源泉徴収票がもらえないときは?交付期限と、税務署への不交付の届出書

給与を払った会社には、源泉徴収票を本人に交付する義務があります。期限は、年末調整をした分は翌年1月31日まで、年の途中で退職した人は退職の日以後1か月以内です(所得税法226条)。その期限を過ぎてももらえないときは、まず勤務先に交付を求め、それでも交付されなければ、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す手続があります(国税庁)。

会社の交付義務と期限

所得税法226条は、給与を支払った者が、その年に支払が確定した給与について、受け取る人ごとに源泉徴収票を作って本人に交付しなければならないと定めています。交付期限は、次のとおりです。

あなたの場合交付期限根拠
その年の最後まで勤めた(年末調整を受けた)翌年1月31日まで所得税法226条1項
年の途中で退職した退職の日以後1か月以内所得税法226条1項
退職金(退職手当等)を受け取った退職の日以後1か月以内(別の票)所得税法226条2項

出典:e-Gov法令検索 所得税法 第226条、国税庁 タックスアンサー No.7411(2026年10月2日確認)。

会社が本人の承諾を得れば、紙ではなく電磁的方法(電子交付)で提供することもできます。ただし、本人から請求があるときは、書面で交付しなければなりません(226条4項。No.7411)。

交付の相手は、正社員だけではありません。No.7411は、税務署に出す範囲とは関係なく、すべての受給者に交付しなければならないと書いています。年収が少ないアルバイトも、同じです。

もらえないときの順番

交付期限を過ぎても届かないときの流れは、国税庁の確認用の資料(フローチャート)では次のとおりです。

  1. 期限を過ぎているか確かめる:退職なら退職後1か月、それ以外は翌年1月31日です。期限前は、勤務先の事務手続中の場合があるので、しばらく待つか、交付時期を問い合わせます。
  2. 勤務先に交付を求める:直接会って、電話、文書のどれでもかまいません。国税庁は、いつ・どこで・誰に・どのような方法で・相手がどう答えたかをメモに残すよう案内しています。
  3. それでも交付されなければ、税務署に届出書を出す:下の「税務署への届出書のしくみ」に書きます。

最初にすることは、会社への「求めた」記録です

税務署の届出書には、勤務先に交付を求めたことが分かる書類等を添付します。メールや書面で求めると、あとで記録が残ります。電話や面談で求めた場合も、日時・相手・内容をメモに書いておきます。

税務署への届出書のしくみ

国税庁の手続案内「源泉徴収票不交付の届出手続」は、源泉徴収票が支払者から交付されない場合の手続です。

項目内容
対象になる人源泉徴収票を交付されなかった受給者
出せる時期交付期限を過ぎたあと、随時
添付するもの給与支払明細書の写し(保存している場合)/勤務先に交付を求めたことが分かる書類等
出し先納税地等を所轄する税務署長(e-Taxまたは書面で、持参か送付)

出典:国税庁 F5-4 源泉徴収票不交付の届出手続、「『源泉徴収票不交付の届出書』を提出される前に、ご確認ください。」(2026年10月2日確認)。

国税庁の確認用の資料には、出す前に確かめる点が3つ挙がっています。

  • 雇用契約に基づく給与か:請負契約に基づく報酬など、給与でないお金には、給与所得の源泉徴収票は発行されません。
  • 初めての交付か:一度交付を受けた票の再発行を求める手続ではありません。再発行は、自分で勤務先に依頼します。
  • 勤務先に交付を求めたか:求めていなければ、まず自分で勤務先に求めます。

届出書を出せば、必ずもらえるとは限りません

国税庁の留意事項によると、届出書を受けた税務署は、勤務先に源泉徴収票を交付するよう行政指導を行います。行政指導には法律上の拘束力はなく、相手の自主的な協力が前提です。届出書を出した後も、自分でも勤務先に交付を求め続けるよう案内されています。

