学生バイトの年末調整の書き方|勤労学生控除・掛け持ち・親の扶養

学生バイトの年末調整は、扶養控除等申告書の「勤労学生」欄にチェックを付け、基礎控除申告書に年収の見積額を書くのが基本です。扶養控除等申告書は、バイトを掛け持ちしていても1か所にしか出せません。令和8年分の勤労学生控除は、給与だけなら年収163万円以下が対象です(No.1175)。親の扶養控除は、学生の年収が136万円以下なら受けられ、それを超えても197万円までは特定親族特別控除が残ります。

学生バイトが出す書類と、書く場所

年末調整で控除を受けるための申告書は、控除ごとに決まっています(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。学生バイトに関係するのは次の3枚です。親の控除は、親が親の勤務先に出す書類で決まります。

書類学生が書くこと受ける控除
扶養控除等(異動)申告書本人欄、勤労学生のチェックと内容勤労学生控除
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 など本人の収入金額と所得金額の見積額基礎控除
保険料控除申告書自分で払った保険料・年金保険料生命保険料・社会保険料など

令和8年分の年末調整で使う扶養控除等申告書は、原則として年の最初に給与を受ける時までに出したものです。年の途中で本人が勤労学生に当たることになったときは、異動申告をします。年末調整を行う時までに申告があれば、その申告に基づいて年末調整が行われます。

扶養控除等申告書の書き方(勤労学生控除)

勤労学生控除は、次の3つのすべてに当てはまる人が対象です(No.1175・年末調整のしかた)。

  • 学校:学校教育法に規定する小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校などの学生、生徒であること。専修学校や各種学校の一定の課程、認定職業訓練の課程も含まれます。
  • 合計所得金額が89万円以下:給与だけの場合は、本年中の給与の収入金額が163万円以下であれば、合計所得金額が89万円以下になります。
  • 給与等以外の所得が10万円以下:自分の勤労に基づく所得以外の所得が、10万円以下であることです。

当てはまる場合の書き方は、国税庁の令和9年分の記載例の説明どおりです。

  • 「障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生」の欄で、勤労学生にチェックを付けます(「あなたが寡婦、ひとり親、勤労学生に該当する場合にチェックを付けます」)。
  • 「障害者又は勤労学生の内容」の欄に、該当する事実(通っている学校名など)を書きます。
  • 専修学校・各種学校・職業訓練学校等の生徒の場合は、在学する学校の長などが交付した証明書を申告書に添付するか、提出の際に提示します。年末調整で控除を受けた人は、その必要はありません(No.1175)。

基礎控除申告書には、見積もった令和8年中の給与の収入金額を「収入金額」欄に書き、「給与所得の計算欄」で所得金額を計算します(収入金額 − 740,000円)。令和8年分の基礎控除は、合計所得489万円以下で104万円です。計算機は基礎控除の早見表と計算機にあります。

勤労学生控除で所得税がどれだけ変わるかは、年収によります。社会保険料などの控除を考えない場合の例です。

学生の年収勤労学生控除本人の所得税
100万円27万円0円
163万円27万円0円
164万円対象外0円
178万円対象外0円
200万円対象外11,231円

出典:国税庁 No.1175・No.1199・No.1410。所得税には復興特別所得税を含みます。給与だけの学生は、年収178万円まで所得税が0円です。勤労学生控除の対象(年収163万円以下)はその中に収まるので、所得税だけを見ると控除の有無で税額は変わりません。住民税への効き方は勤労学生控除の計算ツールで確認できます。

掛け持ちは1か所にしか出せない

国税庁の扶養控除等申告書の様式には、この申告書は2か所以上から給与の支払を受けている場合にはそのうちの1か所にしか提出することができません、と書かれています。勤労学生控除も、その1か所で受けます。

  • 出した側:主たる給与として、毎月の源泉徴収は甲欄になり、年末調整もその勤務先で行います。
  • 出さなかった側:従たる給与として乙欄で源泉徴収されます。従たる給与は原則として年末調整できず、本人が確定申告で精算します(No.2520)。取り戻し方は年末調整を出さないとどうなるにまとめています。
  • 収入金額の見積額:基礎控除申告書の収入金額には、給与を2か所以上から受けている場合、その合計額を書きます。源泉徴収票が2枚以上あるときは、支払金額を合計して判定します(No.1410)。年収163万円の判定も合計額です。

副業やフリマなど、給与以外の所得がある場合の年末調整の扱いは副業があるときの年末調整へ。

親の扶養との関係(学生の年収別)

親が受ける扶養控除や特定親族特別控除は、学生本人の合計所得金額で決まります。学生が勤労学生控除を使うかどうかでは変わりません。19歳以上23歳未満の学生の場合の例です。

