国民年金保険料の免除・納付猶予制度とは?所得基準・申請方法・将来の年金額への影響
退職や転職の合間で厚生年金から国民年金に切り替わったものの、収入が少ない、または無い状態で毎月の保険料をどう払えばよいか不安に感じていませんか。国民年金には、所得が一定基準以下の場合に保険料の納付を免除・猶予する制度があります。この記事では、令和8年度の保険料額・5つの免除区分ごとの所得基準・申請方法・将来の年金額への影響・追納の仕組みまで、日本年金機構の公表資料を基に解説します。
国民年金保険料の免除・納付猶予制度とは(5つの区分と保険料額)
収入が不安定なときほど、毎月の保険料は重く感じられるものです。まずは制度の全体像を確認しておきましょう。令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。所得が少なく納付が困難な場合、日本年金機構では所得に応じて次の5区分の免除・納付猶予制度を設けています。
全額免除と納付猶予はどちらも保険料0円だが別の制度
納付猶予は20歳以上50歳未満の方が対象で、全額免除とは将来の年金額への反映のされ方が異なります(詳しくは後述)。50歳以上の方で保険料の納付が困難な場合は、全額免除〜4分の1免除のいずれかを申請することになります。
免除を受けられる所得基準はいくらか
自分の前年所得がどの区分にあたるか、以下の計算式で目安を確認してみましょう。免除・納付猶予は前年(1〜6月に申請する場合は前々年)の所得が、区分ごとに定められた基準額以下であることが条件です。
全額免除・納付猶予:(扶養親族等の数+1)× 35万円+32万円
4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
※地方税法上の障害者・寡婦・ひとり親に該当する場合は基準額が変わります。詳細は年金事務所に確認してください
失業した場合は前年所得を問わず申請できる
失業・倒産・事業の廃止等の理由で退職した場合は、前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられる「失業等による特例免除」があります。申請には雇用保険被保険者離職票等の証明書類が必要です。退職・転職の合間で収入が大きく下がった方は、前年の所得が基準額を超えていても、この特例免除の対象になる場合があります。
申請はどこに、いつまで出せるか
手続き自体は複雑ではありません。免除・納付猶予の申請は、住所地の市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または年金事務所に提出します。電子申請にも対応しています。
さかのぼって申請できる期間
保険料の納付期限から2年1カ月前までさかのぼって申請できます。収入が下がっていた期間に未納のままにしていた月がある場合も、この期間内であれば免除・納付猶予に切り替えられる可能性があります。
特例免除を申請する場合は、離職の事実を証明する雇用保険被保険者離職票などの書類をあわせて提出してください。
免除・納付猶予は将来の年金額にどう影響するか
保険料の納付を止めることで将来受け取れる年金額がどう変わるか、気になる方も多いでしょう。まず押さえておきたいのは、未納との違いです。未納は老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上必要)にも年金額にも算入されません。一方、免除・納付猶予は受給資格期間には算入されます。
年金額への反映割合(平成21年3月分以降)は区分によって異なります。
納付猶予は保険料を払っていない期間として扱われ年金額には反映されませんが、受給資格期間には算入されるという点が未納と異なります。参考までに、1年間で受け取れる年金額の目安(昭和31年4月2日以後生まれの場合)は次のとおりです。
追納で老齢基礎年金額を満額に近づける
免除・納付猶予の承認を受けた期間の保険料は、10年以内であれば後から納める「追納」ができます。追納すると、その期間は納付済みとして扱われ、老齢基礎年金額を満額に近づけられます。収入が回復してからで構わないので、可能であれば追納を検討する価値があります。
未納のまま放置するとどうなるか
収入が無い期間ほど「後で払えばいい」と保険料を未納のまま放置してしまいがちですが、これはリスクがあります。未納のままだと、老齢基礎年金の受給資格期間に算入されないだけでなく、障害や死亡時に障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れない場合があります(初診日または死亡日の前々月までの1年間に未納があると支給されない等の要件があります)。
迷ったらまず免除・猶予の申請を
収入が少ない・無い状態が続く場合は、保険料を未納のまま放置せず、まず免除・納付猶予の申請を先にしておくことが、将来の年金を守るうえでの安全策になります。