子供の医療費は医療費控除の対象?子ども医療費助成で払っていない分、付き添いの親の交通費、どちらが申告するか
国税庁によると、医療費控除は自分や生計を一にする親族のために自分が支払った医療費が対象なので、子供の医療費も、自分が窓口で払った分は対象です。一方、子ども医療費助成などで窓口で払っていない分は入らず、後日支給された助成金は医療費から差し引きます。子供の通院に付き添う親の交通費は対象、入院中の子供の世話で病院へ通う親の交通費は対象外です。この記事は、会社に勤めている方が、子供の医療費を確定申告で申告するときに、国税庁の原文で確かめられる範囲をまとめました。治療や医療機関の選び方は扱いません。
子ども医療費助成で払っていない分は入るのか
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が、10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えたときに受けられる所得控除です。控除額は、実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額を引き、さらに10万円を引いて計算します(No.1120)。子供の医療費が助成されるときは、国税庁の質疑応答事例が、窓口で払った分と助成金の関係を次のように説明しています。
| 場面 | 医療費控除の計算 | 国税庁の説明 |
|---|---|---|
| 病院の窓口で自己負担を払った | 払った額が医療費に入る | 生計を一にする親族のために自分が支払った医療費が対象 |
| 窓口の支払いが免除された | 払っていない分は入らない | 控除額の計算は「実際に支払った医療費の合計額」から始まる |
| 窓口で払い、後日助成金が支給された | 助成金の額を医療費から差し引く | 助成金は保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当する |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1120、質疑応答事例「地方公共団体が支給する少子化対策のための助成金等の所得税法上の取扱い」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。
この質疑応答事例は、高校3年生までの子の保険診療に係る自己負担額について、窓口の支払いを免除し、窓口で支払った場合は後日その額を助成金として支給する、という設定の自治体を例にしています。事例は、窓口で支払いを免除される場合の経済的利益は、いったん支払って助成金を受ける場合と実質において異なるものではないと説明し、非課税所得として扱うとしています。助成の対象年齢、自己負担の有無、窓口免除か後日の支給かは自治体ごとに異なります。この記事では数字では書きません。お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
助成を受けずに窓口で払った分は、上の表の1行目のとおり医療費に入ります。子供の医療費だけで10万円に届かないときは、自分と生計を一にする家族の医療費を合計して見ます(No.1120)。
お住まいの市区町村の助成の対象年齢・所得制限・一部自己負担は、市区町村別 子ども医療費助成の一覧で確かめられます(こども家庭庁の調査、令和7年4月1日現在)。
付き添いの親の交通費・付添料の扱い
子供の通院や入院では、親の交通費や付添いの費用がかかります。国税庁の資料では、次のように分かれています。
| 費用 | 医療費控除 | 国税庁の説明 |
|---|---|---|
| 子供の通院に付き添う親の交通費 | 対象 | 患者を一人で通院させることが危険な場合は、付添人の交通費も対象(通常必要なものに限る) |
| 入院している子供の世話のために、親が病院へ通う交通費 | 対象外 | 患者である子供自身が通院していない |
| 自家用車で通院するときのガソリン代・駐車場代 | 対象外 | 電車賃やバス賃のように人的役務の提供の対価ではない |
| 通院のタクシー代 | 原則対象外 | 電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除く |
| 家政婦などに頼んだ付添いの対価 | 対象 | 療養上の世話の対価。所定の料金以外の心付けなどは除く |
| 家族や親類に、付添料の名目で払ったお金 | 対象外 | 付添料の名目でも医療費にならない |
| 海外旅行中に子供がけがをして、現地の医師に払った治療代 | 対象 | 外貨で払った場合は、支払日の為替相場(TTM)で円に換算 |
出典:国税庁 No.1122、No.1122 質疑応答(Q4)、質疑応答事例「患者の世話のための家族の交通費」「自家用車で通院する場合のガソリン代等」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。
入院のための寝具や洗面具、入院中の食事代は、入院の食事代は医療費控除の対象?にまとめています。子供の歯の矯正は、歯科矯正・インプラントは医療費控除の対象?で扱っており、この記事では繰り返しません。
夫婦のどちらが申告するか
No.1120 の要件は、自己または生計を一にする親族のために医療費を支払ったことです。国税庁の質疑応答事例は、誰の医療費控除になるかを、次のように回答しています。
| 場合 | 誰の医療費控除か | 国税庁の説明 |
|---|---|---|
