再就職手当はいくら?|計算式・支給残日数による支給率・基本手当日額の上限・計算例・もらえる条件・申請の期限・就業手当との違い
失業保険(基本手当)の受給中に再就職が決まった方が、再就職手当をいくらもらえるのかを整理した解説です。厚生労働省とハローワークの案内では、再就職手当は基本手当日額×支給残日数×60%または70%で、基本手当日額には上限があります(令和9年7月31日までは60歳未満6,745円)。申請は就職した日の翌日から1か月以内です。以前の「就業手当」は、令和7年4月1日の改正でなくなりました。
計算式と支給率の境目(所定給付日数ごとの表)
再就職手当の額は、基本手当日額(上限あり)×支給残日数×給付率です。支給残日数は、就職した日の前日までの失業の認定を受けたあとに残っている基本手当の日数です。給付率は、残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%で、1円未満は切り捨てます。3分の1に届かない場合は、この手当の対象になりません。
所定給付日数ごとの、60%と70%になる残日数の境目は次のとおりです。
| 所定給付日数 | 60%になる残日数 | 70%になる残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 210日 | 70日以上 | 140日以上 |
| 240日 | 80日以上 | 160日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
| 300日 | 100日以上 | 200日以上 |
| 330日 | 110日以上 | 220日以上 |
出典:ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」(令和8年8月版)、雇用保険法第56条の3第3項。2026年10月3日確認。60%の欄は、その日数以上で70%の日数に届かない場合です。
基本手当日額には上限があり、離職時60歳未満は6,745円、60歳以上65歳未満は5,454円です(令和9年7月31日までの額。毎年8月1日に改定されます)。賃金日額が13,490円以上、月給の平均にして約40.5万円以上の方は、この上限に当たります。
基本手当日額そのものの出し方や、所定給付日数が何日になるかは、失業保険 計算ツールにまとめています。日額が分かれば、この記事の式にそのまま当てはめられます。
計算例(支給残日数ごと・日額の上限の場合)
当サイトの試算を示します。厚生労働省の計算例ではなく、条件が変われば結果も変わります。前提は失業保険 計算ツールと同じです。
- 35歳、自己都合で退職。雇用保険の加入は5年で、所定給付日数は90日
- 退職前6か月の月給は平均22万円(賞与なし)。賃金日額は7,333円(22万円×6か月÷180)で、基本手当日額は5,357円(令和8年8月1日以降の式、1円未満切り捨て)
| 就職日の前日の支給残日数 | 支給率 | 再就職手当(当サイト試算) |
|---|---|---|
| 90日 | 70% | 5,357円×90日×70%=337,491円 |
| 75日 | 70% | 5,357円×75日×70%=281,242円 |
| 60日 | 70% | 5,357円×60日×70%=224,994円 |
| 59日 | 60% | 5,357円×59日×60%=189,637円 |
| 45日 | 60% | 5,357円×45日×60%=144,639円 |
| 30日 | 60% | 5,357円×30日×60%=96,426円 |
| 29日 | 対象外 | 残日数が3分の1未満 |
式は基本手当日額×支給残日数×支給率、1円未満は切り捨て。残日数が90日のものは、受給資格の決定後すぐ(給付制限の期間中)に就職した場合の数字です。実際の残日数は、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証の認定の記録で確かめられます。
次に、日額が上限に当たる場合です。30歳以上45歳未満で、退職前6か月の月給が平均50万円だと、基本手当日額は最高額の8,270円になります。ただし、再就職手当の計算に使う日額は上限の6,745円までです。支給残日数が60日(所定給付日数90日の3分の2以上)なら、6,745円×60日×70%=283,290円です。60歳以上65歳未満の方の上限は5,454円です。
再就職手当は、残日数ぶんの基本手当を満額もらい切る場合より少ない額ですが、仕事に就いて給与を得ながら一時金として受け取れます。就職の時期が早いほど残日数が多く、給付率も上がります。
もらえる条件
ハローワークの案内では、再就職手当を受けるには次のすべてを満たす必要があります。
- 受給手続き後、7日間の待期期間の満了後に就職、または事業を開始したこと
- 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職した前の事業主に再び就職したものでないこと。前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがない事業主に就職したこと
- 給付制限(基本手当が支給されない期間)がある方は、待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したものであること
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として、雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
法律の側では、施行規則第82条が、離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと、待期の期間が過ぎたあとに就職したこと、給付制限を受けた場合は待期満了後1か月の間は紹介による就職であること、求職の申込み前に雇入れを約した事業主でないことを基準としています。また、雇用保険法第56条の3と施行規則第82条の2が、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる職業に就く場合(または自立できると認められる事業を開始する場合)を対象としています。事業を始める場合も対象になりえますが、自立できるかどうかは公共職業安定所長が認めたものに限られます。