書面の様式は国税庁の手続案内のページに掲載されています。様式は改正されることがあるので、出す前にそのページの最新のものを使ってください。

退職・アルバイト・個人経営・転職の場合

  • 退職した:退職の日以後1か月以内が交付期限です。年末調整は受けていないので、年の途中で退職して再就職しない場合は、翌年の確定申告で納めすぎの所得税が戻ることがあります(No.1910)。
  • アルバイト:交付の義務は、正社員とアルバイトで分かれていません(No.7411)。届出書に添付する給与支払明細書の写しは、保存している場合に出します。毎月の給与明細をとっておくと使えます。
  • 個人経営の店で働いていた:所得税法183条は、給与の支払をする「者」に源泉徴収を求めていて、法人か個人かで分けていません。除かれているのは、184条の「常時二人以下の家事使用人のみに」給与を支払う者だけで、個人であることそのものは例外の理由になっていません。個別の場合に当たるかどうかは、所轄の税務署にご確認ください。
  • 転職先の年末調整に出したい:前職の給与は、前の会社から交付された源泉徴収票などで確認します。確認できないときは、転職先で年末調整はできず、本人が確定申告で精算します(No.2674)。くわしくは転職した年の年末調整へ。
  • 業務委託・請負の報酬:給与でないので、給与所得の源泉徴収票は発行されません。確定申告は業務委託の確定申告に書きました。

確定申告までに間に合わないとき

確定申告書に源泉徴収票を添付するかどうかは、国税庁の確定申告の手引き(令和7年分)に「申告書については、源泉徴収票等の添付又は提示は不要」と書かれています。ただし、税務署等で申告書を作る場合は、源泉徴収票等を持参するよう案内されています。

給与の額や源泉徴収税額は、源泉徴収票の欄から申告書へ転記します。源泉徴収票がないときに、給与明細だけで申告書を書いてよいかは、取得した国税庁の原文には書かれていませんでした。この記事では扱いません。申告書の書き方は、所轄の税務署にご確認ください。

戻る税金の申告なら、5年の余裕があります

納めすぎの税金を取り戻す還付申告は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。届出書の手続で時間がかかっても、期限に追われにくいのは還付申告のほうです。納める税金がある申告の期限と、期限後の扱いは確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。

源泉徴収票が手元に届いたら、書かれている項目の意味は源泉徴収票の見方で確認できます。

よくある質問

Q. 源泉徴収票を紛失してしまいました。届出書を出せますか?

A. 出せません。国税庁の手続案内は、一度交付を受けた源泉徴収票の再発行は「源泉徴収票不交付の届出」の対象外としています。この場合は、勤務先に再発行を依頼します。

Q. 退職して1か月以上たつのに、源泉徴収票が届きません。

A. 年の途中で退職した人への源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付することとされています(所得税法226条1項)。交付期限を過ぎても届かないときは、まず勤務先に交付を求めて、そのやりとりを記録しておきます。それでも交付されないときが、税務署への届出書の対象です。

Q. 勤務先に交付を求めた記録がないと、届出書は出せませんか?

A. 国税庁の確認用の資料は、届出書に「勤務先に対して、源泉徴収票の交付を求めたことが分かる書類等」を添付するよう案内しています。交付を求めていない場合は、まず勤務先に求めるよう案内されています。口頭や電話で求めた場合も、いつ・どこで・誰に・どんな方法で・どんなやりとりをしたかをメモに残します。

Q. 税務署に届出書を出せば、必ず源泉徴収票をもらえますか?

A. 国税庁の資料では、届出書を受けた税務署が勤務先に交付するよう行政指導を行います。ただし行政指導には法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力が前提とされています。届出書を出した後も、自分でも継続して勤務先に交付を求めるよう案内されています。

Q. 業務委託や請負で報酬をもらっていた場合も、源泉徴収票は出ますか?

A. 国税庁の確認用の資料は、請負契約に基づく報酬など、雇用契約に基づく給与でない場合は「給与所得の源泉徴収票は発行されません」としています。給与でない報酬の確定申告は、別の記事にまとめています。

参考・出典

※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

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