教育訓練給付金の対象は?|対象者(雇用保険の加入期間)・3種類の給付率と上限・対象講座の探し方・在職中でも使えるか・申請の期限・対象外になる場合

在職中に講座の受講を考えている会社員の方が、教育訓練給付金の対象になるかを整理した解説です。厚生労働省とハローワークの案内では、受講開始日に雇用保険に加入していて、その期間が初めてなら1年以上(専門実践教育訓練は2年以上)、2回目以降は3年以上あれば対象になります。給付は受講費用の20%・40%・50%・70%・80%で、講座の種類ごとに上限があります。申請は修了日の翌日から1か月以内です。

対象者と雇用保険の加入期間

教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了したときに、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。雇用保険法第60条の2は、教育訓練を始めた日(基準日)に、次のどちらかに当たる人を対象にしています。

  • 在職中の人:基準日に一般被保険者または高年齢被保険者である(第1号)
  • 離職した人:基準日が、被保険者でなくなった日から省令で定める期間内にある。施行規則第101条の2の5で、その期間は離職日の翌日から1年(第2号)

そのうえで、雇用保険に加入していた期間(支給要件期間)が必要です。法は「3年以上」としていますが、初めて受ける人には、附則と施行規則の読替えで短い期間が認められています。ハローワークの案内も同じ内容です。

講座の種類初めて受ける人2回目以降の人
専門実践教育訓練2年以上3年以上
特定一般教育訓練1年以上3年以上
一般教育訓練1年以上3年以上

出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、雇用保険法第60条の2・附則第11条、施行規則第24条。2026年10月3日確認。期間は受講開始日時点で数えます。2回目以降の人は、前回の受講開始日以降の加入期間が3年以上あり、前回の支給日から今回の受講開始日まで3年以上経っていることも必要です(リーフレット)。

3種類の給付率と上限

対象になる教育訓練は、レベルに応じて3種類あります。給付率は、令和6年10月以降に受講を開始する講座の数字です。

種類給付率と上限主な対象
専門実践教育訓練50%(年間40万円)。資格取得等+雇用で70%(年間56万円)。賃金が5%以上上昇で80%(年間64万円)。最大3年・192万円看護師・介護福祉士などの業務独占資格、専門職大学院、デジタル関係の講座
特定一般教育訓練40%(上限20万円)。資格取得等+雇用で50%(上限25万円)介護職員初任者研修、大型自動車免許、ITSSレベル2の資格など
一般教育訓練20%(上限10万円)TOEIC・簿記・宅地建物取引士などの資格を目指す講座、大学院の修士・博士課程

出典:厚生労働省「教育訓練給付制度について」、ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」、リーフレット「教育訓練給付金のご案内」、施行規則第101条の2の7・第101条の2の8。2026年10月3日確認。令和6年10月1日より前に受講を開始した場合は、70%・80%や50%の追加の給付はありません。

追加の給付は、修了後に資格を取得して雇用された(在職中に受講した人は資格を取得した)場合です。専門実践の80%は、さらに訓練修了後の賃金が受講開始前と比べて5%以上上がった場合です。すでに受け取った分との差額が支給されます。

受講費用ごとの支給額(試算)

当サイトの試算です。費用に率を掛けて上限で切った額で、実際の支給額はハローワークが決めます。

講座と受講費用基本の給付追加の条件を満たした場合
一般教育訓練 受講費用30万円60,000円なし(追加の給付はありません)
一般教育訓練 受講費用60万円100,000円なし(追加の給付はありません)
特定一般教育訓練 受講費用40万円160,000円資格取得等+雇用で50%の20万円
特定一般教育訓練 受講費用60万円200,000円資格取得等+雇用で50%の25万円(上限)
専門実践教育訓練 年間の受講費用60万円300,000円70%で42万円、賃金5%以上上昇で80%の48万円
専門実践教育訓練 年間の受講費用100万円400,000円70%で56万円(上限)、賃金5%以上上昇で80%の64万円(上限)

式は受講のために支払った費用×給付率で、上限を超えたら上限。専門実践の追加の給付は、すでに受け取った分との差額です。受講費用が全額戻るわけではなく、一般教育訓練は受講費用が50万円を超えると、20%でも上限の10万円に当たります。

費用として数えられるのは、条文では入学料と受講料です(施行規則第101条の2の6)。条文に挙がっていない費用が対象になるかは、受講前にハローワークで確かめてください。

対象講座の探し方

対象になるのは、厚生労働大臣が指定した講座だけです。リーフレットには約17,000講座と書かれています。厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」(kyufu.mhlw.go.jp/kensaku)で探せます。

  • フリーワードで検索する:検索窓に学校名・講座名・分野・資格名(一部でも可)を入れます。
  • 分野・資格名を指定する:詳細画面で、分野や資格のキーワードを選んで絞り込みます。
  • 指定期間を確認する:給付の対象になるのは、指定期間中に受講を開始した場合です。システムには指定開始前の講座も載っているので、各講座の「詳細を見る」の「指定期間」の欄を見ます。
  • 施設とハローワークに確認する:システムの利用上の注意には、受講前に講座の内容を直接施設に確認するよう書かれています。掲載は令和8年10月1日時点の情報です。

資格や試験の名前そのもので対象かどうかが決まるのではなく、その資格を目指す講座ごとに指定されます。システムのトップには、教育訓練給付制度に関する不適正な勧誘への注意が出ています。講座の運営者から「対象です」と聞いたときも、検索システムとハローワークの支給要件照会で確かめられます。

在職中でも使えるか

使えます。雇用保険法第60条の2第1項第1号は、基準日に一般被保険者または高年齢被保険者である人を対象にしています。会社を辞めなくても、加入期間などの要件を満たしていれば対象です。

