介護費用・おむつ代は医療費控除の対象?居宅・施設サービスの区分、おむつ使用証明書、介護タクシー
国税庁によると、介護保険サービスの自己負担は、サービスの種類によって「対象」「併せて利用すれば対象」「対象外」に分かれます。特別養護老人ホームの費用は2分の1、おむつ代は医師の「おむつ使用証明書」などの書類が必要です。親の介護費用を払った場合は、親と生計を一にしていれば、払った人の医療費控除に入れられます。この記事は、会社に勤めている方が確定申告で親などの介護費用を申告するときに、国税庁の原文で確かめられる範囲をまとめました。介護サービスの選び方は扱いません。
居宅サービスで対象になるもの・ならないもの
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに、自分または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が、10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えたときに受けられる所得控除です(No.1120)。介護保険の居宅サービス等の自己負担は、国税庁の No.1127 で、次の3つに分けられています。
| 区分 | 主なサービス | 医療費控除 |
|---|---|---|
| 医療系サービス | 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション(医療機関のデイサービス)、短期入所療養介護(医療系のショートステイ) | 自己負担額が対象 |
| 福祉系サービス | 訪問介護(生活援助中心型を除く)、訪問入浴介護、通所介護(デイサービス)、小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護(ショートステイ) | 医療系サービスと併せて利用する場合のみ対象 |
| 対象外 | 訪問介護(生活援助中心型)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム等)、福祉用具貸与 | 対象外 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1127(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月2日確認。表は主なサービスを抜粋したもので、全サービスの一覧は原文にあります。
「併せて利用する」とは、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合をいいます。居宅介護支援事業者等から交付される「サービス利用票」に医療系サービスが記載されているかで判断します(No.1127)。たとえば訪問介護とデイサービスだけの月は福祉系サービスだけなので対象外、訪問看護も組み込まれた月は、訪問介護とデイサービスの自己負担も対象になります。
- 生活援助中心型の訪問介護:調理・洗濯・掃除などの家事の援助が中心のものは、対象外です(No.1127)
- 喀痰吸引等:福祉系サービスを医療系サービスと併せて利用しない場合や、対象外のサービスでも、介護福祉士等による喀痰吸引等の対価は、居宅サービス等の対価として支払った金額の10分の1が対象になります(No.1127 注2)
- 通う交通費:通所リハビリテーションやデイサービスなどで施設へ通う交通費は、そのサービスの自己負担額が対象になった場合で、通常必要なものに限り対象です(No.1127 注3)
- 在宅の療養上の世話:看護師などに限らず、療養上の世話を受けるために特に依頼した人に払う対価は、自宅での療養でも対象です(質疑応答事例)
施設サービスで対象になる金額
介護保険の施設サービスは、施設ごとに対象になる範囲が決まっています。国税庁の No.1125 は、次のとおりにまとめています。
| 施設 | 医療費控除の対象 | 対象外 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)、指定地域密着型介護老人福祉施設 | 介護費・食費・居住費の自己負担額の2分の1 | 日常生活費、特別なサービス費用 |
| 介護老人保健施設 | 介護費・食費・居住費の自己負担額 | 日常生活費、特別なサービス費用 |
| 介護医療院 | 介護費・食費・居住費の自己負担額 | 日常生活費、特別なサービス費用 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1125(令和8年4月1日現在法令等)、2026年10月2日確認。指定介護療養型医療施設は令和6年3月31日に廃止されています。
日常生活費とは、理美容代など、日常生活でも通常必要になるものの費用です(No.1125 注1)。介護老人保健施設・介護医療院などの個室等の特別室の使用料は、診療や治療を受けるためにやむを得ず支払うものに限り、対象になります(No.1125 注2)。グループホームや有料老人ホーム等は、施設ではなく居宅サービスの区分で、対象外です(No.1127)。
