出産手当金はいくらもらえる?産前産後休業の支給額計算と社会保険料免除
出産を控えた会社員が最初に気になるのは、「休んでいる間、収入はどうなるのか」でしょう。産前産後休業(産休)はあなたが自分の意思で日数を選べる制度ではなく、労働基準法と健康保険法が期間・金額を定めています。この記事では、産休として休める期間・出産手当金の支給額の計算方法・産休中の社会保険料免除の仕組みまで、協会けんぽと日本年金機構の公表資料を基に整理します。
産前産後休業はどれくらいの期間取れるのか
産前産後休業の期間は、労働基準法第65条で定められています。産前と産後で扱いが異なります。
産前の休業は「本人が請求した場合」に会社が就業させてはならないという規定で、請求しなければ出産予定日まで働き続けることもできます。一方、産後8週間は原則として就業そのものが禁止されており、本人が早く復帰したいと希望しても、産後6週間を経過し、かつ医師が支障ないと認めた業務でなければ就業できません。
「産休」は労働基準法、「育休」は育児・介護休業法
産前産後休業の根拠は労働基準法(会社は原則として全従業員に適用)ですが、育児休業の根拠は育児・介護休業法です。この記事で扱う出産手当金は産休期間、育児休業給付金は育休期間が対象で、支給する制度も財源も異なります(後述)。
出産手当金はいくら、いつまでもらえるのか
出産手当金は、協会けんぽ(健康保険)が支給する給付です。休んだ日について給与の支払いを受けなかった場合に、次の期間を対象として支給されます。
支給対象期間 = 出産日以前42日(多胎妊娠は98日)〜出産の翌日以後56日目まで
※出産が予定日より遅れた場合、遅れた期間も支給対象に含まれます
支給額の計算方法
1日あたりの支給額 = 支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30 × 2/3
※休んだ期間に給与の支払いがあり、その日額が出産手当金の日額より少ない場合は差額が支給されます
協会けんぽが公表している計算例は次のとおりです。
- 支給開始日以前の標準報酬月額の平均:17万円(例:直近6か月が16万円、その前6か月が18万円の場合)
- 17万円 ÷ 30 ≒ 5,670円(標準報酬日額に相当する額)
- 5,670円 × 2/3 = 3,780円(1日あたりの出産手当金)
出産手当金と傷病手当金は重複受給できない
同じ期間に傷病手当金の受給資格もある場合、両方をまとめて受け取ることはできません。傷病手当金の額が出産手当金の額より多いときは、その差額が傷病手当金として支給されます。
産休中の社会保険料はどうなるのか
日本年金機構によると、産前産後休業期間中は、健康保険・厚生年金保険の保険料が被保険者・事業主の両方とも免除されます。対象となる期間は出産手当金と同じく、出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までのうち、妊娠または出産を理由に労務に従事しなかった期間です。
- 免除の申出は、事業主が「産前産後休業取得者申出書」を日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ提出することで行う
- この免除期間は、将来の年金額を計算する際、保険料を納めた期間として扱われる(将来もらえる年金額が減るわけではない)
申出は会社の手続き。自分から年金事務所に行く必要はない
免除の申出は事業主(会社)が行う手続きです。産休の取得を会社に伝えれば、通常はこの手続きも会社が進めます。給与明細で社会保険料が引かれていないことを確認できれば、手続きが反映されているサインです。
産休が終わったら、育休へどうつながるのか
産後8週間の休業が終わると、多くの場合はそのまま育児休業に移行します。ただし産休と育休は、根拠法も支給する制度も別物です。
育児休業給付金の支給額の計算方法・受給条件・2025年の制度改正(出生後休業支援給付金による上乗せ)については、育児休業給付金の計算方法・受給条件と手続きの流れで詳しく解説しています。社会保険料の免除は、産休中と同じ考え方で育休中も続きます。