  • 働きながら受けられる講座:リーフレットには、オンラインで受講できる講座や、夜間・土日に受講できる講座もあると書かれています。
  • 追加の給付:特定一般・専門実践の追加の給付は、雇用されたまま受講して、修了後に資格を取得した場合も対象です(ハローワークの案内)。
  • 教育訓練支援給付金は別:専門実践の受講中に失業している人への給付で、在職中の人は対象になりません。受講開始時に45歳未満などの要件があり、令和8年度末までの暫定措置です。
  • 受講前の手続き:特定一般・専門実践では、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認をします。その前に、訓練対応キャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードの交付を受けます。

勤め先が受講に協力してくれるかどうかや、受講日の調整は、法令には書かれていない勤め先ごとの事情です。就業規則や上司に確認してください。

申請の期限と手続き

申請先は、住所を管轄するハローワークです。電子申請(e-Gov電子申請)もできます。

  • 一般教育訓練:修了日の翌日から起算して1か月以内に、支給申請書に修了証明書などを添えて出します(施行規則第101条の2の11)。
  • 特定一般教育訓練:受講開始日の14日前までに受給資格確認票を出し(第101条の2の12第1項)、修了日の翌日から起算して1か月以内に申請します。追加の給付は、資格を取得して雇用された日の翌日から1か月以内です(在職中の人は、修了し資格を取得した日の翌日から)。
  • 専門実践教育訓練:受講開始日の2週間前までに受給資格確認。給付は受講開始日から6か月ごとの期間の末日(修了日があるときは修了日)の翌日から1か月以内に申請します。70%の追加は資格取得または就職した日のいずれか遅い日から1か月以内、80%は同じ日から1年以内です(ハローワークの案内)。

手続きの細かい書類は、講座の種類ごとに厚生労働省のパンフレットと「提出書類チェックリスト」にまとまっています。個別の事情はハローワークにお問い合わせください。

対象外になる場合

  • 加入期間が足りない:初めてなら1年以上(専門実践は2年以上)、2回目以降は3年以上が必要です。
  • 3年以内に支給を受けている:受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあると、支給されません(法第60条の2第5項、施行規則第101条の2の10)。
  • 離職後1年を超えている:離職した人は、離職日の翌日から1年を超えて受講を始めると対象外です。延長の申出ができるのは、妊娠・出産・育児・疾病・負傷など、引き続き30日以上受講を始められない理由があるときです。
  • 指定された講座ではない:指定期間外の受講開始、指定を受けていない講座は対象になりません。
  • 支給額が4千円を超えない:計算した額が4千円を超えないときは支給されません。
  • 手続きが間に合わない:受給資格確認(特定一般・専門実践)や修了後の申請の期限に間に合わないときは、ハローワークに相談します。

よくある質問

Q. パート・アルバイトや派遣社員でも対象になりますか?

A. 厚生労働省のリーフレットには、パート・アルバイトや派遣労働者の方も対象と書かれています。要件は働き方の名前ではなく、受講開始日時点で雇用保険の被保険者であること(またはその資格を失ってから1年以内であること)と、加入していた期間です。

Q. 会社を辞めたあとでも使えますか?

A. 使えます。雇用保険法第60条の2第1項第2号が、直前に被保険者でなくなった日から省令で定める期間内に受講を始める者を対象にしています。その期間は施行規則第101条の2の5で1年です。妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで引き続き30日以上受講を始められない場合は、ハローワークに申し出ると期間が延び、最長20年になります。

Q. 受講費用の全額が戻りますか?

A. 戻りません。給付は、受講のために支払った費用に20〜80%の率を掛けた額で、率ごとに上限があります。支給額が4千円を超えないときも支給されません(施行規則第101条の2の9)。費用として条文が挙げているのは入学料と受講料で、一般教育訓練では受講開始前1年以内のキャリアコンサルティング費用が2万円まで加わります(第101条の2の6)。教材費などが含まれるかは、受講前にハローワークで確かめてください。

Q. 英語や大学院の講座も対象ですか?

A. 厚生労働省のリーフレットは、一般教育訓練の対象になる講座の例として、TOEIC・簿記検定・宅地建物取引士などの資格の取得を目標とする講座と、修士・博士の学位などの取得を目標とする大学院の課程を挙げています。専門職大学院(法科大学院、教職大学院、MBAなど)は専門実践教育訓練の例です。ただし、指定は講座ごとです。同じ資格を目指す講座でも、指定を受けていない講座は対象になりません。

Q. 教育訓練休暇給付金とは別のものですか?

A. 別の給付です。教育訓練休暇給付金は雇用保険法第60条の3の給付で、教育訓練を受けるための休暇を取った日について、基本手当に相当する額が支給されます。この記事で扱う教育訓練給付金は、受講した費用の一部が戻る給付です。休暇の給付の要件は被保険者期間などが別に決まっているので、ハローワークにお問い合わせください。

Q. 申し込む前に、自分が対象かどうかを確かめる方法はありますか?

A. ハローワークで「支給要件照会」ができます。受講開始(予定)日時点の受給資格の有無と、受講したい講座が指定を受けているかを確認できます。教育訓練給付金支給要件照会票に記入し、本人確認書類を添えて、本人・代理人・郵送・電子申請で出します。電話による照会は、トラブルのもとになるおそれがあるため受け付けていないとされています。

参考・出典

※厚生労働省・ハローワークの案内と法令の原文に書かれている範囲の整理です。支給の可否と額は、ハローワークが個別に判断します。試算は前提を置いた当サイトの計算で、支給額を約束するものではありません。講座の内容・費用・成果は、受講前に講座の運営者へ直接ご確認ください。

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