支給するかどうかは、公共職業安定所長が必要と認めたときに決めます(法第56条の3第1項)。条件に当てはまるかの最終判断は、受給資格者証を発行したハローワークの窓口です。
申請の期限と手続き
- 期限:施行規則第82条の5により、安定した職業に就いた日の翌日から起算して1か月以内。ハローワークの案内でも「就職した日の翌日から1か月以内」です。
- 出すもの:再就職手当支給申請書(様式第29号の2)に受給資格者証を添えて、管轄のハローワークの所長に提出します。事業を開始した場合は、登記事項証明書など事業の開始を証明する書類が必要です。本人のほか、代理の方や郵送でも出せるとされています。
- 添える書類:施行規則第82条の5は、離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと(第82条第1項第1号)を証明できる書類を添えるよう定めています。書類の具体的な中身は、受給資格者のしおりやハローワークの窓口で確かめられます。
- 就職したあとも:再就職先に6か月以上雇用され、その6か月間の賃金が離職前より低い場合は、「就業促進定着手当」が受けられます。申請は、就職日から6か月目に当たる日の翌日から2か月以内です(施行規則第83条の4)。
就業手当との違い(廃止されています)
以前は、基本手当の残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり、安定した職業に当たらない短期の仕事をしている日に、基本手当日額の30%を支給する「就業手当」がありました。再就職手当は1年を超える安定した職業に就いたときの一時金、就業手当は短期の仕事の日ごとの手当、という違いでした。
e-Gov法令検索で改正の履歴を見ると、令和7年4月1日に施行された雇用保険法の改正(令和6年法律第26号)で、就業手当にあたる条文(第56条の3第1項第1号イ)が消えています。施行規則も、令和7年厚生労働省令第54号の同日施行の改正で、就業手当の支給申請の条が無くなりました。現行の法令では、就業促進手当の中に再就職手当と常用就職支度手当があり、就業手当は残っていません。ハローワークのサイトも、就職促進給付の「就業促進手当」の内訳を再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当の3つと案内しています。
短期のアルバイトで就業手当をもらえるのかと探している方は、現在は制度自体がありません。1年を超える勤務が確実な就職が決まれば、再就職手当の対象になる可能性があります。
よくある質問
Q. 就業手当は今ももらえますか?
A. もらえません。就業手当は、e-Gov法令検索で見ると、令和7年4月1日に施行された雇用保険法の改正(令和6年法律第26号)で法律の条文から消えました。施行規則でも同日施行の改正で就業手当の支給申請の条が無くなり、現行の本則に「就業手当」の語はありません。ハローワークの案内も、就業促進手当の内訳を再就職手当・就業促進定着手当・常用就職支度手当の3つとしています。
Q. 再就職手当には税金がかかりますか?
A. 雇用保険法第10条は、就職促進給付に就業促進手当(再就職手当を含む)を挙げています。第12条は、失業等給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課することができないと定めています。失業保険の基本手当と同じく、再就職手当も課税の対象にはならないと読めます。個別の判断は税務署にご確認ください。
Q. パートやアルバイトでももらえますか?
A. ハローワークの案内では、1年を超えて勤務することが確実であることと、原則として雇用保険の被保険者になることが要件です。週の労働時間などで雇用保険に入れる働き方であれば、パートでも該当する可能性があります。生命保険会社の外務員のように1年以下の雇用期間を定めて更新に条件が付く場合や、派遣就業で雇用期間が定められ更新が見込まれない場合は、1年を超える要件に該当しないとされています。
Q. 自己都合で辞めて、給付制限の間に就職が決まったらどうなりますか?
A. 給付制限がある方は、求職申込みをしてから待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職したものであることが必要です。この期間に知人の紹介や求人広告の応募で就職しても、対象にならないとされています。1か月を過ぎれば、就職の経路は問われません。
Q. 受給の手続きの前から内定が出ていた会社に入る場合は対象ですか?
A. 対象になりません。ハローワークの案内では、受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないことが要件の1つです。前の会社に再び就職した場合や、前の会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりのある会社に就職した場合も対象外です。
Q. 再就職手当をもらったあと、すぐに辞めたらどうなりますか?
A. ハローワークの案内には、再就職手当の支給後に離職して失業の状態になったときは、再就職手当分を除く残日数分を受給できる可能性があるので、まずハローワークに相談するよう書かれています。また、過去3年以内の就職について再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていると、あらためて再就職手当は受けられません。
参考・出典
- ハローワークインターネットサービス 就職促進給付・再就職手当のご案内(PDF。2026年10月3日確認)
- 厚生労働省 基本手当日額の計算式及び金額(令和8年8月1日〜)(PDF)・雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年7月31日発表)(2026年10月3日確認)
- e-Gov法令検索 雇用保険法(第10条・第12条・第56条の3)・雇用保険法施行規則(第82条の2・第82条の4・第82条の5・第83条の4。2026年10月3日確認)
※厚生労働省・ハローワークの案内と法令の原文に書かれている範囲の整理です。再就職手当を支給するかどうかは、公共職業安定所長が個別に判断します。計算例は前提を置いた当サイトの試算で、受給額を約束するものではありません。上限額は毎年8月1日に改定されます。個別の判断は、お近くのハローワークにご確認ください。