介護医療保険料控除とは|対象になる保険・ならない保険・上限4万円・いくら戻るか・申告書の書き方

会社に勤めていて、医療保険やがん保険に入っている方向けの解説です。介護医療保険料控除は、平成24年1月1日以後に結んだ、医療費などの支払いに基因して保険金が支払われる保険の保険料に対する所得控除です。上限は所得税が4万円、住民税が2.8万円で、年間の保険料が8万円(月6,667円)を超えても控除額は変わりません。年収500万円の方が年8万円を払っている場合、所得税2,042円と住民税2,800円が目安です。対象になる契約・ならない契約を国税庁と e-Gov 法令検索の原文で整理し、保険料控除申告書のどの欄に書くかを国税庁の記載例で確かめました。

対象になる保険・ならない保険

所得税法第76条第2項は、介護医療保険料を「病院又は診療所に入院して医療費を支払ったことその他の政令で定める事由に基因して保険金等を支払うことを約する部分」に係る保険料としています。政令(施行令第208条の6)が定める事由は、疾病・傷害を原因とする人の状態に基因して生ずる医療費その他の費用を支払ったこと、疾病・傷害またはこれらを原因とする人の状態(約款に定めがある場合に限る)、疾病・傷害により就業することができなくなったこと、の3つです。商品名ではなく、保険金が何を理由に支払われるかで決まります。

契約介護医療保険料控除根拠
平成24年1月1日以後に結んだ、生命保険会社・損害保険会社などの疾病・傷害の保険契約で、医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるもの対象所得税法76条2項・7項、施行令208条の6
がん保険(平成24年1月1日以後に結んだもの)対象国税庁 質疑応答事例「がん保険の保険料」
平成23年12月31日以前に結んだ、いわゆる第三分野の保険(医療保険や介護保険)対象外。旧生命保険料として一般の生命保険料の段に書く国税庁 No.1140(旧契約の注1)、76条6項4号
傷害特約など、保険金等の支払事由が身体の傷害のみの契約・特約対象外76条6項4号、国税庁 質疑応答事例「傷害特約付生命保険契約の特約の更新」
外国への旅行のために住居を出発してから帰着するまでの間に発生した疾病・傷害に基因して保険金等が支払われる契約対象外施行令209条3項
外国生命保険会社等・外国損害保険会社等が国外で結んだ契約、信用保険契約、傷害保険契約、財形貯蓄契約、保険期間5年未満の貯蓄保険・貯蓄共済対象外国税庁 No.1141(注)
保険金等の受取人に、保険料の払込みをする人・その配偶者その他の親族以外が含まれる契約対象外76条7項
生存・死亡の保障と医療の保障が一体の契約主たる保障内容で区分。医療が主たる内容として金融庁長官が定めた契約は介護医療保険料、それ以外は新生命保険料国税庁 No.1140(注3)、施行令208条の3・208条の7

出典:e-Gov法令検索「所得税法」76条、「所得税法施行令」208条の3・208条の6・208条の7・209条(いずれも2026年10月2日確認)、国税庁 No.1140・No.1141、質疑応答事例(所得税)。

どの区分の保険料になっているかは、保険会社から届く控除証明書で確かめます。国税庁の記載例の証明書見本には、介護医療保険料(C)、配当金(相当額)(D)、介護医療証明額(C-D)の欄があります。会社別の証明書の見方は生命保険料控除証明書の見方(保険会社別)にまとめています。

上限は所得税4万円・住民税2.8万円

介護医療保険料の控除額は、年間に支払った保険料(その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残り)に応じて、次のとおりです。所得税は76条2項、住民税は地方税法314条の2第1項5号ロの式です。

年間の支払保険料等所得税の控除額住民税の控除額
20,000円20,000円16,000円
40,000円30,000円24,000円
60,000円35,000円28,000円
80,000円40,000円28,000円
120,000円40,000円28,000円

所得税の控除額は、e-Gov法令検索「所得税法」76条2項の式(国税庁の計算式Ⅰと同じ)。住民税の控除額は、地方税法314条の2第1項5号ロの式で、このサイトの生命保険料控除 計算ツールと同じです。

所得税では、年間の保険料が8万円を超えると、控除額は4万円で頭打ちです。住民税は、5.6万円を超えると2.8万円で頭打ちです。一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の3つは別々に計算して合計し、合計の上限は所得税が12万円、住民税が7万円です(所得税法76条4項、地方税法314条の2第1項5号)。

支払った保険料の区分は、他の区分に振り替えられません。国税庁の年末調整のしかたは、新個人年金保険料を介護医療保険料に含めることなどを例に挙げています。また、保険料を払った本人が控除を受けられ、保険金等の受取人の全てが本人・配偶者・親族であることが必要です。

いくら戻るか(年収別)

介護医療保険料だけを払っていて、ほかの生命保険料控除がない場合の目安です。戻る額は、所得税の還付(年末調整で精算)と、翌年6月からの住民税の軽減(年額)の合計で見ます。

年間の保険料控除額(所得税)戻る額
年24,000円(月2,000円)22,000円所得税1,123円+住民税1,800円
年48,000円(月4,000円)32,000円所得税1,633円+住民税2,600円
年80,000円(月6,667円)40,000円所得税2,042円+住民税2,800円

