パートの年末調整の書き方|収入金額・所得金額の欄と、扶養内・扶養外の違い

パートが出す年末調整の書類は主に3枚です。収入金額の欄には令和8年1月から12月までの給与の見積額を書き、所得金額の欄には「収入金額 − 74万円」を書きます(収入が741,000円以上2,190,999円以下の場合。国税庁の記載例の「給与所得の計算欄」)。扶養内か扶養外かで変わるのは、パート本人の書き方ではなく夫が受ける控除です。年収136万円以下なら配偶者控除、超えても169万円までは配偶者特別控除で控除額は38万円のままです(夫の合計所得金額が900万円以下の場合)。

パートが出す書類と、誰が何を書くか

年末調整で控除を受けるための申告書は、控除ごとに決まっています(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。パートに関係するのは次の3枚です。

書類書く人受ける控除
扶養控除等(異動)申告書パート本人扶養・障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 などパート本人(基礎控除)と、パートを配偶者として書く夫基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除
保険料控除申告書保険料を払った本人生命保険料・地震保険料など

令和8年分の年末調整で使う扶養控除等申告書は、原則として年の最初に給与を受ける時までに出したものです。年末調整の時期に配られる扶養控除等申告書は「令和9年分」で、来年の毎月の源泉徴収に使うものです。年の途中で扶養の状況などが変わったときは、その都度「異動申告」をします。年末調整を行う時までに申告があれば、その申告に基づいて年末調整が行われます。

夫が配偶者控除を受けるには、夫の会社への申告書が別に必要です

年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を受けるには、扶養控除等申告書の「源泉控除対象配偶者」欄への記載の有無にかかわらず、配偶者控除等申告書を給与の支払者に出す必要があります。パートが自分の会社に出す書類だけでは、夫の控除は動きません。

収入金額・所得金額の欄の書き方

基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書には「合計所得金額の見積額の計算」の欄があります。国税庁の記載例の説明では、見積もった令和8年中の給与の収入金額(給与を2か所以上から受けている場合は、その合計額)を「収入金額」欄に書き、その収入金額をもとに「給与所得の計算欄」で所得金額を計算します。直近の源泉徴収票や給与支払明細書を参考に見積もります。給与以外の所得がある場合は、その合計額を別に書きます。

令和8年分の「給与所得の計算欄」は、収入金額が741,000円以上2,190,999円以下なら「収入金額 − 740,000円」、740,999円以下なら0円です(国税庁の記載例)。次の表は、この計算に夫の控除を並べたものです。夫の合計所得金額は900万円以下(記載例の区分A)の例です。

パートの年収の見積額所得金額の欄夫が受ける控除
100万円260,000円配偶者控除 38万円
123万円490,000円配偶者控除 38万円
136万円620,000円配偶者控除 38万円
150万円760,000円配偶者特別控除 38万円
170万円960,000円配偶者特別控除 36万円
200万円1,260,000円配偶者特別控除 6万円

出典:国税庁 No.1410(令和8年分の給与所得控除)・No.1195・No.1191。所得金額=収入金額 − 740,000円。夫の合計所得金額が900万円を超えると控除額は下がります(No.1195)。

書いた所得金額は、次の判定に使います。パートの合計所得金額が62万円以下(給与だけなら年収136万円以下)なら配偶者控除、62万円超133万円以下(年収136万円超207万円以下)なら配偶者特別控除です。133万円を超えると、夫の配偶者特別控除はありません。

扶養内のパート(年収136万円以下)の書き方

年収の見積額が136万円以下の例(年収100万円)で、パート本人が自分の会社に出す書類を順に見ます。

  • 扶養控除等申告書:氏名・住所・生年月日・世帯主・続柄などの本人欄と、配偶者の有無を書きます。国税庁の様式には「以下の各欄に記載する親族がなく、かつ、あなた自身が障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生のいずれにも該当しない場合には、上記の各欄を記載して給与の支払者に提出してください」とあります。夫が自分の源泉控除対象配偶者に当たるかは、様式の裏面「扶養親族等の範囲」で確かめます。
  • 基礎控除申告書:「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」を書きます。収入金額に100万円、所得金額に260,000円です。判定は「489万円以下」で、基礎控除の額は1,040,000円です。配偶者の欄は、夫を自分の控除に入れるときだけ書きます。
  • 夫の控除:夫が自分の会社に出す配偶者控除等申告書で、配偶者控除380,000円を受けます(下の「夫(配偶者)側の欄の書き方」)。

令和8年分の年末調整では、改正後の基礎控除(合計所得489万円以下で104万円)で1年分の税額を計算し直し、毎月の源泉徴収との精算をします。年収178万円までは(社会保険料などの控除を考えない場合)、パート本人の所得税は0円です。令和8年分の基礎控除の金額は基礎控除の早見表と計算機で確認できます。