学生の年収学生の所得金額親が受けられる控除
100万円260,000円扶養控除 63万円
136万円620,000円扶養控除 63万円
150万円760,000円特定親族特別控除 63万円
163万円890,000円特定親族特別控除 61万円
170万円960,000円特定親族特別控除 41万円
197万円1,230,000円特定親族特別控除 3万円
200万円1,260,000円なし

出典:国税庁 No.1180・No.1177。学生の年収136万円以下(合計所得62万円以下)は扶養控除(特定扶養親族63万円)、超えると特定親族特別控除です。親の年末調整では、特定親族特別控除は扶養控除等申告書とは別の特定親族特別控除申告書で受けます。

特定扶養親族と特定親族特別控除の対象は、12月31日現在で19歳以上23歳未満の人です。16歳以上19歳未満や23歳以上の人は、合計所得62万円以下の場合に、一般の控除対象扶養親族として38万円の扶養控除になります(No.1180)。年収別に親の税金がいくら変わるかは特定親族特別控除の早見表で確認できます。

学生が書くのは「自分の分」、親の分は親が書きます

学生が自分のバイト先に出す書類に、親の控除を書く欄はありません。親は親の勤務先に、扶養控除等申告書や特定親族特別控除申告書を出します。学生のバイト収入の見積額は、親に伝えておくと話が早く進みます。

学生総合共済・国民年金の追納の扱い

保険料控除申告書で扱う2つについて、国税庁の資料に書かれている範囲を整理します。

  • 学生総合共済などの共済の掛金:生命保険料控除の対象になるのは、一定の生命保険契約等に基づいて支払った保険料や掛金で、本人が支払ったものに限られます。受取人が本人や配偶者、親族だけであることも条件です(「令和8年分 年末調整のしかた」)。国税庁の資料に「学生総合共済」という商品名は出てきません。対象になるかどうかは、共済から届く書類や契約内容で確認します。親が掛金を払っているなら、控除を受けるのは払った親です。
  • 国民年金の学生納付特例の追納:社会保険料控除について、国税庁は、控除できる金額は「その年に実際に支払った金額」と説明しています(No.1130)。質疑応答(No.1130 Q1)では、過去の年分の国民年金保険料でも、本年中に支払ったものであれば、本年分の社会保険料控除の対象になるとしています。国税庁のページに「追納」という言葉は出てきません。追納の期間や加算額は、日本年金機構の案内で確認してください。
  • 証明書類:国民年金の保険料で本人が直接支払ったものは、支払ったことを証明する書類(領収書や控除証明書)を保険料控除申告書に添付するか、提示します(「令和8年分 年末調整のしかた」)。
  • 親が追納分を払った場合:生計を一にする親族の社会保険料を支払った場合は、その支払った金額を払った人の社会保険料控除の対象にできます(No.1130 Q4)。

所得税が0円なら、年末調整で戻る税金もありません

年末調整は、毎月源泉徴収された所得税と1年分の税額を精算する手続きです。給与の源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄が0円なら、保険料控除を申告しても還付される所得税はありません(No.2030)。控除の効果は、住民税など別の税金で出ることがあります。

よくある質問

Q. 学生バイトでも年末調整はありますか?

A. 年末調整の対象になるのは、扶養控除等(異動)申告書を提出している人です(No.2665)。バイトが1か所で、その勤務先に扶養控除等申告書を出していれば、学生でも年末調整の対象になります。出していないと毎月の源泉徴収は乙欄になり、年末調整もされません。

Q. 勤労学生控除を申告しないと損ですか?

A. 給与だけの学生は、令和8年分は年収178万円まで所得税が0円で、勤労学生控除の対象になる年収163万円以下はその中に収まります。所得税だけで見ると、勤労学生控除の有無で税額は変わりません。住民税には別に勤労学生控除(26万円)があります。給与以外の所得がある場合は、所得税にも効くことがあります。

Q. 年収が163万円を超えそうです。どうなりますか?

A. 勤労学生控除は、合計所得金額が89万円以下(給与だけなら収入163万円以下)の人が対象です(No.1175)。超えると勤労学生控除は使えません。親の特定親族特別控除は、学生の年収が197万円以下(合計所得123万円以下)の間は少額ながら残ります(No.1177)。

Q. 掛け持ちで、両方のバイト先に扶養控除等申告書を出してしまいました。

A. 扶養控除等申告書は、2か所以上から給与の支払を受けている場合にはそのうちの1か所にしか提出できないと、国税庁の様式に書かれています。すでに両方に出した場合は、どちらの勤務先を主たる給与にするかを決めて、勤務先の担当部署に相談してください。

参考・出典

※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いはアルバイト先の担当部署、所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

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