おむつ代と使用証明書
おむつ代は、治療を受けるために直接必要な費用として、一定の場合に医療費控除の対象になります。国税庁の No.1122 と質疑応答事例が示す要件は、次のとおりです。
- 寝たきりであること:傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで、医師の治療を受けている人が、おむつを使う必要があると認められること
- 証明書類:医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要です。現に治療を行っている医療機関が作成します
- 居宅サービスでのおむつ:居宅サービス等でおむつを使った場合のおむつ代も、おむつ使用証明書がある場合に限り対象です(No.1127 注1)
国税庁の資料には、寝たきりではない人のおむつ代を対象とする定めは載っていません。そのため、「寝たきりではない場合」の扱いは、原文の要件に当てはまるかどうかで判断することになります。個別の事情は税務署にご確認ください。
使用証明書の代わりになる書類
介護保険の要介護認定を受けている人は、おむつ使用証明書の代わりに、主治医意見書の内容を市町村が確認した書類、または主治医意見書の写しを使えます。令和7年1月1日以後に令和6年分以後の確定申告書を提出する場合は、次の条件があります(質疑応答事例、令和6年10月18日付個人課税課情報)。
| おむつ代の控除 | 使える主治医意見書 | 補足 |
|---|---|---|
| 1年目 | おむつを使った年に受けていた要介護認定と、有効期間が連続する認定を合わせて、その年以降の有効期間が6か月以上になるものの審査で作成されたもの | 一定の記載があるものに限る |
| 2年目以降 | その年に主治医意見書が作成されていない場合は、その年に受けていた要介護認定(有効期間13か月以上)の審査で作成されたもの | 一定の記載があるものに限る |
出典:国税庁 質疑応答事例「寝たきりの者のおむつ代」(令和7年8月1日現在)、同「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(情報)」(令和6年10月18日)、2026年10月2日確認。
確定申告での扱い
医療費控除の明細書を確定申告書に添付し、あわせておむつ使用証明書(または上の書類)を添付するか、提出の際に提示します。証明年月日・証明の名称・証明者の名称(医療機関名等)を明細書の欄外余白などに記載すれば、添付や提示を省略できます。省略した場合、証明書は医療費の領収書とともに、確定申告期限等から5年間保存します(質疑応答事例)。
福祉用具のレンタル・タクシー代
福祉用具のレンタル・購入
国税庁の No.1127 は、福祉用具貸与(介護予防福祉用具貸与を含む)を、対象外の居宅サービス等に挙げています。介護用品の購入については、介護用品としての取扱いが国税庁の資料に載っていないため、この記事では扱いません。No.1122 は、医師等による診療を受けるために直接必要な、コルセットなどの医療用器具の購入代や賃借料で通常必要なものと、義手・義足・松葉杖・補聴器・義歯・眼鏡などの購入費用を、医療費に挙げています。
タクシー代(介護タクシーを含む)
国税庁の資料に「介護タクシー」という名称での取扱いは載っていないため、タクシー代の原文で判断します。
- 通院のタクシー代:電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き、対象に含まれません(No.1122 注1)
- 病院へ収容されるためのタクシー代:病状からみて急を要する場合や、電車・バス等の利用ができない場合は、全額が対象です(質疑応答事例)
- 施設へ通う交通費:デイサービスなどの自己負担額が対象になった場合で、通常必要なものに限り対象です(No.1127 注3)
自家用車で通院するときのガソリン代や駐車場代は、対象に含まれません(No.1122 注2)。
親の介護費用を子が払った場合
医療費控除は、自分または自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払ったときに受けられます(No.1120)。親の介護費用を子が払った場合は、次のとおりです。
- 生計を一にしていれば、払った子の対象:同居していない親でも、親が子からの仕送りで生活している状況であれば、生計を一にしているとして、子の医療費控除の対象になります(質疑応答事例)
- 別居でも該当する場合:勤務や療養の都合で別に暮らしていても、勤務等の余暇には同じ家で過ごすことを常例としている場合や、常に生活費・療養費の送金が行われている場合は、生計を一にするものとされます(所得税基本通達2-47)
