整骨院・接骨院・マッサージは医療費控除の対象?保険外の自費、回数券、レシートがないときの扱い
整骨院・接骨院・マッサージ・はり・きゅうの施術費は、治療のための施術なら医療費控除の対象で、疲れを癒す、体調を整えるといった施術は対象外です(国税庁 No.1122)。健康保険を使わない自費の施術も、条件に保険の有無は書かれていません。回数券の年の扱い、領収書の保管と明細書の書き方、戻る額の目安(年間の医療費を仮置きした試算)を、国税庁の資料でまとめました。
対象になる施術・ならない施術(保険外の自費も)
国税庁 No.1122 は、医療費控除の対象になる医療費の一つに、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術の対価を挙げています。ただし書きで、疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれない、とされています。所得税法施行令207条4号も、これらの施術者による施術を医療費として定めています。
| 施術の場合 | 医療費控除 | 国税庁の説明 |
|---|---|---|
| 治療のための施術(整骨院・接骨院、マッサージ、はり、きゅう) | 原則として対象 | 質疑応答事例「マッサージ代やはり代」:治療のためのマッサージ代やはり代は原則として対象。No.1122:施術者はあん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師 |
| 疲れを癒す・体調を整える・健康維持のための施術 | 対象外 | No.1122:疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれない。質疑応答事例:健康維持のためのものは対象とならない |
| 保険外の自費の施術 | 治療のための施術なら、保険の有無は条件に書かれていない | 令207条4号・No.1122の条件は、施術者の種類と、治療のための施術であること。健康保険を使ったかどうかの定めはない |
出典:国税庁 No.1122(令和8年4月1日現在法令等)、国税庁 質疑応答事例「マッサージ代やはり代」(令和7年8月1日現在)、所得税法施行令第207条(e-Gov法令検索)、2026年10月2日確認。
分かれ目は、治療のための施術かどうかです。同じ店で受けた施術でも、治療のためのものと、疲れを癒す・体調を整えるためのものでは扱いが違います。条文の施術者に挙がっていない場合の扱いは、確認した国税庁の資料には書かれていないので、ここでは判断しません。
対象になる施術については、施術を受けるために直接必要な通院費も医療費に含められます(No.1122)。電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は含まれません。自家用車のガソリン代や駐車場の料金も含まれません。
回数券は支払った年か、施術を受けた年か
医療費控除の対象になるのは、その年に実際に支払った医療費です。所得税法73条は「その年中に支払つた」医療費と定め、国税庁 No.1120 は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であることを要件にしています。未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象になります。
国税庁の質疑応答事例「未払の医療費」には、治療が昨年中に終わっていても、医療費控除の対象になるのは昨年中に実際に支払った金額に限られ、今年になって支払った分は今年分になる、という回答があります。国税庁の整理は、施術を受けた日ではなく、お金を実際に支払った年です。
回数券のように、先にまとめて支払い、あとで何回かに分けて施術を受ける場合を取り上げた国税庁の資料は、今回確認した範囲には見つかりませんでした。購入した年と施術を受けた年が分かれる回数券の扱いは、ここでは判断しません。
領収書の保管と明細書の書き方(レシートがないとき)
国税庁 No.1120 では、医療費控除は、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を提出して受けます。医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成して、確定申告書に添付します。領収書そのものの添付は不要ですが、明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、領収書の提示または提出を求める場合があるとされています。
| 明細書の欄 | 整骨院などの施術費の書き方 | 出どころ |
|---|---|---|
| 医療を受けた方の氏名 | 施術を受けた方の氏名 | 記載要領 |
| 病院・薬局などの支払先の名称 | 施術費を支払った先の名称。領収書1枚ごとではなく、医療を受けた方・支払先ごとにまとめて書ける | 記載要領 |
| 医療費の区分 | 医療費の内容として該当するものを全てチェック。施術の対価をどの区分に入れるかは、記載要領に書かれていない | 記載要領 |
| 支払った医療費の額 | 医療費控除の対象となる金額。通院費は、記入例のように別の行にできる | 記載要領 |
出典:国税庁「令和7年分 確定申告の手引き」の「医療費控除を受けられる方へ」の明細書の記載要領、2026年10月2日確認。令和8年分の様式・手引きは、国税庁が公表したものをご確認ください。記載要領の記入例は、病院の診療12,000円と、JR、○○バスの通院費1,560円(区分は「その他の医療費」)で、施術所の例は載っていません。
マイナポータル連携では取れない分があります。国税庁の案内では、保険診療分であっても、はり・きゅう等の施術費用や整骨院・接骨院の柔道整復療養費など、取得できない情報もあります。自動入力されなかった施術費は、領収書から明細書に自分で書く分です。
レシート(領収書)がないとき:国税庁 No.1120・No.1122 と手引きには、領収書を紛失したときの扱いは書かれていません。領収書は5年間、提示または提出を求められる場合がある書類です。紛失した場合の具体的な取扱いは、国税庁の資料からは判断できないので、税務署にご確認ください。
保険から支給された分は引きます。医療費控除は、支払った医療費の合計から、保険金などで補てんされる金額を引いて計算します(No.1120)。国税庁の手引きは、補てんされる金額の例に、健康保険法の規定により支給を受ける療養費を挙げています。
いくら戻るか(医療費を仮置きした試算)
