障害者控除を年末調整で受けるには?書き方と、間に合わないときの確定申告

本人や家族に障害のある会社員が障害者控除を年末調整で受けるには、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の障害者の欄に書いて、会社に出します。控除額は、障害者が27万円、特別障害者が40万円、同居特別障害者が75万円です(所得税、No.1160)。年収500万円の人が一般の障害者控除を受けると、所得税と住民税で合わせて39,783円軽くなる計算です。間に合わなかったときは確定申告で取り戻せます。この記事は、会社に勤めていて年末調整を受ける方向けです。

障害者控除の額と、年末調整での受け方

障害者控除は、納税者自身、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまるときに受けられる所得控除です(No.1160)。区分ごとの控除額は次のとおりです。

区分所得税住民税
障害者27万円26万円
特別障害者40万円30万円
同居特別障害者75万円53万円

出典:国税庁 No.1160 障害者控除(所得税)、e-Gov 法令検索 地方税法第314条の2(住民税)(2026年10月2日確認)。

年末調整で受けるときの流れは3つです。

  1. 会社から配られる「令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の、障害者の欄に書く
  2. 会社に出す(国税庁の手引きでは、障害者などの確認は各人からの申告に基づいて行うとされています)
  3. 年末調整で控除が反映され、源泉徴収された所得税が精算される

障害者などに当てはまるかどうかは、年末調整を行う日の現況で判定するとされています(手引き)。年の途中で本人や家族が障害者に当てはまることになった場合も、年末調整までに申告します。

誰が障害者のとき、どう申告するか

障害者が誰かによって、使える区分と注意点が少しずつ違います。国税庁の「年末調整のしかた」と、No.1160の範囲でまとめました。

障害者に当たる人使える区分注意
あなた自身障害者・特別障害者同居特別障害者は使えない
同一生計配偶者障害者・特別障害者・同居特別障害者配偶者控除は別の申告書が必要
扶養親族障害者・特別障害者・同居特別障害者16歳未満の子でも適用される

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」10〜14ページ、No.1160(2026年10月2日確認)。16歳未満の子を申告書のどの欄に書くかは、取得した原文に書かれていなかったので、会社の担当部署の案内に従ってください。

配偶者が障害者のときは、手引きの注が、同一生計配偶者に係る障害者控除を受けるには、扶養控除等(異動)申告書に所定の事項を書いて会社に出す必要がある、としています。配偶者控除そのものは、扶養控除等申告書の配偶者の欄に書いたかどうかにかかわらず、配偶者控除等申告書が別に必要です。

同居特別障害者は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族が、あなた、あなたの配偶者、生計を一にするその他の親族のいずれかと同居を常況としているときの区分です。手引きは、申告された特別障害者について、会社は同居特別障害者に当たるかどうかを本人に確認し、控除漏れのないようにする、としています。75万円と、特別障害者の40万円とでは差が大きいので、同居の事実は忘れずに伝えてください。

特定親族は障害者控除の対象になりません

国税庁の手引きは、特定親族は扶養控除や障害者控除の対象となる扶養親族には該当しない、と注意しています。特定親族に当たる子が障害者のときの扱いは、会社の担当部署か税務署で確認してください。

申告書の障害者欄の書き方

国税庁の手引きにある扶養控除等(異動)申告書の記載例では、「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄を、次のように書いています。

  1. 「障害者」にチェックを付ける
  2. 「本人」「同一生計配偶者」「扶養親族」のうち当てはまる列の、「一般の障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の行にチェックを付ける(扶養親族は( )内に人数を書く)
  3. 「障害者又は勤労学生の内容」欄に、氏名・障害の等級・手帳の種類・交付年月日を書く

記載例は、父(扶養親族)が身体障害者3級の場合です。内容欄に「身体障害者3級 身体障害者手帳 平成29年4月11日交付」と書き、「一般の障害者」の扶養親族の列に1人とチェックを付けています。

手帳の写しを出す必要があるかは、取得した「年末調整のしかた」に、国内に住む障害者の手帳の写しを添付する定めは書かれていませんでした。添付が必要と明記されているのは、国外に住む親族(国外居住親族)に扶養控除や障害者控除を受けるときの書類です。会社から手帳の確認を求められたら、会社の指示に従ってください。

どの区分になるかは、手帳の種類と等級で決まります。特別障害者になるのは、国税庁の手引きでは次のような人です。

手帳など特別障害者になる人
身体障害者手帳障害の程度が1級・2級の人
精神障害者保健福祉手帳障害等級が1級の人
知的障害者の判定重度と判定された人
その他戦傷病者手帳の特別項症〜第三項症、原爆被爆者の認定、常に就床を要し複雑な介護を要する人など

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」12〜13ページ、No.1160(2026年10月2日確認)。手引きは、療育手帳では一般的に障害の程度が重度の場合は「A」などと表示されるとし、区分の詳細はお住まいの自治体に尋ねるよう案内しています。

要介護認定や手帳が無い場合は

要介護認定だけでは対象になりません。No.1185は、障害者控除の対象となる障害者は所得税法施行令第10条に限定列挙されていて、介護保険法の要介護認定を受けた人は規定されていない、としています。

