年末調整の間違いに気づいたら?訂正できる期限と、過ぎたあとの確定申告
会社に年末調整の書類を出したあとで間違いに気づいたときは、まず会社の担当部署に申し出ます。国税庁の手引きでは、年末調整が終わったあとでも、会社は翌年1月の源泉徴収票を交付する時まで、申告書を出し直してもらって年末調整をやり直す(再計算する)ことができます。その時を過ぎたら、確定申告で直します。戻る税金なら、翌年1月1日から5年間、還付申告ができます(No.2030)。この記事は、会社に勤めていて年末調整を受ける(受けた)方向けです。
気づいた時期ごとの直し方
年末調整の間違いは、気づいた時期で直す方法が変わります。国税庁の「年末調整のしかた」と「年末調整Q&A」の範囲では、次の3つです。
| 気づいた時期 | 直し方 | 根拠 |
|---|---|---|
| 年末調整の前 | 会社に申し出る。会社は訂正を依頼して、適正な額で年末調整をする | Q&A問13 |
| 年末調整のあと〜翌年1月の源泉徴収票の交付前 | 会社が年末調整を再計算できる(申告書を出し直す) | 年末調整のしかた、Q&A問10〜12 |
| 源泉徴収票の交付のあと | 確定申告で直す | No.2030 |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、「令和8年分 年末調整Q&A」、タックスアンサー No.2030(2026年10月2日確認)。
再計算は、国税庁の原文では「することができる」と書かれています。会社に頼めるかどうかは、会社の年末調整の日程にも左右されます。気づいたら、早めに申し出るほうが確実です。
12月31日の時点で決まる控除もあります
扶養控除の対象になるかどうかは、その年の12月31日の現況で判定します。国税庁のQ&A問10は、12月20日に年末調整が終わったあとで、12月25日に父が控除対象扶養親族に該当することになった例で、その年分の扶養控除を受けられるとしています。
会社に頼める再調整の中身
「年末調整のしかた」の「年末調整後に給与の追加払や扶養親族等の異動があった場合の再調整」と、Q&A問10〜12から、会社に出し直す書類を整理しました。いずれも、会社が再計算できるのは翌年1月末日まで(源泉徴収票を交付する時まで)です。
| 気づいたこと | 会社に出す書類 | 根拠 |
|---|---|---|
| 保険料控除の書類の出し忘れ、年末調整のあとに保険料を払った | 給与所得者の保険料控除申告書 | しかた、Q&A問12注1 |
| 配偶者控除等申告書の出し忘れ | 給与所得者の配偶者控除等申告書 | Q&A問12 |
| 基礎控除・特定親族特別控除・所得金額調整控除の申告書の出し忘れ | それぞれの申告書 | Q&A問12注1 |
| 年末調整のあと12月31日までに、扶養親族の数が変わった | 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | しかた、No.2671、Q&A問10 |
| 12月31日までに子が生まれた(年収850万円超の人の所得金額調整控除) | 所得金額調整控除申告書 | Q&A問11 |
| 住宅ローン控除の申告書が、年末調整のあとになった | 住宅借入金等特別控除申告書 | しかた |
出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(43ページ)、「令和8年分 年末調整Q&A」問10〜12、No.2671(2026年10月2日確認)。表の「しかた」は「年末調整のしかた」です。
配偶者や特定親族、本人の合計所得金額の見積額が、あとで確定した額とずれて控除額が変わるときも、国税庁は異動後の状況で再調整できるとしています(同43ページ)。
控除対象扶養親族の数が減って税額が増える場合は、会社が不足分を徴収する必要があり、国税庁は会社向けに、翌年の1月末日以降であってもやり直しを行う必要があると書いています(No.2671)。
書き間違いの訂正の仕方
書類の書き間違いは、会社の担当部署に申し出ます。国税庁のQ&A問13は、基礎控除申告書や配偶者控除等申告書の収入金額・控除額に誤りがあった例で、給与の支払者が従業員に記載内容の訂正を依頼するなどして、適正な額で年末調整を行うよう案内しています。
二重線や訂正印が必要かどうかは、取得した「年末調整のしかた」と「年末調整Q&A」には書かれていませんでした。この記事では扱いません。書き直し方は、会社の担当部署の指示に従ってください。
