引っ越した年の年末調整の書き方|申告書の住所はいつの住所・12月や1月2日に引っ越す場合・住民税はどこに払う・住宅ローン控除

会社に勤めていて、年内か年明けに引っ越しを予定している方向けの解説です。申告書にどの日の住所を書くかは、国税庁の記載例と年末調整Q&Aに指定が見つかりませんでした。一方、住民税は、2027年1月1日の住民基本台帳に記録されている市区町村が課します。12月と1月2日の違い、会社への届け、住宅ローン控除を、国税庁と e-Gov 法令検索の原文で整理しました。

申告書の住所は、いつの住所を書くか

扶養控除等(異動)申告書の上部には「あなたの住所又は居所」の欄があります。所得税法施行規則73条1項1号は、申告書に申告者の氏名と住所(国内に住所がなければ居所)を書くと定めています。ところが、どの日の住所を書くかを定めた文言は、次の原文のどれにも見つかりませんでした。

確かめた原文書かれていたこと住所の日付の指定
国税庁《記載例》令和9年分・令和8年分の扶養控除等申告書上部の「あなたの住所又は居所」に住所を書く例(○○市××町23-7)書かれていない
所得税法施行規則73条申告者の氏名、住所(国内に住所がなければ居所)、個人番号を記載書かれていない
国税庁 令和8年分 年末調整Q&A・年末調整のしかた住所が変わったときの問答や説明は見当たらない書かれていない

出典:国税庁《記載例》(記載例の画像で照合)、国税庁 令和8年分 年末調整Q&A・年末調整のしかた(住所・転居・引っ越しで全文検索)、所得税法施行規則73条(e-Gov法令検索)、2026年10月2日確認。

書類を出すタイミングも決まっています。所得税法194条1項は、申告書を毎年最初に給与の支払を受ける日の前日までに、給与の支払者を経由して提出すると定めています。令和9年分は、年明け最初の給与の支払日の前日が期限です。

出したあとで引っ越した場合は、194条3項が、申告書に記載した事項について異動を生じたときは、異動を生じた日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容などを記載した申告書を出すよう定めています。施行規則73条2項1号は、この申告書にも氏名・住所を書くとしています。ただし、住所の変更がこの「異動」に当たるかを個別に書いた箇所は、記載例にも年末調整Q&Aにも見つかりませんでした。記載例で「異動月日及び事由」の欄があるのは、配偶者や親族などの行です。

住民票の住所と現住所が違うときの書き方は単身赴任の年末調整の書き方の「申告書の住所欄」にも、同じ範囲で整理しています。扶養控除等申告書の書き方全般は扶養控除等申告書の書き方にあります。

12月・1月2日に引っ越すと、住民税はどこに払うか

住民税は、所得税と違って1月1日にどの市区町村に住んでいるかで決まります。地方税法は、個人の道府県民税(都道府県民税)の賦課期日を39条で、個人の市町村民税の賦課期日を318条で、どちらも当該年度の初日の属する年の1月1日と定めています。市町村民税を課されるのは市町村内に住所を有する個人で(294条1項1号)、住民基本台帳法の適用を受ける人は、その市町村の住民基本台帳に記録されている人です(294条2項)。

2026年に引っ越す人が、次の住民税(令和9年度分)をどこに払うかは、2027年1月1日の記録で次のように分かれます。

引っ越しの時期2027年1月1日の記録令和9年度の住民税
2026年12月31日までに引っ越し、住民票も新居へ移した新居新居の市区町村
2027年1月2日以降に引っ越す旧住所旧住所の市区町村
年内に引っ越したが、住民票を移すのは年明け旧住所のまま条文だけでは決まらない(294条2項・3項)。窓口に確認

出典:地方税法39条・294条・318条(e-Gov法令検索、2026年10月1日時点の版)、2026年10月2日確認。賦課期日の住民基本台帳の記録で判断する表で、引っ越しの年の令和8年度分は2026年1月1日の住所で決まっています。

3行目は、294条3項が「記録されていない市町村でも、その市町村内に住所を有する個人を、記録されている者とみなして課税できる」と定め、4項が「3項で課された人には、記録されている市町村は課税できない」と定めているためです。旧住所と新住所の市区町村のどちらが課すかは、窓口にお問い合わせください。

引っ越しの日を12月にするか1月2日以降にするかで、令和9年度の住民税を払う市区町村が入れ替わります(住民票を移す日が引っ越しの日と同じ場合)。給与天引き(特別徴収)の仕組みは住民税はなぜ給与から天引きされる?、納付書が届かない理由は住民税の納付書が届かない理由にあります。年末調整で精算する所得税の源泉徴収の納税地は、所得税法17条により、給与を支払う会社の事務所等の所在地で、引っ越しでは変わりません。