- 同居の場合:同じ家屋に起居していれば、明らかに互いに独立した生活を営んでいる場合を除き、生計を一にするものとされます(所得税基本通達2-47)
- 実際に払った人が対象:生計を一にしている場合は、医療費を実際に支払った人の医療費控除の対象になります(質疑応答事例)
- 家族への付添料は対象外:家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目で支払っても、対象になりません(No.1122)
介護保険から払い戻しを受けた高額介護サービス費などは、その給付の目的となった医療費の額から差し引いて計算します(No.1127 注4、No.1125 注3)。
いくら戻るか
年収500万円の会社員が、医療費控除の対象になる介護の自己負担を払ったときの戻る額の目安です。他の医療費はなしとしています。金額は計算のための仮置きで、実際の支出とは異なります。
| 対象になる額(年間) | 医療費控除の額 | 戻る額の目安 |
|---|---|---|
| 15万円 | 50,000円 | 約7,552円 |
| 30万円 | 200,000円 | 約30,210円 |
| 50万円 | 400,000円 | 約60,420円 |
| 80万円 | 700,000円 | 約105,735円 |
| 120万円 | 1,100,000円 | 約166,155円 |
tools の医療費控除計算機と同じ計算です。社会保険料は東京都・40歳未満の標準的な金額で概算し、その他の所得控除は考慮していません。足切りは年収500万円では10万円です。実際の額は、源泉徴収額や他の控除により変わります。
施設に入所している場合は、施設ごとに対象になる額が変わります。次は、施設サービスの自己負担(介護費・食費・居住費)が年96万円(月8万円)のときの目安です。金額は仮置きで、日常生活費などの対象外の費用は含めていません。
| 施設 | 対象になる額 | 控除の額と戻る額 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 480,000円 | 控除380,000円 戻る約57,399円 |
| 介護老人保健施設・介護医療院 | 960,000円 | 控除860,000円 戻る約129,903円 |
特別養護老人ホームは自己負担額の2分の1、介護老人保健施設・介護医療院は自己負担額の全額が対象です(No.1125)。高額介護サービス費の払戻しがある場合は、その額を差し引いて計算します。
確認のしかた
領収書に医療費控除の対象となる金額が記載されているかを、まず確かめてください。親の分と自分の分を合わせて10万円を超えるかが、申告の分かれ目です。年収と医療費を入れて戻る額を確かめるときは、医療費控除はいくらから戻る?計算ツールを使えます。
明細書の書き方は医療費控除の明細書の書き方にまとめています。
よくある質問
Q. 介護保険サービスの自己負担は、全部が医療費控除の対象ですか?
A. 全部ではありません。国税庁の No.1127 は、居宅サービス等を3つに分けています。訪問看護や通所リハビリテーションなどの医療系サービスの自己負担は対象です。訪問介護(生活援助中心型を除く)やデイサービスなどの福祉系サービスは、医療系サービスと併せて利用する場合に限り対象です。生活援助中心型の訪問介護、グループホーム、有料老人ホーム等の特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与は対象外です。
Q. 「併せて利用する」とは、どう判断しますか?
A. 国税庁の No.1127 は、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合をいい、居宅介護支援事業者等から交付される「サービス利用票」に医療系サービスが記載されているかどうかで判断すると説明しています。
Q. 領収書のどこを見れば、対象になる金額が分かりますか?
A. 国税庁の No.1127 と No.1125 は、居宅サービス事業者や施設が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることになっていると説明しています。介護老人保健施設については、厚生労働省の通知で、介護費・食費・居住費の自己負担額を区分して記載し、医療費控除の合計対象額の記載にも努めることとされています(No.1125)。
Q. 特別養護老人ホームの費用は、全額が対象になりますか?
A. 全額ではありません。国税庁の No.1125 は、特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)と指定地域密着型介護老人福祉施設について、施設サービスの対価(介護費、食費、居住費)の自己負担額の2分の1に相当する金額が対象になると説明しています。日常生活費と特別なサービス費用は対象外です。
