同居老親等の年末調整の書き方|親の年金収入から所得の見積額を出す・要件・老人ホームに入った親・別居の親
会社に勤めている方向けの解説です。70歳以上の親と同居していると、扶養控除等申告書の「同居老親等」にチェックを付けて、所得税の控除が58万円になります。別居の親は48万円です。申告書に書く「所得の見積額」は、親が年金だけなら「年金収入−110万円」で出せます。令和8年分は、年金収入172万円以下なら所得の見積額が62万円以下で、対象です。
同居老親等の要件と控除額
親を扶養に入れたときの扶養控除は、親の年齢と同居の有無で3つに分かれます。年齢は、その年の12月31日現在で見ます。
| 区分 | 当てはまる親 | 控除額(所得税/住民税) |
|---|---|---|
| 同居老親等 | 70歳以上で、あなたかあなたの配偶者の父母・祖父母など。あなたか配偶者と普段同居している | 58万円/45万円 |
| 同居老親等以外の老人扶養親族 | 70歳以上で、同居していない親など | 48万円/38万円 |
| 一般の控除対象扶養親族 | 16歳以上70歳未満 | 38万円/33万円 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(令和8年4月1日現在法令等)、租税特別措置法第41条の16、地方税法第314条の2第1項第11号・第4項、2026年10月2日確認。住民税の控除は、前年の所得で計算されます。
どの区分でも、扶養親族になる条件は共通です。あなたと生計を一にしていること、合計所得金額が62万円以下であること(令和8年12月1日施行、令和8年分から適用)、青色事業専従者などでないことです。親が給与だけの場合は給与収入136万円以下が目安です。
扶養控除等申告書の書き方全般は扶養控除等申告書の書き方、控除額の計算は同居老親等の控除 計算ツールにあります。
親の年金収入から所得の見積額を出す
申告書には、親の「令和8年中の所得の見積額」を書きます。年金だけの親なら、年金収入から公的年金等控除を引いて出します。65歳以上の親の速算は、国税庁のタックスアンサー No.1600 の表で、年金収入が110万円以下なら0円、110万円超330万円未満なら「収入−110万円」です。
| 親の年金収入(年額) | 所得の見積額 | 62万円以下か |
|---|---|---|
| 110万円 | 0万円 | 対象 |
| 150万円 | 40万円 | 対象 |
| 168万円 | 58万円 | 対象 |
| 172万円 | 62万円 | 対象 |
| 173万円 | 63万円 | 対象外 |
| 200万円 | 90万円 | 対象外 |
出典:国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係(令和2年分以後の速算表、年金以外の所得が1,000万円以下の区分)、No.1180、2026年10月2日確認。親が65歳以上で年金収入だけの場合の計算です。年金のほかに給与などの所得があるときは、合計して62万円以下かを見ます。
年金収入の境目は172万円(110万円+62万円)です。国税庁の令和8年分の記載例の欄外には、年金収入168万円で所得58万円という表がありますが、これは改正前の58万円を基準にした表です。国税庁のQ&Aも、令和8年分の様式の裏面の注意事項等が改正前の内容になっている場合があると注意しています。令和8年分の年末調整は、62万円(年金収入172万円)で見ます。
遺族厚生年金や遺族基礎年金などの非課税の年金は、扶養親族に当たるかを判定する合計所得金額に含まれません(国税庁 No.1180 のQ&A)。
申告書のどこに何を書くか
親は、扶養控除等申告書の「源泉控除対象親族」の欄に書きます。国税庁の令和8年分の記載例(父・昭和22年5月8日生まれ)は、次のように書いています。
| 欄 | 書くこと | 記載例の父 |
|---|---|---|
| 老人扶養親族(昭32.1.1以前生) | あなたかあなたの配偶者の直系尊属で、どちらかと同居を常況としていれば「同居老親等」。それ以外は「その他」 | 「同居老親等」にチェック |
| 令和8年中の所得の見積額 | 年金だけなら、前の章の式で出した額 | 300,000円 |
| 住所又は居所 | 親の住所。同居の親は、あなたと同じ住所になる | 〃(上の欄と同じ) |
| 異動月日及び事由 | 令和8年12月1日の改正で新たに対象になった親は「令和8年12月1日 改正」などと書く | 空欄 |
出典:国税庁「《記載例》令和8年分扶養控除等申告書」(記載例の画像で照合)、「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」Q2-1、2026年10月2日確認。氏名、生年月日、個人番号などの書き方は、扶養控除等申告書の書き方のページにあります。
年末調整は、年末調整を行う時までに申告書を出している人が対象です。申告書の提出時期は、年末調整の書類はいつ届く・いつまでに出すにまとめています。改正で新たに対象になった親を書くときも、年末調整を行う時までに出せば、その申告に基づいて年末調整してもらえると、国税庁のQ&Aに書かれています。
入院した親・老人ホームに入った親
「同居」は、普段の生活で同居している状態です。入院と老人ホームで、扱いが分かれます。
| 親の状況 | 同居の扱い(国税庁) | 所得税の控除額 |
|---|---|---|
| 同居している | 同居 | 58万円 |
| 病気の治療で入院して別居している | 1年以上の長期でも、同居に該当するものとして取り扱って差し支えない | 58万円 |
| 老人ホーム等に入所した | その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえない | 48万円 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.1180 扶養控除(注)、2026年10月2日確認。控除額は、所得要件などの条件を満たしている場合です。
老人ホームに入所した親は、申告書の老人扶養親族の欄で「同居老親等」ではなく「その他」にチェックを付けます。生計を一にしているかどうかは、同居とは別に見る条件です。施設に入所した親について、生計を一にしているとされる範囲は、ここで引用した国税庁の原文には見つかりませんでした。迷うときは、勤務先の担当部署か税務署に確認してください。