| 共働き夫婦の夫が、妻の医療費を負担した | 実際に支払った夫 | 夫婦が生計を一にしている場合。親族の所得金額の要件は付されていない |
| 姉の子供の医療費を支払った | 支払った人 | 姉の子供は3親等の血族。生計を一にするなどの要件を満たすとき |
| 同居していない母親の医療費を子供が負担した | 実際に支払った子供 | 生計を一にしている場合。必ずしも同一の家屋に起居していなくてもよい |
出典:国税庁 質疑応答事例「共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合」「姉の子供の医療費を支払った場合」「同居していない母親の医療費を子供が負担した場合」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。
いずれも、医療費を実際に支払った人が、その人の医療費控除を受ける、という説明です。子供が健康保険のどちらの扶養に入っているか、所得税の扶養控除をどちらが受けているかは、No.1120 の要件に書かれていません。夫婦のどちらかを自由に選べるという説明は、これらの資料に記載が見当たりません。誰が支払ったかは、実際の支払いに合わせて確かめてください。
いくら戻るか
自分が窓口で実際に支払った家族の医療費(子供の分を含む)を20万円(仮置き)として、助成金などの補てんはなしとしたときの、年収別の戻る額の目安です。医療費は計算のための仮置きで、実際の額とは異なります。
| 年収 | 医療費控除の額 | 戻る額の目安 |
|---|---|---|
| 300万円 | 100,000円 | 約15,105円 |
| 400万円 | 100,000円 | 約15,105円 |
| 500万円 | 100,000円 | 約15,105円 |
| 600万円 | 100,000円 | 約20,210円 |
| 700万円 | 100,000円 | 約30,420円 |
| 800万円 | 100,000円 | 約30,420円 |
tools の医療費控除計算ツールと同じ計算です。社会保険料は東京都・40歳未満の標準的な金額で概算し、その他の所得控除は考慮していません。足切りは、この年収では10万円です。実際の額は、源泉徴収額や他の控除により変わります。戻る額には、翌年の住民税の軽減分を含みます。
窓口で払ったあとに助成金が支給されたときは、その額を医療費から差し引きます。年収500万円で、窓口で支払った医療費(仮置き)が25万円のとき、後日支給される助成金によって次のように変わります。
| 後日支給される助成金(仮置き) | 医療費控除の額 | 戻る額の目安 |
|---|---|---|
| なし | 150,000円 | 約22,657円 |
| 5万円 | 100,000円 | 約15,105円 |
| 10万円 | 50,000円 | 約7,552円 |
| 15万円 | 0円 | 0円 |
助成金を差し引いた額が足切りの10万円以下になると、控除は0円です。差し引くのは、その助成の目的となった医療費の金額が限度です(No.1120)。
確認のしかた
窓口で払った額から助成金を引いたあとの家族の医療費が10万円を超えるかが、申告の分かれ目です。年収と医療費を入れて戻る額を確かめるときは、医療費控除はいくらから戻る?計算ツールを使えます。
医療費通知とマイナポータルの家族分
医療保険者の医療費通知
医療保険者から交付を受けた医療費通知(健康保険組合などの「医療費のお知らせ」)を確定申告書に添付すると、医療費控除の明細書の記載を簡略化できます(No.1120)。医療費通知として認められるのは、次の6項目が書かれたものです。
- 被保険者等の氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた者(誰が診療を受けたか)
- 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
- 被保険者等が支払った医療費の額
- 保険者等の名称
通知の「支払った医療費の額」と、助成金の額や窓口で実際に払った額との関係は、国税庁の資料に記載が見当たりません。助成金の額を差し引く計算は、上の「いくら戻るか」のとおりです。
マイナポータル連携で家族分を取得するには
- 取得できる時期と範囲:国税庁の案内では、毎年2月9日以降、申告する年分の1月から12月までの保険診療分の医療費情報を取得して、申告書に自動入力できます。保険診療分でも、はり・きゅう等の施術費用や整骨院・接骨院の柔道整復療養費など、取得できない情報があります
- 家族分は代理人の登録が必要:事前にマイナポータルで代理人の登録を行うと、申告に含めることができる家族の医療費情報を取得できます
- 必要なもの:代理人の登録には家族のマイナンバーカードが必要で、家族自身も事前にマイナポータルの利用者登録が必要です
- 含まれないもの:後発医薬品(ジェネリック医薬品)がある先発医薬品を希望して払う「特別の料金」は、保険適用外のため、医療費通知情報に含まれません。領収証を保存して、明細書を作る必要があります(No.1122 質疑応答 Q6)
子供だけについての個別の説明(年齢ごとの扱いなど)は、国税庁の資料に記載が見当たりません。お子さんの分を取得できるかは、マイナポータルの案内または税務署でご確認ください。明細書の書き方は医療費控除の明細書の書き方に、スマホで申告する手順はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方にまとめています。
