入院の食事代は医療費控除の対象?食事療養費の自己負担、差額ベッド、明細書の区分

国税庁によると、入院中に病院から出る食事の代金は、入院代に含まれる入院費用の一部で、医療費控除の対象です。一方、病室に取った出前、外食、おやつ代は対象外です。入院の費用でも、自己都合の差額ベッド代、寝巻きや洗面具などの身の回り品は対象外で、付添人を頼んだときの付添料は対象です。この記事は、会社に勤めている方が、自分や家族の入院で支払った費用を確定申告で申告するときに、国税庁と厚生労働省の原文で確かめられる範囲をまとめました。治療や医療機関の選び方は扱いません。

病院の食事代は対象、出前・外食は対象外

医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が、10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えたときに受けられる所得控除です(No.1120)。入院の食事代については、No.1122 が、診療等を受けるために直接必要な費用の例に「入院の際の部屋代や食事代の費用」を挙げています。No.1126 と質疑応答事例は、次のように答えています。

費用医療費控除国税庁の説明
病院から支給される入院中の食事対象入院代に含まれる。入院の対価として支払われるもので、通常必要なものに限る
出前、外食、おやつ対象外病院から給付される食事以外の食事の費用は、入院の対価には当たらない
付添人(家政婦など)の食事代対象付添いの対価の一部として支払われるものであれば対象
親族が付き添う場合のその親族の食事代対象外医療費控除の対象とはならない

出典:国税庁 タックスアンサー No.1126、質疑応答事例「入院患者の食事代」「親族が付き添う場合のその親族の食事代」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。

対象になるのは、病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額です(No.1122)。国税庁の質疑応答事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答で、個別の事情によっては課税関係が異なることがあると注記しています。

食事療養費の自己負担は1食いくらか

厚生労働省保険局の資料によると、入院時に必要な食費は、1食あたりの総額と自己負担を国が定め、その差額を保険給付として支給しています。「入院時食事療養費(保険給付)」は、「食事療養基準額(総額)」から「標準負担額(自己負担額)」を引いた額です。令和7年4月からの1食あたりの額は次のとおりです。

区分1食の自己負担総額(1食)
一般所得者510円690円
住民税非課税世帯240円690円
住民税非課税かつ所得が一定基準に満たない70歳以上110円690円

出典:厚生労働省保険局「入院時の食費・光熱水費について」(第204回社会保障審議会医療保険部会 資料3、令和7年11月20日)、2026年10月2日確認。療養病床に入院する65歳以上の方は、入院時生活療養費の食費で評価され、額の決め方が異なります。

一般所得者が1日3食を病院の食事で取ったとして、入院日数別の食事代を計算すると次のとおりです(1日3食は計算のための仮置きで、実際の食数や額とは異なります)。

入院日数食事の回数(仮置き)食事代の合計
7日21食10,710円
14日42食21,420円
30日90食45,900円

1食510円(一般所得者、令和7年4月から)× 食数で計算。上の厚生労働省保険局の資料は更なる見直しを論点に挙げており、令和7年11月20日以降に額が改められたかは、この記事では確認できていません。実際の額は入院先または加入している健康保険でご確認ください。

病院に支払う入院患者の食事代は、国税庁の質疑応答事例では入院費用の一部で、通常必要なものに限り医療費控除の対象になります。

差額ベッド・身の回り品・付添人の扱い

入院に伴う食事以外の費用は、No.1126 と質疑応答事例で、次のように分かれています。

費用医療費控除国税庁の説明
差額ベッド代(自己の都合による個室など)対象外入院の対価の部屋代で対象になるのは、診療等を受けるため直接必要で通常必要なもの
寝巻き・寝具・洗面具などの身の回り品対象外入院のためには必要だが、診療等を受けるため直接必要なものではない
病院の指示で購入した氷枕・氷のう対象治療のために使用され、病院の指示で購入したもの
付添人を頼んだときの付添料対象療養上の世話を受けるための費用。所定の料金以外の心付けなどは除く
親族への付添料・謝礼対象外労務の提供の対価の支払を前提としない親族への謝礼は対象外
医師や看護師へのお礼対象外診療などの対価ではない
病室のテレビ・冷蔵庫の賃借料対象外診療等を受けるため直接必要なものではない

出典:国税庁 No.1126、質疑応答事例「差額ベッド料」「入院のための寝具や洗面具等の購入費用」「入院のための氷枕や氷のうの購入費用」「親族に支払う療養上の世話の費用」「病院に支払うテレビや冷蔵庫の賃借料等」(令和7年8月1日現在)、2026年10月2日確認。

