運

会社員の計算帳 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。労働・税金・社会保険について、厚生労働省・国税庁・金融庁などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。