よくある質問
Q. 子供の医療費は、医療費控除の対象ですか?
A. 自分が支払った分は対象です。国税庁 No.1120 は、医療費控除の対象になる医療費の要件を、納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であることとしています。子供は親族にあたるので、生計を一にする子供のために自分が支払った医療費が対象になります。
Q. 子ども医療費助成で窓口の負担がなかった分は、対象になりますか?
A. 窓口で払っていない分は入りません。No.1120 の控除額の計算は「実際に支払った医療費の合計額」から始まります。国税庁の質疑応答事例は、小児等の医療費の窓口支払を免除する自治体の例について、窓口で支払いを免除される場合の経済的利益は、いったん支払って後日助成金を受ける場合と実質において異なるものではないと説明しています。助成の対象年齢や自己負担の有無は自治体ごとに異なるので、国税庁の資料では確かめられません。お住まいの市区町村の案内をご確認ください。
Q. 窓口で払ったあとに、助成金が振り込まれました。どう計算しますか?
A. 国税庁の質疑応答事例は、窓口で払った医療費に対して後日支給される医療費助成金は、医療費控除の計算上、保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当するので、その支給のもとになった医療費の金額から、支給を受ける助成金の額を控除するとしています。No.1120 も、補てんされる金額はその給付の目的となった医療費の金額が限度で、引ききれない分が出ても他の医療費からは差し引かないと説明しています。
Q. 子供の通院に付き添った親の電車やバスの交通費は、対象ですか?
A. 患者の年齢や病状からみて一人で通院させることが危険な場合は、患者の通院費のほかに付添人の交通費も対象です(通院のために通常必要なものに限ります)。国税庁の質疑応答事例は、子供の通院に親が付き添う場合を例にこう回答しています。
Q. 入院している子供の世話をするために、病院へ通う親の交通費は対象ですか?
A. 対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、入院している子供の世話をするために親が通院している場合は、患者である子供自身が通院していないことから、親の交通費は対象にならないとしています。対象になる通院費は、患者自身が通院するときに必要なものに限られます。
Q. 共働きの夫婦では、どちらが申告しますか?
A. 医療費を実際に支払った人です。国税庁の質疑応答事例は、共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合に、夫婦が生計を一にしているときは、実際に支払った夫の医療費控除の対象になると回答しています。医療費控除の対象になる親族の範囲に、所得金額の要件は付されていません。子供の医療費も、同じ「生計を一にする親族」の医療費として、支払った人が受けます。夫婦のどちらかを選べるという説明は、これらの資料に記載が見当たりません。
Q. アルバイトで収入のある子供の医療費は、対象ですか?
A. 生計を一にしていれば対象です。国税庁の質疑応答事例は、所得を有する親族のために支払った医療費であっても、その親族が医療費を支払った者と生計を一にする者であるときは、その医療費を支払った者の医療費控除の対象になると回答しています。
Q. 進学で別居している子供の医療費は、対象ですか?
A. 国税庁の質疑応答事例は、「生計を一にする」とは必ずしも同一の家屋に起居していることをいうのではないと説明しています。勤務、修学、療養等の都合上、日常の起居を共にしていなくても、勤務、修学等の余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合は、生計を一にするものとして取り扱うとしています。個別の事情は税務署にご確認ください。
Q. マイナポータル連携で、子供の医療費も自動入力できますか?
A. 国税庁の案内によると、事前にマイナポータルで代理人の登録を行うことで、申告に含めることができる家族の医療費情報を取得して、申告書に自動入力できます。代理人の登録には家族のマイナンバーカードが必要で、家族自身も事前にマイナポータルの利用者登録が必要とされています。子供だけを説明した記載は、国税庁の資料に見当たりません。
参考・出典
- 国税庁 - No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1122 医療費控除の対象となる医療費(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1122 質疑応答事例(海外旅行先で支払った医療費・特別の料金)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 地方公共団体が支給する少子化対策のための助成金等の所得税法上の取扱い(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 患者の世話のための家族の交通費・自家用車で通院する場合のガソリン代等(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 共働き夫婦の夫が妻の医療費を負担した場合・姉の子供の医療費を支払った場合・同居していない母親の医療費を子供が負担した場合(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 確定申告特集「医療費控除を受ける方へ」(マイナポータル連携と代理人の設定、2026年10月2日確認)
- 国税庁「医療費控除のマイナポータル連携について」(PDF)(2026年10月2日確認)
※医療費控除の取扱いは個別の事情により異なります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。この記事は、治療や医療機関の選び方など医療についての情報ではありません。