休職中の社会保険料|給料が出なくても払う・払い方(会社への振込・立替)・払えないとどうなる・免除は産休と育休だけ・いくら
休職中も在籍している会社員の方が、休職中の社会保険料がいくらで、どう払うのかを、法令の原文で整理した解説です。給料が出なくても、在籍している限り保険料はかかります。免除されるのは産前産後休業と育児休業等だけで、病気での休職は含まれません。納める義務を負うのは事業主で、本人分の集め方は会社の規程で決まります。
場面ごとの表(保険料と払い方)
休職中の保険料は、給料が出るか、傷病手当金を受けているか、産休・育休かで分けると整理できます。
| 場面 | 保険料 | 払い方 |
|---|---|---|
| 病気で休職し、給料が出ない(在籍中) | かかる。免除の対象ではない | 会社の規程による(毎月の振込、立替と復職後の精算など) |
| 休職中も、会社から給料の一部が出る | かかる | 支払われる給料から前月分を引ける(健康保険法第167条)。足りない分は会社の規程による |
| 傷病手当金を受けている | かかる。傷病手当金の受給で免除にはならない | 傷病手当金は保険者から本人に支給される。会社への払い方は規程と本人の同意による |
| 産前産後休業・育児休業等 | 免除される(事業主の申出が要る) | 免除の対象月は払わない。詳しくは産後パパ育休の保険料の免除 |
| 復職した | 通常どおりかかる | 給料から前月分を引く。立替分の精算は規程による |
| 休職中に退職した | 資格を失う日の属する月の前月分まで(月末退職は退職月分まで) | 退職時の精算は会社による。詳しくは休職中に退職するタイミング |
出典:健康保険法第99条・第159条・第159条の3・第161条・第167条、厚生年金保険法第81条の2・第81条の2の2・第82条・第84条(e-Gov法令検索)、日本年金機構「保険料の免除等(産休・育休関係)」。2026年10月3日確認。傷病手当金の額と受け取れる条件は傷病手当金の支給条件・支給額に分けて書いています。
給料が出なくても払う理由と、免除の対象
健康保険も厚生年金も、保険料は被保険者と事業主が半分ずつ負担します(健康保険法第161条第1項、厚生年金保険法第82条第1項)。保険料の額は、給料の支払額ではなく標準報酬月額に保険料率を乗じて決まります(厚生年金保険法第81条第3項)。日本年金機構は、休職による休職給を受けた場合は固定的賃金の変動に該当せず、随時改定の対象にならないと案内しています。休職に入った月から、保険料が下がるわけではありません。
被保険者の資格は、事業所に使用されなくなった日の翌日に失います(健康保険法第36条、厚生年金保険法第14条)。休職は在籍したままなので、資格は続き、保険料も続きます。
免除の対象は、条文に限られています。
- 産前産後休業:事業主の申出で、開始月から終了日の翌日が属する月の前月まで免除(健康保険法第159条の3、厚生年金保険法第81条の2の2)
- 育児休業等:事業主の申出で免除(健康保険法第159条、厚生年金保険法第81条の2)
- 病気やけがでの休職:免除を定めた条文は、確かめた範囲では見つかりませんでした
払い方:会社への振込・立替・傷病手当金との関係
保険料を納める義務を負うのは事業主です(健康保険法第161条第2項、厚生年金保険法第82条第2項)。納期は、毎月の保険料を翌月末日までに納めるとされています(健康保険法第164条第1項、厚生年金保険法第83条第1項)。一方、給料がない月に、本人分をどう集めるかは法令に書かれていません。会社の休職規程で決まっています。
| 払い方の例 | しくみ | 確かめること |
|---|---|---|
| 毎月、会社に振り込む | 会社から届く請求書や案内に従い、本人分を会社の口座へ | 金額と期日(会社が納める翌月末までに間に合うか) |
| 会社が立て替え、復職後に精算 | 復職後の給料から、立替分をまとめて引く | 何か月分を、いつから引くか。分割にできるか |
| 休職前の給料から、先に預ける | 休職に入る月の給料から、見込み分を引く | 休職が延びたときの追加の払い方 |
| 傷病手当金から、精算に充てる | 保険者から本人に支給された額を、本人が会社へ払う | 会社が差し引ける定めは見当たらない。本人の同意と規程の範囲 |