施術費とほかの医療費を合わせた、その年の医療費の合計を30万円(仮置き)、保険金などの補てんはなしとしたときの、年収別の試算です。年末調整が済んでいて、源泉徴収された所得税が年間の所得税と一致している前提で、医療費控除の分だけ戻る額を、tools の医療費控除の計算ツールと同じ計算で出しています。医療費は計算のための仮置きで、実際の額とは異なります。
| 年収 | 還付される所得税 | 翌年度の住民税の減額 |
|---|---|---|
| 300万円 | 約10,200円 | 約20,000円 |
| 400万円 | 約10,200円 | 約20,000円 |
| 500万円 | 約10,200円 | 約20,000円 |
| 600万円 | 約20,400円 | 約20,000円 |
| 700万円 | 約39,800円 | 約20,000円 |
| 800万円 | 約40,800円 | 約20,000円 |
試算の前提は、東京都・40歳未満・扶養なし、社会保険料は標準的な金額で概算、その他の所得控除は考慮していません。この年収では足切りは10万円なので、どの行も医療費控除の額は200,000円です。実際の額は、他の控除や源泉徴収額により変わります。
年収500万円なら、還付される所得税は約10,200円で、確定申告の後に還付金として受け取ります。これとは別に、翌年度の住民税が約20,000円減ります。施術費だけでは10万円に届かなくても、家族の医療費や薬代などを合わせた1年分の合計で計算します。
年間の医療費の合計が増えるほど、控除額は増えます。年収500万円で、医療費を変えたときです。
| 年間の医療費(仮置き) | 医療費控除の額 | 戻る額 (所得税+住民税) |
|---|---|---|
| 10万円 | 0円 | 0円 |
| 20万円 | 100,000円 | 約15,100円 |
| 30万円 | 200,000円 | 約30,200円 |
| 50万円 | 400,000円 | 約60,400円 |
| 100万円 | 900,000円 | 約135,900円 |
医療費が10万円のときは足切りと同額で、医療費控除は0円になり、戻る額も0円です。年収500万円の試算です。年収や家族構成を変えて計算するときは、医療費控除はいくらから|年収別早見表をお使いください。
よくある質問
Q. 整骨院・接骨院の費用は、医療費控除の対象になりますか?
A. 国税庁 No.1122 は、柔道整復師による施術の対価を医療費控除の対象に挙げています。ただし、疲れを癒す、体調を整えるといった治療に直接関係のないものは含まれません。治療のための施術かどうかが分かれ目です。
Q. マッサージ代やはり代は、対象になりますか?
A. 国税庁の質疑応答事例「マッサージ代やはり代」は、治療のためのマッサージ代やはり代は原則として医療費控除の対象となり、健康維持のためのものは対象とならないと回答しています。関係法令は所得税法施行令207条です。
Q. 健康保険を使わない保険外の自費の施術は、対象になりませんか?
A. 所得税法施行令207条4号と No.1122 に書かれている条件は、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師などによる施術であることと、治療のためであることです。健康保険を使ったかどうかは、条件として書かれていません。
Q. 回数券で払った分は、支払った年と施術を受けた年のどちらの医療費になりますか?
A. 所得税法73条は「その年中に支払つた」医療費、国税庁 No.1120 は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費としており、未払いの医療費は現実に支払った年の医療費控除の対象になります。回数券のような前払いを取り上げた国税庁の資料は、今回確認した範囲には見つからなかったので、年をまたぐ回数券の扱いはここでは判断しません。
Q. 領収書(レシート)をなくしたときは、どうなりますか?
A. 国税庁 No.1120 は、領収書から医療費控除の明細書を作成して確定申告書に添付し、領収書は確定申告期限等から5年を経過する日までの間、提示または提出を求める場合があるとしています。領収書を紛失したときの扱いは、確認した国税庁の資料には書かれていないので、ここでは判断しません。具体的な取扱いは税務署にご確認ください。
Q. 整骨院の分も、マイナポータルで自動入力できますか?
A. 国税庁のマイナポータル連携の案内には、保険診療分であっても、はり・きゅう等の施術費用や整骨院・接骨院の柔道整復療養費など取得できない情報もある、と書かれています。取得できなかった分は、領収書から医療費控除の明細書に自分で書くことになります。
Q. 施術のために電車やバスで通った交通費は、含められますか?
A. 国税庁 No.1122 は、医師等による診療、治療、施術を受けるために直接必要な通院費を対象に挙げています。電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、タクシー代は含まれません。自家用車のガソリン代や駐車場の料金も含まれません。
Q. 健康保険から療養費が支給されたときは、どう計算しますか?
A. 医療費控除の額は、支払った医療費の合計から、保険金などで補てんされる金額を引いて計算します(No.1120)。国税庁の手引きは、補てんされる金額の例に、健康保険法の規定により支給を受ける療養費を挙げています。
参考・出典
- 国税庁 - No.1122 医療費控除の対象となる医療費(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - マッサージ代やはり代・未払の医療費(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索 - 所得税法施行令(第207条 医療費の範囲)(2026年10月2日確認)
- e-Gov法令検索 - 所得税法(第73条 医療費控除)(2026年10月2日確認)
- 国税庁「令和7年分 確定申告の手引き」医療費控除を受けられる方へ(明細書の記載要領)・医療費控除(第一表)(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - 医療費控除のマイナポータル連携について(2026年10月2日確認)
※試算は概算です。実際の還付額や住民税の減額は、他の所得控除や年収確定後の金額、お住まいの市区町村の計算により変わります。個々の施術が医療費控除の対象になるかや、具体的な申告は、税務署または税理士にご確認ください。