ボーナスの税金が高いのはなぜ?|所得税の率は前月の給与で決まる・社会保険料も引かれる・去年より高い理由・年末調整で戻るか
会社に勤めてボーナスをもらう方が、「手取りが思ったより少ない」と感じたときの整理です。ボーナスから引かれるのは、所得税と社会保険料です。所得税の率は前月の給与と扶養親族等の数で決まり、住民税は引かれません。計算例は当サイトの試算です。
ボーナスから引かれるもの(所得税・社会保険料・住民税)
ボーナスから引かれるのは、次のとおりです。金額が大きく見えるのは、社会保険料が所得税とは別に引かれるためです。
| 引かれるもの | 額の決まり方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 所得税 | 前月の給与と扶養の数で引いた率を、(賞与−社会保険料)に掛ける | 所得税法第186条 |
| 社会保険料 | 健康保険・厚生年金は標準賞与額に保険料率を掛ける(雇用保険は賞与の額) | 健康保険法第45条・厚生年金保険法第24条の4 |
| 住民税 | 引かれない(毎月の給与から12分の1ずつ) | 地方税法第321条の5 |
出典:e-Gov法令検索の現行版、国税庁No.2523。2026年10月3日確認。
計算例(ボーナス50万円の場合)
計算例を1つ置きます。当サイトの試算で、次の前提です。
- 前提:ボーナス50万円、前月の給与(社会保険料控除後)25万円、扶養親族等0人、40歳未満(介護保険料なし)、協会けんぽの東京都の令和8年度の料率
- 料率:健康保険料率9.85%に子ども・子育て支援金率0.23%を加えた率、厚生年金18.3%、雇用保険の労働者負担0.5%。健康保険と厚生年金は労使折半で、本人の負担分
| 項目 | 金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 健康保険料(子ども・子育て支援金を含む) | 25,200円 | 500,000円×5.040% |
| 厚生年金保険料 | 45,750円 | 500,000円×9.15% |
| 雇用保険料 | 2,500円 | 500,000円×0.5% |
| 所得税 | 17,420円 | 426,550円×4.084% |
| 住民税 | 0円 | 賞与からは引かれない |
| 引かれる合計 | 90,870円 | 額面の18.2% |
| 手取り | 409,130円 | 500,000円−90,870円 |
計算はボーナスの手取り計算機と同じです。所得税は(賞与−社会保険料)に率を掛けて1円未満を切り捨てた額。保険料率は加入する健康保険や都道府県で変わります。
この例では、社会保険料の合計が73,450円、所得税が17,420円です。引かれる額の大半は社会保険料で、所得税は額面の3.5%にあたります。賞与の保険料の仕組みは賞与の社会保険料はどう決まるにまとめています。
所得税の率は前月の給与と扶養の数で決まる
ボーナスの所得税は、そのボーナス単独の金額ではなく、前月に支払われた給与(賞与を除く)と扶養親族等の数で率が決まります(所得税法第186条第1項第1号イ)。前月の給与から社会保険料等を引いた金額が大きいほど、表の率は上の段に移ります。
同じ50万円のボーナスでも、前月の給与と扶養の数で所得税は次のように変わります(計算例と同じ前提。社会保険料は同額)。
| 前月の給与(社保控除後) | 扶養0人 | 扶養2人 |
|---|---|---|
| 20万円 | 4.084% 17,420円 | 2.042% 8,710円 |
| 25万円 | 4.084% 17,420円 | 2.042% 8,710円 |
| 30万円 | 6.126% 26,130円 | 4.084% 17,420円 |
| 35万円 | 10.210% 43,550円 | 6.126% 26,130円 |
| 40万円 | 12.252% 52,260円 | 10.210% 43,550円 |
出典:令和8年分の賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(甲欄)を、当サイトが賞与50万円・社会保険料73,450円に当てはめた試算。表の全体と引き方は賞与の所得税の算出率の表の見方へ。
前月の給与が25万円から30万円に増えると、この例では率が4.084%から6.126%に上がり、所得税は8,710円増えます。扶養が0人か2人かでも、前月の給与25万円で8,710円の差が出ます。
前月に給与の支払がないときや、ボーナスが前月の給与の10倍を超えるときは、この表ではなく月額表で別に計算します(所得税法第186条第1項第1号ロ・第2項、国税庁No.2523)。
去年より高くなる理由
去年のボーナスと同じ額面でも、手取りが減ることがあります。確かめる順番です。
- 前月の給与が増えた:昇給や手当の増加で、前月の給与(社会保険料控除後)が上の段に入ると、表の率が上がります。前の節の表のとおり、率は段階で変わるため、段をまたぐと所得税が大きく変わります(この例では前月の給与25万円と30万円で8,710円の差)
- 扶養親族等の数が減った:子どもが扶養から外れる、配偶者が扶養でなくなるなど、扶養控除等申告書の扶養の数が減ると、同じ前月の給与でも、表では扶養の少ない列の率が使われます。前の節の表のとおり、扶養が少ない列ほど率は高くなります
- ボーナスの額面が増えた:額面が増えると、社会保険料も所得税も増えます。ただし標準賞与額に上限があり、健康保険は年度累計573万円、厚生年金は1回150万円を超えた分には保険料がかかりません
- 保険料率が変わった:令和8年度は、下の表のように変わりました
| 項目 | 令和7年度 | 令和8年度 |
|---|---|---|
| 健康保険料率(協会けんぽ東京・労使合計) | 9.91% | 9.85% |
| 子ども・子育て支援金率(労使合計) | なし | 0.23%(4月分から) |
| 雇用保険料率(労働者負担) | 5.5/1,000 | 5/1,000 |