差額ベッド代について、国税庁の資料が対象外としているのは、自己の都合で個室を使用するなどの場合です。病院の指示など自己の都合以外の事情で個室になった場合の取扱いは、これらの資料に記載が見当たりません。個別の事情は税務署にご確認ください。

いくら戻るか

入院で病院に支払った額(食事代を含む)を30万円(仮置き)として、他の医療費はなし、入院給付金などの補てんもなしとしたときの、年収別の戻る額の目安です。入院費用は計算のための仮置きで、実際の額とは異なります。

年収医療費控除の額戻る額の目安
300万円200,000円約30,210円
400万円200,000円約30,210円
500万円200,000円約30,210円
600万円200,000円約40,420円
700万円200,000円約59,819円
800万円200,000円約60,840円

tools の医療費控除計算ツールと同じ計算です。社会保険料は東京都・40歳未満の標準的な金額で概算し、その他の所得控除は考慮していません。足切りは、この年収では10万円です。実際の額は、源泉徴収額や他の控除により変わります。戻る額には、翌年の住民税の軽減分を含みます。

入院給付金や高額療養費を受け取ったときは、その金額を支払った医療費から差し引いて計算します(No.1120)。年収500万円で、入院で支払った額(仮置き)が40万円のとき、補てんされる金額によって次のように変わります。

補てんされる金額(仮置き)医療費控除の額戻る額の目安
なし300,000円約45,315円
10万円200,000円約30,210円
20万円100,000円約15,105円
30万円0円0円

差し引くのは、その給付の目的となった医療費の金額が限度です(No.1120)。補てんを差し引いた額が足切りの10万円以下になると、控除は0円です。家族の医療費がある場合は、合計して10万円を超えるかを見ます。

確認のしかた

入院費用と他の医療費を合わせて、補てんを差し引いたあとの額が10万円を超えるかが、申告の分かれ目です。年収と医療費を入れて戻る額を確かめるときは、医療費控除はいくらから戻る?計算ツールを使えます。

明細書のどの区分に書くか

医療費控除の明細書の「2 医療費(上記1以外)の明細」には、領収書から必要事項を書き写します。国税庁の記載要領には、「領収書1枚」ごとではなく、「医療を受けた方」・「病院等」ごとにまとめて記入できると書かれています。

欄書くこと入院のとき
(2) 病院・薬局などの支払先の名称診療を受けた病院などの名称入院した病院の名称
(3) 医療費の区分内容として該当するものを全てチェック下記のとおり
(4) 支払った医療費の額医療費控除の対象となる金額差額ベッド代などの対象外を除いた額
(5) (4)のうち保険金などで補填される金額保険金や給付金を受け取った場合のその金額入院給付金・高額療養費など

出典:国税庁「令和7年分 医療費控除を受けられる方へ」の医療費控除の明細書の記載要領(令和8年分は2026年10月2日時点で公開されていないため令和7年分)。

区分の欄(診療・治療など)

区分の欄は「診療・治療」「医薬品購入」「介護保険サービス」「その他の医療費」の4つで、記載要領は「医療費の内容として該当するものを全てチェックします」としています。国税庁の記入例では、○△病院に支払った診療費は「診療・治療」にチェックし、通院の電車・バス代(JR、○○バス)は「その他の医療費」にチェックしています。「その他の医療費」の欄には、例えば通院費、医療用器具の購入(いずれも通常必要なものに限ります)などと書かれています。

記載要領と記入例に、入院の食事代をどの区分にチェックするかを個別に示した記載は見当たりません。この記事では区分を断定しません。入院費用と食事代が同じ病院の領収書に書かれているときは、病院ごとにまとめて1行で書ける、というのが記載要領で確認できる範囲です。

書くときの注意

  • 対象外の費用を除く:差額ベッド代、出前・外食、身の回り品などは、(4)の金額に入れません
  • 補てんされる金額:入院給付金や高額療養費を受け取った場合は、(5)に書きます(No.1126、記載要領)
  • 見込額で書く場合:補てんされる金額が確定申告書の提出までに確定していないときは、見込額を差し引きます(No.1126、質疑応答事例)

明細書の書き方の全体は医療費控除の明細書の書き方にまとめています。

入院給付金・領収書・支払った年

領収書と明細書

  • 明細書:医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付します(No.1120)
  • 領収書の保存:明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書の提示または提出を求められる場合があります(No.1120)