年収500万円(額面)の場合。東京都・40歳未満・配偶者控除や扶養控除なしの概算で、tools/nenmatsu-kanpu と同じ前提です。

年間の保険料が8万円(所得税の控除額40,000円)のとき、年収によって戻る額は次のように変わります。

年収(額面)所得税の還付住民税の軽減(年額)
300万円2,042円2,800円
400万円2,042円2,800円
500万円2,042円2,800円
600万円4,084円2,800円
800万円8,168円2,800円

前提は上の表と同じです。実際の額は、他の所得控除や住んでいる自治体によって変わります。

戻る額を自分の年収と他の控除を含めて確かめるには、年末調整でいくら戻るか 計算ツールが使えます。

申告書の介護医療保険料の欄の書き方

介護医療保険料は、「給与所得者の保険料控除申告書」の「生命保険料控除」の「介護医療保険料」の段に書きます。国税庁の記載例(令和8年分)で、この段に書く内容は次のとおりです。申告書全体の書き方は保険料控除申告書の書き方にまとめています。

書く欄書くこと国税庁の記載例
保険会社等の名称・保険等の種類・保険期間生命保険料控除証明書や契約書類を参考に書く●●生命・介護・10年
契約者の氏名・受取人の氏名受取人は、あなたまたはあなたの配偶者や親族であることが必要山川 太郎・山川 明子
あなたが本年中に支払った保険料等の金額(a)契約ごとに書く。証明書の「介護医療証明額(C-D)」が参考になる80,000円
(a)の金額の合計額(C)と控除額合計額を計算式Ⅰに当てはめて、控除額を出す合計80,000円から40,000円(最高40,000円)
生命保険料控除額の計一般の生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の控除額の合計。12万円が上限60,000円+40,000円+47,500円=147,500円から、最高120,000円

出典:国税庁「令和8年分 各種控除について(給与所得者用)」の保険料控除申告書の記載例、「令和8年分 年末調整のしかた」21〜24ページ、2026年10月2日確認。記載例の介護医療保険料の段には、一般の生命保険料の段にある新・旧の○印を付ける欄は描かれていません。

年末調整のしかたによると、新生命保険料以外の保険料(介護医療保険料を含む)は、金額にかかわらず全て、保険料を支払ったことなどの証明書類を保険料控除申告書に添付する必要があります。証明書が会社への提出日までに届かないときの扱いや、会社が団体で払っている保険料の扱いは生命保険料控除証明書の見方(保険会社別)にあります。

よくある質問

Q. がん保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象になりますか?

A. 国税庁の質疑応答事例「がん保険の保険料」は、がん保険の保険料は生命保険料控除の対象になると答えています。がんに罹患した場合に一定の保険金が支払われるもので、施行令第208条の6第2号の「疾病若しくは身体の傷害又はこれらを原因とする人の状態」に基因して保険金等が支払われるものと認められるためです。契約が平成24年1月1日以後なら介護医療保険契約等、平成23年12月31日以前なら旧生命保険契約等に当たります。

Q. 医療保険に傷害特約が付いています。その保険料も控除の対象ですか?

A. 傷害特約の部分は対象になりません。国税庁の質疑応答事例「傷害特約付生命保険契約の特約の更新」は、身体の傷害のみに基因して保険金が支払われる傷害特約は、新生命保険契約等にも介護医療保険契約等にも該当せず、その保険料は生命保険料控除の対象とならないと答えています。新契約は主契約や特約の保障内容に応じて、保険料が区分されます(No.1140の注2)。証明書に載る金額が、実際に払った保険料より少ないことがあります。

Q. 「貯蓄型」の医療保険は、介護医療保険料になりますか?

A. 「貯蓄型」という区分は、条文や国税庁の資料にはありません。1つの契約に、生存・死亡の保障と、医療の保障が一体になっているときは、国税庁のNo.1140の注3のとおり、主たる保障内容に応じて控除が適用されます。施行令第208条の7は、医療の保障を主たる内容として金融庁長官が定めた契約(特定介護医療保険契約)の保険料を介護医療保険料とし、それ以外は新生命保険料としています。どちらの区分になるかは、保険会社から届く控除証明書の記載で確かめます。

Q. 平成23年以前に入った医療保険は、介護医療保険料控除になりますか?

A. なりません。介護医療保険契約等は、平成24年1月1日以後に締結した契約です(所得税法第76条第7項)。国税庁のNo.1140は、旧契約に基づくいわゆる第三分野の保険(医療保険や介護保険)の保険料も旧生命保険料になるとしています。旧生命保険料は、申告書の「一般の生命保険料」の段に書きます。平成24年1月1日以後に、旧契約へ特約などを付けて新契約を締結した場合は、その旧契約は同日以後に締結した契約とみなされます(76条10項)。

Q. 年末調整で出し忘れた場合は、どうすればよいですか?

A. 国税庁のNo.1140によると、生命保険料控除を受けるには、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入し、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を、確定申告書に添付するか、提出の際に提示します。年末調整で控除を受けた分は、確定申告でその書類を出す必要がありません。

参考・出典

※法令と国税庁の資料に書かれている範囲の整理です。個々の保険契約が介護医療保険料に当たるかは、保険会社から届く控除証明書と、勤務先の年末調整の担当部署にご確認ください。

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