別居の親は老人扶養親族として受けられる
別居の親でも、70歳以上で所得要件を満たし、生計を一にしていれば、老人扶養親族として所得税48万円の扶養控除を受けられます。同居老親等の10万円の加算(租税特別措置法第41条の16)がないだけです。
別居の親で気をつけるのは「生計を一にする」の中身です。国税庁によると、必ずしも同居を要件とせず、別居していても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合は、生計を一にするものとして取り扱われます。別居している親を扶養控除の対象にするには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど、生計を一にしていることが必要です。会社に証明書類を出すことまでは法令上は求められていませんが、国税庁は、振込票や書留の写しなどで送金の事実を確認することをお勧めしています。
兄弟で親に送金している場合、扶養控除の対象にできるのは兄弟のうちだれか1人だけです。均等に送金していても、重複して控除を受けることはできません。
いくら戻るか
年収500万円の人が、年金収入150万円(所得の見積額40万円)の親を扶養に入れた場合、同居なら所得税と住民税で合わせて74,609円、別居なら62,504円軽くなります。
| あなたの年収 | 同居老親等(58万円) | 別居(48万円) |
|---|---|---|
| 300万円 | 71,648円 所得税26,648円・住民税45,000円 | 62,504円 所得税24,504円・住民税38,000円 |
| 500万円 | 74,609円 所得税29,609円・住民税45,000円 | 62,504円 所得税24,504円・住民税38,000円 |
| 700万円 | 123,617円 所得税78,617円・住民税45,000円 | 106,407円 所得税68,407円・住民税38,000円 |
社会保険料は協会けんぽ東京の料率での概算で、ほかの控除は考えていない目安です。親の年金収入150万円、会社員・令和8年分で計算しています。実際の金額は、勤務先の年末調整で決まります。年収や親の年金収入を入れて計算するには、同居老親等の控除 計算ツールをお使いください。
よくある質問
Q. 同居老親等とは、どんな親のことですか?
A. 国税庁によると、老人扶養親族(その年12月31日現在で70歳以上の控除対象扶養親族)のうち、納税者またはその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者またはその配偶者と普段同居している人です。所得税の控除額は58万円で、同居老親等以外の老人扶養親族の48万円より10万円多くなります。
Q. 親の年金収入がいくらまでなら、扶養に入れられますか?
A. 親が65歳以上で年金収入だけの場合、公的年金等控除が110万円なので、年金収入172万円以下なら所得の見積額は62万円以下です。令和8年分は、扶養親族の合計所得金額の要件が62万円以下になります(令和8年12月1日施行、令和8年分から適用)。遺族年金など非課税の年金は、この所得に含まれません。年金のほかに給与や不動産の所得がある場合は、合計した所得で62万円以下かを見ます。
Q. 親がパートで働いていて、年金と給与の両方があります。
A. 合計所得金額で判定します。年金の所得は「年金収入−110万円」、給与の所得は「給与収入−給与所得控除」で、令和8年分の給与所得控除の最低額は74万円です。給与だけの場合は給与収入136万円以下が目安と、国税庁が書いています。両方ある場合は、2つの所得を足して62万円以下かを見ます。
Q. 令和8年12月の改正で、新たに対象になった親は、どう書きますか?
A. 国税庁のQ&Aでは、令和8年分の扶養控除等申告書の記載事項に変更はありません。新たに対象になった親族を書くときは、「異動月日及び事由」欄に「令和8年12月1日 改正」などと書くとされています。年金収入だけの親なら、168万円超172万円以下だった人が当てはまります。提出は、年末調整を行う時までに出せば、その申告に基づいて年末調整してもらえます。ただし、11月30日以前に支払う給与の源泉徴収では、新たに対象になった人を扶養親族等の数に含めない扱いです。
Q. 老人ホームに入所した親は、同居老親等になりますか?
A. 国税庁は、老人ホーム等へ入所している場合には、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえないとしています。それまで同居していても、入所後は同居老親等ではなく、同居老親等以外の老人扶養親族(所得税48万円)として扱います。ただし、病気の治療のため入院していて別居している場合は、1年以上の長期でも、同居に該当するものとして取り扱って差し支えないとされています。
Q. 別居している親でも、扶養に入れられますか?
A. 入れられます。国税庁は、別居している人を扶養控除の対象にするには、常に生活費、療養費等の送金が行われているなど「生計を一」にしていることが必要としています。この場合の控除額は、同居老親等の加算がない48万円です。
Q. 兄弟で親の生活費を送っています。2人とも扶養に入れられますか?
A. 入れられません。国税庁は、兄弟のうちだれか1人だけが扶養控除の対象にでき、兄弟が均等に送金していても、それぞれが重複して控除の対象にすることはできないとしています。
参考・出典
- 国税庁 No.1180 扶養控除・同Q&A・No.1600 公的年金等の課税関係(2026年10月2日確認)
- 国税庁 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A・《記載例》令和8年分扶養控除等申告書(2026年10月2日確認)
- 所得税法(e-Gov)第2条第1項第34号・第34号の4・第84条・租税特別措置法(e-Gov)第41条の16・地方税法(e-Gov)第314条の2(2026年10月2日確認)
※国税庁と条文に書かれている範囲の整理です。親が扶養親族に当たるか、生計を一にしているかは個別の事情で変わります。個別の判断は、勤務先の担当部署、税務署でご確認ください。