出典:健康保険法第161条・第164条・第167条、厚生年金保険法第82条・第83条・第84条(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。上の表は、会社の規程でよく見られる方法の例で、どれになるかは会社によります。
会社が立て替えた分を、あとの給料から引くのが認められるかは、労働基準法第24条の「賃金は全額を支払う」原則が関わります。同条は、法令に別段の定めがある場合と、過半数組合(なければ過半数代表者)との書面による協定がある場合に、賃金の一部を控除して支払えると定めています。社会保険料を給料から引く根拠は健康保険法第167条ですが、休職中の立替分を何か月分まとめて引けるかまでは条文に書かれていないため、可否は断定できません。会社の就業規則と労使協定、人事の説明で確かめてください。
住民税も、給料から引けない期間は別の払い方になります。住民税の納付書が届かない理由に、休職中の扱いを書いています。
月いくらかかるか(計算例)
計算例を1つ置きます。当サイトが次の前提で試算した1例です。
- 前提:休職前の標準報酬月額は30万円で、休職中も変わらない。協会けんぽ東京支部、40歳未満(介護保険なし)、令和8年度の料率(健康保険9.85%+子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金18.3%、いずれも本人は半分)。雇用保険と住民税は含まない
- 本人負担:健康保険15,120円+厚生年金27,450円=月42,570円
- 事業主負担も同額で、会社が納める保険料は合計月85,140円
- 休職の期間ごとの本人負担:3か月で127,710円、6か月で255,420円、傷病手当金の支給期間の上限(通算1年6月=18か月、健康保険法第99条第4項)で766,260円
傷病手当金を受けられる場合の金額も、同じ前提(支給開始日以前12か月の標準報酬月額が30万円)で試算します。1日あたり、30万円÷30=1万円の3分の2で6,667円、30日分で200,010円です(健康保険法第99条第2項)。保険料の本人負担42,570円を引くと、手元に残るのは約15.7万円です。住民税や医療費、ほかの支払いはこの外にあります。
自分の標準報酬月額と都道府県で確かめたいときは社会保険料 計算機が使えます。標準報酬月額の決まり方は標準報酬月額の仕組みに書いています。
払えないとどうなるか
誰に、何が起きるかを分けると次のとおりです。
| 見る点 | 条文に書かれていること | 本人にとって |
|---|---|---|
| 納める義務 | 事業主が負う(健康保険法第161条第2項) | 会社が納める。本人分の集め方は会社の規程 |
| 納めないとき | 督促状、滞納処分、延滞金の定め(健康保険法第180条・第181条、厚生年金保険法第86条・第87条) | 督促を受けるのは納付義務者である事業主 |
| 保険証 | 資格を失う事由に滞納は並んでいない(健康保険法第36条) | 在籍中は資格が続く。会社との精算は別の話 |
| 本人が会社に払わないとき | 本人から事業主への支払いを定めた条文は、確かめた範囲では見つからなかった | 規程、復職後の精算、退職時の精算などで扱いが決まる |
出典:健康保険法第36条・第161条・第180条・第181条、厚生年金保険法第14条・第86条・第87条(e-Gov法令検索)。2026年10月3日確認。延滞金の割合は特例で変わるため、ここには書いていません。
払えないと感じたら、放置せずに早めに人事へ連絡するのが確実です。分割にできるか、傷病手当金が振り込まれる月まで待ってもらえるか、復職後の給料から引く形にできるかは、会社の規程と協議で決まります。
休職中に退職したら
退職すると、被保険者の資格は退職日の翌日に失います(健康保険法第36条)。資格を失った月の分の保険料は算定されないので、月末に退職すると退職月の分まで、月の途中で退職するとその前月の分までが、負担の対象です(健康保険法第156条第3項、厚生年金保険法第19条第1項)。退職する月は、給料から前月分とその月の分をまとめて引ける定めもあります(健康保険法第167条第1項)。