Q. おむつ代は、誰でも医療費控除の対象になりますか?
A. なりません。国税庁の No.1122 は、傷病によりおおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるときのおむつ代を対象とし、医師が発行した「おむつ使用証明書」が必要としています。国税庁の資料には、寝たきりではない人のおむつ代を対象とする定めは載っていません。個別の事情は税務署にご確認ください。
Q. おむつ使用証明書の代わりになる書類はありますか?
A. 国税庁の質疑応答事例は、令和7年1月1日以後に令和6年分以後の確定申告書を提出する場合、介護保険法に基づく主治医意見書の内容を市町村が確認した書類、またはその主治医意見書の写しを、おむつ使用証明書に代えられると回答しています。医療費控除を受けるのが1年目か2年目以降かで、主治医意見書に求められる条件が違います。
Q. おむつ使用証明書は、確定申告書に添付が必要ですか?
A. 国税庁の質疑応答事例によると、確定申告書に添付するか、提出の際に提示します。ただし、証明年月日、証明の名称、証明者の名称(医療機関名等)を医療費控除の明細書の欄外余白などに記載すれば、添付や提示を省略できます。この場合、証明書は医療費の領収書とともに、確定申告期限等から5年間保存します。
Q. 福祉用具のレンタルは医療費控除の対象ですか?
A. 国税庁の No.1127 は、福祉用具貸与(介護予防福祉用具貸与を含む)を、医療費控除の対象外の居宅サービス等に挙げています。
Q. 介護タクシーの料金は医療費控除の対象ですか?
A. 国税庁の資料に「介護タクシー」という名称での取扱いは載っていません。タクシー代については、No.1122 が、通院のためのタクシー代は電車やバスなどの公共交通機関が利用できない場合を除き対象に含まれないとしています。質疑応答事例は、病院へ収容されるためのタクシー代について、病状からみて急を要する場合や、電車・バス等の利用ができない場合は全額が対象になると回答しています。
Q. 親の介護費用を払ったら、自分の医療費控除に入れられますか?
A. 親と生計を一にしていれば、実際に払った人の医療費控除の対象になります。国税庁の質疑応答事例は、同居していない母親の医療費を子が支払った場合でも、母親が子からの仕送りで生活しているような状況であれば生計を一にしているとして、子の医療費控除の対象になると回答しています。
Q. 同居していれば、必ず「生計を一にする」ことになりますか?
A. 必ずではありません。国税庁の質疑応答事例が引用する所得税基本通達2-47は、親族が同じ家屋に起居している場合は、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、生計を一にするものとして扱うとしています。別居の場合は、勤務や療養の都合で別に暮らしていても、常に生活費や療養費の送金が行われているときなどは生計を一にするとされます。
Q. 家族が付き添った場合の付添料は、医療費控除に入れられますか?
A. 入れられません。国税庁の No.1122 は、家族や親類縁者に付添いを頼んで付添料の名目でお金を支払っても、医療費控除の対象にならないと説明しています。質疑応答事例も、労務の提供の対価の支払を前提としない親族に支払う謝礼は対象外と回答しています。
Q. 高額介護サービス費が戻ってきたときは、どう計算しますか?
A. 国税庁の No.1127 と No.1125 は、高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その額を医療費の金額から差し引いて医療費控除の金額を計算すると説明しています。特別養護老人ホームの施設サービス費に係る自己負担額のみに対する高額介護サービス費は、その2分の1に相当する金額を差し引きます。
参考・出典
- 国税庁 - No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1125 医療費控除の対象となる介護保険制度下での施設サービスの対価(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.1122 医療費控除の対象となる医療費(令和8年4月1日現在法令等、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 寝たきりの者のおむつ代(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 - おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(情報)(令和6年10月18日、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 訪問介護の居宅サービス費(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 在宅療養の世話の費用(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 病院に収容されるためのタクシー代(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
- 国税庁 質疑応答事例 - 親族に支払う療養上の世話の費用(令和7年8月1日現在、2026年10月2日確認)
※医療費控除の取扱いは個別の事情により異なります。具体的な申告は税務署または税理士にご確認ください。この記事は、介護サービスの選び方など介護・医療についての情報ではありません。