令和8年分は「新たに対象になった」人も申告が要ります

令和8年分から扶養親族等の所得要件が引き上げられました。国税庁の手引きは、この改正で新たに対象になった人がいる場合の異動申告を、忘れていないか確認するよう案内しています。令和7年分は年収123万円超で配偶者特別控除だった方も、年収136万円以下なら令和8年分は配偶者控除になります。

扶養外のパート(年収136万円超)の書き方

年収が136万円を超えても、パート本人が自分の会社に書く内容は、扶養内の場合と同じです。収入金額と所得金額の数字が変わるだけです。違いは次の2点です。

  • 夫の控除の名前と額:配偶者控除から配偶者特別控除に変わります。夫の合計所得金額が900万円以下なら、パートの年収が169万円以下の間は38万円のままで、そのあとは年収が上がるごとに段階的に下がります(例:年収170万円で36万円、年収200万円で6万円)。年収207万円を超えると、夫の配偶者特別控除はなくなります。
  • パート本人の所得税:年収178万円を超えると課税されます。年収200万円の例では、所得126万円から基礎控除104万円を引いた課税所得に5%をかけ、復興特別所得税を加えて11,231円です(社会保険料などの控除を考えない場合)。

夫の控除が減っても、パートの手取りが減るとは限りません。社会保険の扶養に入れる収入の目安は、年末調整の書類とは別の判定です。働き方ごとの手取りはパートの年収別 手取り、年収の壁の全体は年収の壁シミュレーターで確認できます。

夫(配偶者)側の欄の書き方

夫は、自分の会社に「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を出します。パートを配偶者として書く欄は、次の流れです。

  1. 夫自身の合計所得金額の見積額を書き、その金額で「区分Ⅰ」を決めます。900万円以下がA、900万円超950万円以下がB、950万円超1,000万円以下がCです。
  2. 配偶者(パート)の氏名・生年月日・個人番号を書きます。住所が夫と異なる場合は、その住所も書きます。
  3. 配偶者の本年中の合計所得金額の見積額を書きます。パートの収入の見積額を本人に確認し、収入金額と、その収入から計算した所得金額(年収100万円なら260,000円)を書きます。
  4. 判定の欄で、所得金額が62万円以下なら配偶者控除、62万円超95万円以下と95万円超133万円以下は配偶者特別控除の該当箇所にチェックを付けます。
  5. 判定と区分から「控除額の計算」の表を引き、配偶者控除の額または配偶者特別控除の額の欄に書きます。夫の区分がAなら、配偶者控除は38万円、配偶者特別控除は配偶者の所得95万円以下で38万円です。

パートの収入の見積額は、夫婦で同じ金額を書くと食い違いません。控除額の表は基礎控除申告書・配偶者控除等申告書の書き方にもまとめています。

年の途中で辞めた・掛け持ちのパート

  • 年の途中で辞めた:パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、その年に支払を受ける給与の総額が136万円以下の人は、退職の時に年末調整を行います(退職後にその年のうちに他の勤務先等から給与を受けると見込まれる場合を除く。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。退職の時までに扶養控除等申告書などを出していれば、その時に年末調整が行われます。136万円を超える場合は、年末調整の対象になりません。
  • 掛け持ち:扶養控除等申告書は、2か所以上から給与をもらっている場合、そのうちの1か所にしか出せません。出した側が主たる給与(甲欄)、それ以外が従たる給与(乙欄)で、従たる給与は原則として年末調整できず、本人が確定申告で精算します(No.2520)。収入金額の見積額は、掛け持ちの合計額で書きます。乙欄で引かれた税金の取り戻し方は年末調整を出さないとどうなるにまとめています。

よくある質問

Q. パートでも年末調整はしてもらえますか?

A. 年末調整の対象になるのは、扶養控除等(異動)申告書を提出している人です(No.2665)。パートでも、1か所から給与をもらっていて扶養控除等申告書を出していれば、年末調整の対象になります。出していないと毎月の源泉徴収は乙欄になり、年末調整もされません。

Q. 「103万円」「123万円」と書かれた記事と数字が違うのはなぜですか?

A. 配偶者控除の対象になる配偶者の収入の上限は、年分によって変わります。国税庁 No.1191 には、給与のみの場合は給与収入が136万円以下(令和7年分は123万円以下、令和6年分以前は103万円以下)と書かれています。令和8年分の年末調整では136万円が上限です。

Q. 年収が136万円を少し超えそうです。夫の控除は急になくなりますか?

A. なくなりません。配偶者の合計所得金額が62万円を超えると配偶者控除から配偶者特別控除に変わりますが、夫の合計所得金額が900万円以下なら、配偶者の合計所得が95万円以下(給与収入だけなら169万円以下)の間は控除額は38万円のままです(No.1195)。

Q. 保険料控除申告書も出す必要がありますか?

A. 生命保険料・地震保険料・申告分の社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除を受けたい場合に出します(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。控除を受ける保険料がなければ、扶養控除等申告書と基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書の2枚です。

参考・出典

※税額や適用の判断は、個々の状況によって異なります。具体的な取り扱いは勤務先の担当部署、所轄の税務署または税理士等の専門家にご確認ください。

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