傷病手当金を退職後も受け取れる条件と、辞める日の決め方は休職中に退職するなら、いつ辞めるのが得か?と傷病手当金を退職後も受け取る条件に分けて書いています。
よくある質問
Q. 休職中は、社会保険料が免除されますか?
A. 病気やけがでの休職は、免除の対象ではありません。保険料の免除が条文に定められているのは、産前産後休業と育児休業等の期間だけです(健康保険法第159条・第159条の3、厚生年金保険法第81条の2・第81条の2の2)。日本年金機構の「保険料の免除等」のページも、産休・育休の項目だけで構成されています。
Q. 給料が出ない月の保険料は、いつ、どうやって払いますか?
A. 法令は、保険料を納める義務を事業主に置き(健康保険法第161条第2項、厚生年金保険法第82条第2項)、給料から引くことを「できる」と定めています。給料がない月に本人分をどう集めるかは、法令には書かれていません。会社の休職規程で、毎月の振込、会社が立て替えて復職後に精算、休職前に前もって預けるなどが決められていることが多いので、休職に入る前後に人事へ確認してください。
Q. 傷病手当金から、保険料を差し引かれますか?
A. 傷病手当金は、健康保険の保険者(協会けんぽや健康保険組合)が本人に支給するものです。法令が会社に認めているのは「報酬から」保険料を控除することで(健康保険法第167条第1項)、保険者から本人に支給される傷病手当金を会社が差し引ける定めは、確かめた範囲では見つかりませんでした。受け取った傷病手当金から本人が会社へ振り込む形にするか、別の精算方法にするかは、会社の規程と本人の同意の範囲の話です。個別の扱いは人事に確認してください。
Q. 休職で給料が下がると、標準報酬月額も下がりますか?
A. 日本年金機構は、休職による休職給を受けた場合は固定的賃金の変動に該当せず、随時改定の対象にならないと案内しています。休職に入ったことだけでは、保険料の元になる標準報酬月額は変わりません。毎年の定時決定など、別の仕組みで変わる場合はあります。
Q. 本人分を会社に払わないと、保険証は使えなくなりますか?
A. 被保険者の資格を失う事由として条文に並ぶのは、死亡、その事業所に使用されなくなったとき、第3条第1項ただし書への該当、第33条第1項の認可です(健康保険法第36条)。保険料の滞納は並んでいません。休職中も在籍している限り、資格は続きます。ただし、会社の規程で精算を求められることはあるので、払えないときは放置せず、早めに人事に相談してください。
Q. 休職中の住民税は、どうなりますか?
A. 住民税は社会保険料とは別の仕組みで、給料がないと特別徴収(給与からの天引き)ができません。切り替わり方と納付書の見方は、別のページに書いています。
参考・出典
- e-Gov法令検索 健康保険法(第36条・第99条・第156条・第159条・第159条の3・第161条・第164条・第167条・第180条・第181条)・厚生年金保険法(第14条・第19条・第81条・第81条の2・第81条の2の2・第82条〜第84条・第86条・第87条)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第24条)
- 日本年金機構 保険料の免除等(産休・育休関係)
- 日本年金機構 随時改定(月額変更届)
- 全国健康保険協会 傷病手当金
- 全国健康保険協会 令和8年度 都道府県毎の保険料率
※法令と日本年金機構の案内に書かれている範囲の整理です。保険料の払い方と精算は、勤務先の規程によって異なります。個別の判断は、勤務先の担当者か年金事務所に確認してください。