会社への住所変更の届け

会社が住民税の手続きで使うのが、1月1日の住所です。地方税法317条の6第1項は、1月1日現在で給与を支払う会社が、1月31日までに、給与を受けている人の1月1日現在の住所所在の市町村別に作成した給与支払報告書を、その市町村長に提出するよう定めています。

従業員が会社へ住所変更を届ける様式や期限は、国税庁の記載例、年末調整のしかた、年末調整Q&A、所得税法194条のいずれにも書かれていませんでした。引っ越しが決まったら、新しい住所をいつまでにどの書類で届けるかを、会社の給与担当に聞いてください。

引っ越したあと、住宅ローン控除は受けられるか

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、租税特別措置法41条1項で、居住の用に供した日以後その年の12月31日まで引き続きその居住の用に供している各年が適用年とされています。その年の12月31日に、その家に住んでいることが前提です。国税庁のNo.1234は、転勤等のやむを得ない事情で家に住まなくなった場合を次のように説明しています。

状況国税庁No.1234の記載手続き
適用を受けていた人が、家族と共にその家に住まなくなった住まなくなった日の属する年以降は適用なし。転任の命令などのやむを得ない事由があれば、再び住んだ年(賃貸した年はその翌年)以後、残りの控除期間で再適用住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を家屋の所在地の税務署へ
住み始めた年の12月31日までに住まなくなった(転任命令など)再び住んだ年以後に適用届出は不要。再び住んだ年以後の確定申告書に書類を添付

出典:国税庁 No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等(令和8年4月1日現在法令等)、租税特別措置法41条1項(e-Gov法令検索)、2026年10月2日確認。

このページは転勤などの場合の説明です。転勤以外で住み替える場合の取扱いは、同ページには書かれていません。住宅ローン控除を年末調整で受けるときの申告書は住宅借入金等特別控除申告書の書き方にまとめています。

よくある質問

Q. 12月に引っ越す予定です。年末調整の書類には、旧住所と新住所のどちらを書きますか?

A. 国税庁の記載例(令和9年分)、令和8年分の年末調整Q&A、「年末調整のしかた」、所得税法施行規則73条のどれにも、どの日の住所を書くかの指定は見つかりませんでした。記載例は、申告書の上部の「あなたの住所又は居所」欄に住所を書く例を載せているだけです。申告書は給与の支払者(会社)を経由して提出するため、いつの住所を書くかは、会社の給与担当に確認してください。

Q. 扶養控除等申告書を出したあとで引っ越しました。出し直しが必要ですか?

A. 所得税法194条3項は、申告書に記載した事項について異動を生じた場合、給与の支払者からその異動を生じた日後最初に給与の支払を受ける日の前日までに、異動の内容などを記載した申告書を提出するよう定めています。施行規則73条2項1号は、この申告書にも氏名・住所を書くとしています。ただし、住所の変更がこの「異動」に当たるかを個別に書いた箇所は、記載例やQ&Aには見つかりませんでした。会社に確認してください。

Q. 1月2日に引っ越すと、住民税は旧住所の市区町村ですか?

A. 地方税法は、都道府県民税(39条)も市町村民税(318条)も、賦課期日を1月1日と定めています。市町村民税を課されるのは、市町村内に住所を有する個人で(294条1項1号)、住民基本台帳法の適用を受ける人は、その市町村の住民基本台帳に記録されている人です(294条2項)。2027年1月2日に引っ越す場合、1月1日の住民基本台帳の記録は旧住所なので、令和9年度の住民税は旧住所の市区町村が課します。

Q. 年内に引っ越しましたが、住民票を移すのは年明けです。住民税はどちらの市区町村ですか?

A. 294条2項は住民基本台帳に記録されている市町村としていますが、3項は、記録されていない市町村でも、その市町村内に住所を有する個人を、記録されている者とみなして課税できるとしています。4項は、3項で課された人には、記録されている市町村は課税できないとしています。条文だけでは旧・新どちらになるかが決まらないため、旧住所と新住所の市区町村の窓口に確認してください。

Q. 引っ越すと、所得税の源泉徴収の納税地も変わりますか?

A. 所得税法17条は、給与から源泉徴収する所得税の納税地を、給与を支払う側(会社)の事務所、事業所等でその支払事務を取り扱うものの所在地と定めています。従業員の住所は基準になっていません。

Q. 転勤ではなく、住み替えで引っ越す場合の住宅ローン控除は?

A. 国税庁のNo.1234は、転勤等のやむを得ない事情で居住しなくなった場合の説明で、転勤以外の住み替えの取扱いは書かれていません。租税特別措置法41条1項は、適用年を「居住の用に供した日以後その年の12月31日まで引き続きその居住の用に供している各年」としています。住み替えの個別の判断は、税務署や税理士に確認してください。

参考・出典

※国税庁と法令の原文に書かれている範囲の整理です。申告書の書き方や住民税の課税先は、個別の事情や会社の取扱いで変わります。個別の判断は、勤務先の担当部署、税務署、住民税は市区町村でご確認ください。

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