収入の見積りがずれたら、金額欄を見直します
Q&A問13は、基礎控除申告書に書いた給与の収入金額より、実際に支払った給与のほうが多かった例を取り上げています。収入の見積りがあとで変わったときは、基礎控除の額や配偶者控除の額の欄にも影響します。会社から確認の連絡が来たら、早めに答えてください。
過ぎたら確定申告:戻る場合と、税額が増える場合
戻る税金がある場合は、還付申告をします。還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます(No.2030)。令和8年分なら、令和9年1月1日から5年間です。年末調整の再計算によらず、確定申告で減る税額の還付を受けることもできると、国税庁のQ&Aは書いています。
源泉徴収税額が0なら、戻る税金もありません
還付は、すでに源泉徴収された所得税がある場合に発生します。給与の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄が0の方は、申告しても還付される所得税額はありません(No.2030)。
すでに確定申告を出していて、税額が増えると分かった場合は、修正申告をします。国税庁のNo.2026は、誤りを把握したらできるだけ早く修正申告をするよう案内しています。税務署の調査の事前通知の前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税はかかりません。新たに納める税金には、納付の日までの延滞税もかかります。
すでに確定申告を出していて、納めすぎだった場合は、更正の請求ができます。期間は原則、法定申告期限から5年以内です(No.2026)。
期限を過ぎた申告の加算税・延滞税の目安は確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。年末調整の対象外だった場合の流れは年末調整を出さないとどうなるへ。
よくある質問
Q. 年末調整の書類を出したあとで、書き間違いに気づきました。どうすればよいですか?
A. 会社の年末調整の担当部署に早めに申し出ます。国税庁の「令和8年分 年末調整Q&A」は、提出された申告書の記載に誤りがある場合、給与の支払者が従業員に記載内容の訂正を依頼するなどして、適正な額で年末調整を行うよう案内しています(問13)。
Q. 保険料控除の証明書を出し忘れました。間に合いますか?
A. 年末調整が終わったあとでも、「給与所得者の保険料控除申告書」を出せば、翌年1月に源泉徴収票を交付する時まで、年末調整の再計算ができるとされています(Q&A問12の注1、「年末調整のしかた」)。証明書類を翌年1月末日までに出すことを条件に年末調整を受けた場合は、その日までに出さないと、その保険料を除いて再計算され、不足額が徴収されます(同手引き)。
Q. 源泉徴収票をもらったあとで間違いに気づきました。
A. 会社が年末調整を再計算できる期限は、翌年1月の源泉徴収票を交付する時までです。交付後は、会社の再調整ではなく確定申告で直します。税金が戻る場合は還付申告をします(No.2030)。
Q. 再調整と確定申告は、どちらがよいですか?
A. 国税庁のQ&Aは、年末調整の再計算によらず、確定申告で、減る税額の還付を受けることもできるとしています(問10〜12)。会社に頼める期間なら会社に、過ぎたら確定申告です。
Q. 年末調整を受けていない人も、この方法ですか?
A. 年末調整の対象外だった人は、再調整ではなく、自分で確定申告をして精算します。扶養控除等申告書を出していないときの流れは「年末調整を出さないとどうなる」にまとめています。
参考・出典
- 国税庁 - 令和8年分 年末調整のしかた(「年末調整後に給与の追加払や扶養親族等の異動があった場合の再調整」)(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - 令和8年分 年末調整Q&A(問10〜13)(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.2030 還付申告(2026年10月2日確認)
- 国税庁 - No.2026 確定申告を間違えたとき(2026年10月2日確認)
※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。