出典:全国健康保険協会「令和8年度都道府県毎の保険料率」、厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」。厚生年金保険料率は18.3%で固定(日本年金機構)。
この例(ボーナス50万円・東京都・40歳未満)で、去年と今年の保険料の本人負担を比べると、175円の増加です(当サイトの試算)。料率の改定だけで見ると、この例では差は小さく、前の節の前月の給与と扶養の数による差のほうが大きくなります。
手取りを実際の金額で確かめるには、ボーナスの手取り計算機に、額面と前月の給与、扶養の数を入れてください。
年末調整で戻るか
ボーナスの所得税は、表の率で機械的に決まる源泉徴収の額です。1年間に納めるべき所得税との差額は、年末調整で精算されます(所得税法第190条、国税庁No.2665)。
- 年末調整の対象になる人:扶養控除等申告書を出していて、1年間の給与の総額が2,000万円以下の人など。会社に勤めている方の多くが対象です
- 戻るか、追加になるか:その年に徴収された所得税の合計が年税額より多ければ戻り、少なければ追加で徴収されます。生命保険料控除などの書類を出したか、扶養の異動があったかで変わります
- 対象にならない人:扶養控除等申告書を出していない人、年の途中で退職した人(一部を除く)などは、年末調整を受けられません。確定申告が必要になる場合があります
年末調整で受けられる控除は年末調整の書き方に、戻る額の目安は年末調整でいくら戻るかの計算機にまとめています。
住民税はボーナスから引かれない
給与から特別徴収される住民税は、6月から翌年5月まで、毎月の給与の支払の際に12分の1ずつ徴収されます(地方税法第321条の5第1項)。賞与の支払のたびに別の額が引かれるわけではないので、ボーナスの明細に住民税の項目がないのは、ふつうのことです。
ボーナスで増えた所得は、翌年度の住民税の額に反映されます。住民税の仕組みは住民税のしくみに、年収ごとの目安は住民税の計算にまとめています。
よくある質問
Q. ボーナスから引かれる所得税は、どう計算されますか?
A. 前月の給与から社会保険料等を引いた金額と、扶養親族等の数で、算出率の表から率を1つ引きます。その率を「賞与から社会保険料等を引いた金額」に掛けた額が、賞与から源泉徴収される所得税です(所得税法第186条、国税庁No.2523)。率の引き方は賞与の所得税の算出率の表の見方にまとめています。
Q. 前月に給与がないときや、ボーナスが前月の給与の10倍を超えるときは?
A. 算出率の表は使わず、月額表を使って別に計算します。賞与を6(計算期間が6か月を超えるときは12)で割った額を月額表に当てはめ、6(または12)を掛け戻す方法です(所得税法第186条、国税庁No.2523)。この場合は、表の率を掛けた額とは別の計算なので、このページの計算例とは金額が変わります。
Q. ボーナスの所得税の率は、何パーセントですか?
A. 令和8年分の甲欄の率は、0%から45.945%までの段階です(復興特別所得税を含む)。どの段階になるかは、前月の社会保険料等控除後の給与と扶養親族等の数で決まります。このページの計算例(前月の給与25万円・扶養0人)は4.084%です。
Q. ボーナスで引かれすぎた所得税は、年末調整で戻りますか?
A. 年末調整は、毎月の給与と賞与から源泉徴収した所得税の合計額と、その人が1年間に納めるべき所得税の額との差額を精算するものです(国税庁No.2665)。源泉徴収の額が年税額より多ければ戻り、少なければ追加で徴収されます。戻る額や追加になる額は、年間の給与の総額と各種控除で変わるため、ここでは見込みを示しません。扶養控除等申告書を出していない人や、1年間の給与が2,000万円を超える人は年末調整の対象外です。
Q. ボーナスから住民税は引かれますか?
A. 引かれません。給与から特別徴収される住民税は、6月から翌年5月まで、毎月の給与の支払の際に12分の1ずつ徴収するものと定められています(地方税法第321条の5第1項)。賞与の支払のたびに別に引かれる仕組みではありません。ボーナスで増えた所得は、翌年度の住民税の額に反映されます。
Q. 扶養控除等申告書を出していないと、ボーナスの所得税は高くなりますか?
A. 扶養控除等申告書を出していない人には、算出率の表の乙欄が使われます(所得税法第186条第1項第2号)。乙欄は扶養親族等の数では分かれず、前月の社会保険料等控除後の給与の金額で5段階の率に分かれます。表の数字は賞与の所得税の算出率の表の見方に載せています。
Q. ボーナスが高額だと、社会保険料も比例して増え続けますか?
A. 標準賞与額には上限があり、健康保険は年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計で573万円、厚生年金は1回につき150万円です(健康保険法第45条第1項、厚生年金保険法第24条の4第1項)。上限を超えた分には、その保険の保険料はかかりません。
参考・出典
- e-Gov法令検索 所得税法(第186条・第190条)・健康保険法(第45条・第156条・第167条)・厚生年金保険法(第24条の4・第84条)・地方税法(第321条の5)
- 国税庁 No.2523 賞与に対する源泉徴収・No.2665 年末調整の対象となる人
- 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表(賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表)
- 全国健康保険協会 令和8年度都道府県毎の保険料率・厚生労働省 令和8年度 雇用保険料率のご案内・日本年金機構 厚生年金保険の保険料
※法令と公的機関の案内に書かれている範囲の整理で、計算例は当サイトの試算です。所得税の額は、前月の給与や扶養の数、会社の給与計算の方法で変わります。個別の判断は、勤務先の給与担当者や税務署、年金事務所の窓口でご確認ください。