ただし、介護認定の有無にかかわらず、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは、障害者控除の対象になります。認定の手続は、お住まいの市区町村の窓口に尋ねるよう国税庁が案内しています。市区町村の書類の名称や申請方法は、この記事では原文を確認できなかったので扱いません。

手帳を申請中でも対象になる場合があります。No.1186によると、扶養控除等申告書を出す時点で手帳の交付を申請中であるか、手帳の交付を受けるための医師の診断書を持っていて、障害者かどうかを判定する時の現況で、明らかに手帳の交付を受けられる程度の障害があると認められる場合は、障害者控除を受けられます。年末調整の手引きにも、同じ取り扱いが書かれています。

間に合わなかったら:再調整と確定申告

年末調整のあとに本人が障害者に当てはまることになった場合など、間に合わなかったときの道は2つです。

時期直し方根拠
年末調整のあと〜翌年1月末日異動を申告して、会社にやり直してもらう手引き43ページ
それより後確定申告で還付を受ける(5年間)No.2030

出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」43ページ、No.2030(2026年10月2日確認)。

手引きは、年末調整が終わったあとに、子が結婚して控除対象扶養親族の数が減ったり、受給者本人が障害者に当てはまることになったりした場合などは、その異動の申告を受けて年末調整のやり直しができるとしています。やり直しができるのは、源泉徴収票を交付する翌年1月末日までです。

それを過ぎたら、確定申告で還付を受けます。還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。令和8年分なら、令和9年1月1日から5年間です。

源泉徴収された所得税が0なら、戻る税金もありません

還付は、すでに源泉徴収された所得税がある場合に発生します。給与の源泉徴収票の源泉徴収税額が0の方は、申告しても還付される所得税額はありません(No.2030)。

年末調整が済んだあとの直し方の全体は年末調整の間違いに気づいたらに、期限を過ぎた申告の目安は確定申告の期限を過ぎたらにまとめています。

いくら軽くなるか:年収別の例

控除を受けるあなた本人の年収別に、障害者控除で所得税と住民税が合わせて軽くなる額の目安です。同居特別障害者は、年収500万円で91,287円です。

年収一般の障害者特別障害者
300万円39,784円50,420円
400万円39,784円50,420円
500万円39,783円50,420円
600万円53,567円70,840円
700万円72,966円90,239円

※東京都・40歳未満・本人の年収の前提で、所得税と住民税の合計です。年収500万円の内訳は、一般の障害者が所得税13,783円・住民税26,000円、特別障害者が所得税20,420円・住民税30,000円です。住民税は翌年度の税額が軽くなる分で、年末調整で戻るのは所得税です。

区分を選んで試算するときは、障害者控除 計算ツールが使えます。

よくある質問

Q. 障害者控除は、年末調整で受けられますか?

A. 受けられます。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、扶養控除・障害者控除などは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で受ける控除としています。この申告書の障害者の欄を書いて、給与の支払者(会社)に出します。

Q. 障害者手帳の写しを会社に出す必要はありますか?

A. 取得した国税庁の手引きには、国内に住む障害者の手帳の写しを添付する定めは書かれていませんでした。記載例では、申告書の「障害者又は勤労学生の内容」欄に、障害の等級と手帳の種類・交付年月日を書いています。添付が必要と明記されているのは、国外に住む親族(国外居住親族)の書類です。会社から写しの提出を求められたときは、会社の指示に従ってください。

Q. 障害者手帳をまだ持っていません。控除は受けられますか?

A. No.1186によると、手帳の交付を申請中の方や、手帳の交付を受けるための医師の診断書を持っている方で、明らかに手帳の交付を受けられる程度の障害があると認められる場合は、障害者控除を受けられます。

Q. 親が要介護認定を受けています。障害者控除は受けられますか?

A. No.1185によると、介護保険の要介護認定を受けただけでは、障害者控除の対象にはなりません。65歳以上で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などは、要介護認定の有無にかかわらず対象になります。認定はお住まいの市区町村の窓口に尋ねるよう、国税庁が案内しています。

Q. 16歳未満の子が障害者でも、控除を受けられますか?

A. 受けられます。No.1160は、障害者控除は扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合にも適用されるとしています。

Q. 同居特別障害者は、自分が障害者のときも使えますか?

A. 使えません。同居特別障害者は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、納税者自身・配偶者・生計を一にするその他の親族のいずれかと同居を常況としている人です(No.1160)。納税者本人には当てはまりません。

Q. 年末調整に間に合わなかったら、どうなりますか?

A. 年末調整のあとに本人が障害者に当てはまることになったときなどは、源泉徴収票を交付する翌年1月末日まで、会社が年末調整をやり直せます(年末調整のしかた43ページ)。過ぎたら確定申告で還付を受けます。還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間出せます(No.2030)。

参考・出典

※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

運

会社員の計算帳 運営事務局

本サイトは個人が運営する情報提供サイトです。労働・税金・社会保険について、厚生労働省・国税庁・金融庁などの公開情報をもとに記事を編集・公開しています。お問い合わせは お問い合わせフォーム よりお願いします。