何年分の医療費になるか

  • 支払った年:その年に実際に支払った金額が対象です。未払の医療費は、現実に支払った年の対象になります(No.1120、質疑応答事例)
  • 入院時の保証金:退院の際に入院費用に充当された場合は、充当された年分の対象になり、保証金を支払った年分の対象にはなりません(質疑応答事例)
  • 借入金で払った場合:支払の日を含む年分の対象です(質疑応答事例)

確定申告のしかた

医療費控除は、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署に提出して受けます(No.1120)。スマホで申告する手順はスマホで確定申告(e-Tax)のやり方にまとめています。

よくある質問

Q. 入院中の食事代は、医療費控除の対象ですか?

A. 病院から支給される食事の代金は対象です。国税庁の質疑応答事例は、病院に支払う入院患者の食事代はいわゆる入院費用の一部で、入院の対価として支払われるものなので、通常必要なものに限り医療費控除の対象になると回答しています。No.1126 も、入院中に病院で支給される食事は入院代に含まれるので対象としています。

Q. 病室に出前を取ったり、外食したりした食事代は対象ですか?

A. 対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、病室に出前をとったり外食をした場合の食事代や、おやつ代など、病院から給付される食事以外の食事の費用は、入院の対価には当たらないので対象外としています。

Q. 差額ベッド代は、医療費控除の対象ですか?

A. 自己の都合で個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料は、対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、入院の対価として支払う部屋代等の費用で対象になるのは、医師等の診療等を受けるため直接必要で、かつ通常必要なものに限られるとしています。No.1126 も、本人や家族の都合だけで個室に入院したときなどの差額ベッド料は対象外としています。それ以外の事情で個室になった場合の取扱いは、国税庁のこれらの資料に記載が見当たりません。個別の事情は税務署にご確認ください。

Q. 入院のときに買った寝巻き・洗面具・タオルは対象ですか?

A. 対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、入院のために必要な寝具や洗面具などの身の回り品は、入院のためには必要なものですが、医師等による診療等を受けるため直接必要なものには当たらないので対象外としています。一方、病院から氷枕や氷のうを持参するよう指示があって購入した場合は、治療のために使用され、病院の指示で購入したものなので対象になると回答しています。

Q. 入院中の付き添いに支払った費用は対象ですか?

A. 付添人を頼んだときの付添料は、療養上の世話を受けるための費用として対象です。ただし所定の料金以外の心付けなどは除かれます。親族などに付添料の名目でお金を支払っても対象になりません(No.1126)。質疑応答事例も、労務の提供の対価の支払を前提としない親族に支払う謝礼は対象外とし、親族が付き添う場合のその親族の食事代も対象外としています。

Q. 病院のテレビや冷蔵庫の賃借料は対象ですか?

A. 対象になりません。国税庁の質疑応答事例は、病室で使用するためのテレビや冷蔵庫の賃借料とその電気の使用料は、医師等による診療等を受けるため直接必要なものには当たらないとしています。

Q. 入院給付金や高額療養費を受け取ったときは、どう計算しますか?

A. 国税庁の No.1126 と No.1120 は、健康保険組合などから支払われる高額療養費や、生命保険契約などの特約により支払われる入院費給付金などを受け取っている場合は、その金額を支払った医療費から差し引くと説明しています。差し引くのは、その給付の目的となった入院に係る医療費の額が限度で、引ききれない金額が生じても、他の医療費からは差し引きません。

Q. 確定申告の時点で、入院給付金の額が決まっていないときはどうしますか?

A. 国税庁の質疑応答事例によると、受け取る保険金等の額を見積もり、その見積額を支払った医療費から差し引きます。後日、確定額が見積額と異なることになったときは、遡ってその年分の医療費控除額を訂正します。No.1126 によると、その訂正は修正申告または更正の請求の手続で行います。

Q. 年末に入院して、翌年に退院して払った場合は、何年分になりますか?

A. 現実に支払った年分です。国税庁の質疑応答事例は、未払の医療費は、その年中に治療が終わっていても、その年の医療費控除の対象にならないと回答しています。また、入院時に支払った保証金が退院の際に入院費用に充当された事例では、入院費用に充当された年分の対象になり、保証金を支払った年分の対象にはならないと回答しています。

Q. 入院費用を借入金やクレジットカードで払った場合は?

A. 国税庁の質疑応答事例は、借入金で医療費を支払った場合は、医療費が未払になっているわけではなく、支払が現実に行われているので、その支払の日を含む年分の医療費控除の対象になると回答しています。クレジットカードの扱いは、これらの資料に記載が見当たりません。

参考・出典

※医療費控除の取扱いは個別の事情により異なります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。この記事は、治療や医療機関の選び方など医療についての情報ではありません。

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